キャラボク

おわん形の赤い実

特徴

秋におわん形の赤い実を付けます。 実の真ん中から種が顔をのぞかせます。 この種は毒があるので食べられません。
本来は日本海側に生えていましたが、 寒さにも刈り込みにも強いので、 庭木としてよく植えられます。
イチイの変種で、 日本固有種です。

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

地をはうように枝を伸ばす樹形です。 自由気ままに、 ぼうぼうと枝を伸ばしますが、 庭木ではきれいに形を整えています。

  • 本来の生育地の日本海側でのびのびと生きる姿。 四方八方に枝を伸ばす
    写真 / 2023.3.28 秋田県横手市 酒井浩

  • 「玉散し」として仕立てられることもある
    写真 / 2020.10.2 千葉県袖ケ浦市 MayaN

  • 意外と大きな丸い刈り込みとすることも出来る
    写真 / 2023.9.7 千葉県手賀沼ふれあい緑道 NaokiK

  • 春の新緑の葉は庭木として目を引く
    写真 / 2021.4.23 MayaN

針状の葉っぱですが、 やわらか目で、 さわっても痛くありません。 葉っぱは枝に「らせん」を描くように付いて、 四方八方に葉を開きます。

  • イチイのように2列に並ぶことは無く、 四方八方に葉が付く
    写真 / 2021.3.6 千葉市美浜区 MayaN

  • 太めの針葉。 表面は濃い緑色で艶がある
    写真 / 2021.3.6 千葉市美浜区 MayaN

  • 裏面は黄緑色。 主脈が目立つ
    写真 / 2021.3.6 千葉市美浜区 MayaN

  • 新緑の葉は美しい黄緑色
    写真 / 2023.6.7 千葉県手賀沼ふれあい緑道 NaokiK

  • 芽吹き出した新芽
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

丸い実のような花です。 おばなとめばなは別々の木に付きます。 おばなは、 うすい茶色で葉の付け根に集まって付くので目立ちますが、 緑系~うすい茶系で目立ちにくいめばなは、 1、 2個が小さく、 こっそり付きます。

  • 雄花は上半分がつぶつぶ
    写真 / 2022.3.25 千葉県市川市 MasakoT

  • 葉の付け根に集まって付く
    写真 / 2021.3.6 千葉市美浜区 MayaN

  • つぶつぶの正体は雄蕊
    写真 / 2021.3.6 千葉市美浜区 MayaN

  • 葉にかくれる様にこっそり付く雌花
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

  • 新芽の展開と同じ時期に咲く
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

9~10月ごろ、 赤くて甘みのある実が付きます。 赤い部分はおわん形をしていて食べることが出来ますが中の種は毒があるので食べてはいけません!

  • 赤い部分は「仮種子」。 中の黒っぽいのが種子で有毒
    写真 / MayaN

  • 赤い色は鮮やかだが、 小さくまばらに稔るので目だたないことが多い
    写真 / 2020.10.31 神奈川県藤沢市 EijiI

幹・枝

老木は皮にさけ目が入り赤味が出ます。 雪の多い地域に生きるだけあって、 しなりやすく、 やわらかい枝です。

  • 老木は皮にさけ目が入る
    写真 / 2016.5.23 茨城県つくば市 htanaka

  • 根元からたくさん枝を出す
    写真 / 2023.6.7 千葉県手賀沼ふれあい緑道 NaokiK

  • 雪に折れない、 しなやかで強い枝
    写真 / 2023.6.7 千葉県手賀沼ふれあい緑道 NaokiK

  • 若い枝は橙色
    写真 / 2023.6.7 千葉県手賀沼ふれあい緑道 NaokiK

  • 新しい枝は緑色で葉と一体の皮がある
    写真 / 2023.9.7 千葉県手賀沼ふれあい緑道 NaokiK

冬芽・葉痕

枝先に葉の冬芽が付き、 葉っぱの付け根に丸い花の冬芽が付きます。

  • 葉の冬芽はうすい茶色
    写真 / 2021.3.6 千葉市美浜区 MayaN

  • 雄花の冬芽は毬のよう
    写真 / 2021.2.19 千葉県市川市万葉植物園 MasakoT

人との関わり

公園や庭園で低い生垣に利用されています。

  • 葉が細かく密に付くので、 きれいな角刈りになる
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

名前の由来

木の香りが高級な香料の伽羅(キャラ)に似ていることからキャラボクという名前になりました。

その他の情報

鳥取県大山町にある大山(だいせん)の北西しゃ面には、 約8haにおよぶキャラボクの群落が広がっています。 1952年に国の特別天然記念物に指定されました。

性格

日本海側や山の尾根などが故郷です。 キャラボク(イチイの仲間)は針葉樹ではめずらしく葉に樹脂道がなく、 べたべたしないので枝を整えやすいです。 庭木として植えられたキャラボクは刈り込まれて、 野生の面影はないですが、 本来は風が強い尾根などで地面をはうように伸び、 過酷な環境で耐える力を持っています。

体験・遊び

他の針葉樹の葉を集め、 葉をはさみで切って、 ヤニが出るかどうか比べてみよう。 ただし、 キャラボクは葉にも毒があるので食べてはいけません。 葉を触るのは問題ありません。

  • 切ってもべたべたしない葉
    写真 / 2014.4.25 埼玉県狭山市 minaei

関わりが深い生き物

実を食べに野鳥が訪れます。
ヤマガラは実の中のタネを食べます。

執筆協力 : 岩谷美苗