高さは2~5m。幹は立ち上がり、よく枝分かれし、古い木では枝が垂れさがることがあります。

ナツグミ
逆境を生きぬく強者

ナツグミの特徴
春に白い小さな花が木いっぱいに咲きます。花は良い香りがします。初夏になる赤い実もきれいです。実は熟すと甘くなり食べられます。
花や実は可愛らしいですが、じつは逆境に耐える強者。他の木が生えられないような原野でも成長できるパイオニアツリーです。
以下の情報は、関東地方を基準にしています。エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形
葉
葉の色が表面と裏面で全然違います。
互生(枝に互い違いにつく)。縁に鋸歯(ぎざぎざ)がないです。
花
葉の付け根から長い花の枝を伸ばし、広い花を垂れ下がるように咲かせます。花の色は段々黄色みが強くなります。
良い香りがします。
同じ木に雄花と両性花が咲きます。
実
初夏に広い楕円形の果実が赤く熟します。実は生で食べられます。美味しいのでムクドリ、オナガ、ヒヨドリなどの野鳥にすぐ食べられます。
幹
若い木の樹皮は明るい褐色ですが、老木は黒っぽくなり縦には細長く不規則に剥がれ落ちます。
小枝がトゲ状になることがあります。
冬芽
裸芽(葉芽がむきだしになっている)。表面に赤褐色の鱗状の毛が集まって生えています。
人との関わり
・果実が食べられるので、庭などに栽培されます。
・大きな材木にはなりませんが、緻密で丈夫なため大工道具の柄や囲炉裏の自在カギに使われます。
名前の由来
グミの仲間には実がなる季節が名前になっているものいくつかあり、ナツグミの名前も果実が初夏に熟すことから名付けられました。
「グミ」は「枝に刺(とげ=グイ)のある木の実」が縮まって「グミ」になったという説があります。
その他の情報
グミの名を持つ木は他に、「アキグミ」「ナワシログミ」などの実のなる季節からついたものが存在します。
性格
じつは強靭な忍耐力をもつ強者。他の木が生えられない荒地にいち早く進出するパイオニアツリーといえる木です。
根に窒素固定をする根粒バクテリアが共生しているので栄養が少ない場所でも成長できます。花、葉、枝に生えている鱗状の毛は、強い紫外線から身を守る役割をします。しなやかで丈夫な枝は、強い風に吹かれても折れにくくなっています。
体験・遊び
実は完熟すれば甘味があって美味しいのですが、未熟な実は強い渋味があって食べづらいです。
熟した美味しい実を見つけてみましょう。