高さ1mくらいまで大きくなります。根元から枝をたくさん出して横にも広がり半球状になります。刈り込みに強いので、公園や街路樹では高さを低くして育てられることが多いです。

サツキツツジ
渓流沿いで健気に生きてきた美しい木

サツキツツジの特徴
刈り込みに強く、乾いた場所でも湿った場所でも丈夫に生きる強い木なので、公園や街路でよく見かけるサツキツツジですが、そもそもは他の種との生存競争をあきらめて、他の木が生えられないような渓流のそばの岩場で健気に生きてきた木です。その結果、時に激流に飲まれてもやり過ごせるような逞しさを身につけました。
以下の情報は、関東地方を基準にしています。エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形
葉
赤っぽくてテカテカしている小さな葉で遠くからでも見分けやすいです。赤っぽく見える理由は、葉の両面とヘリに赤茶色の細かい毛が生えているからです。一年を通して葉を付けていることがほとんどですが、寒さが強い冬には葉を全て落としてしまうこともあります。
花
5~6月ごろに朱色やピンク色の花をたくさん咲かせます。花びらは真ん中ぐらいから5つに分かれ、ラッパのような形をしています。上の方の花びらには濃い色のはん点があります。ツツジの仲間では最も遅く咲き、開花期間は長めです。
実
9~12月に細長い卵形の実が熟して、パックリさけます。中には1㎜程度のちっちゃな種が入っています。
幹
若い枝は赤みを帯びて毛がもじゃもじゃ生えています。次第に抜け落ちて灰色になり、落ち着いた色合いになります。枝は良くしなって曲がります。
冬芽
小さな葉の付け根に、これまたちっちゃな冬芽が付きます。枝の先に付く冬芽は花芽と葉芽が混ざっています。1個の花芽から1~2個の花が咲きます。
人との関わり
葉が小さく、枝がしなって曲がりやすいため盆栽として育てられます。庭木としての栽培は江戸時代から始まったと言われ、マルバサツキ等との交配によって、多様な花の色や形の品種が作られ2000以上もの品種があります。
名前の由来
ツツジの仲間の中でも花の時期が遅く、旧暦の5月ごろ(現在の6月ごろ)に咲くため五月(さつき)ツツジと呼ばれます。
その他の情報
自生地では川岸の岩上のすき間に根を強く張って、増水時に流されないように適応した「渓流植物」ですが、ダム建設で環境が変わり、生息地が狭められていると言われています。そのため、サツキツツジを含む渓流植物が岩の上に多く生えている川は、自然環境が安定して続いていると見なされます。
性格
サツキはもともと渓流の植物で、川のだく流にのまれても流されないように根は岩場でふんばります。葉は細く小さく光沢があり枝もやわらかく、水の力を受け流すための対策は万全です。花が小さくてきゃしゃな雰囲気ですが、しなやかな強さを秘めています。
体験・遊び
サツキの花は横から見たら三角で、チョウチョの形とぴったりです。おしべはチョウチョの羽に花粉がつくように先が曲がっています。花にチョウチョが来ているか、観察してみましょう。
関わりが深い生き物
軍配のような形のツツジグンバイムシやアカダニなどのハダニが付くと吸われた葉に白い点ができます。チャハマキムシやシンクイムシ、ルリチョウレンジバチもサツキツツジの葉が大好きです。
サツキツツジの見られる場所
執筆協力 : 岩谷美苗