大磯城山公園

サツキツツジ

渓流沿いで健気に生きてきた美しい木

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特徴

「サツキ」とも呼ばれます。
刈り込みに強く、 乾いた場所でも湿った場所でも丈夫に生きる強い木なので、 公園や街路でよく見かけるサツキツツジですが、 そもそもは他の種との生存競争をあきらめて、 他の木が生えられないような渓流のそばの岩場で健気に生きてきた木です。 その結果、 時に激流に飲まれてもやり過ごせるような逞しさを身につけました。

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

高さ1mくらいまで大きくなります。 根元から枝をたくさん出して横にも広がり半球状になります。 刈り込みに強いので、 公園や街路樹では高さを低くして育てられることが多いです。

  • 小さな葉や細い枝が密生する
    写真 / NaokiK

  • 思い切った刈り込みにもよく耐える
    写真 / NaokiK

赤っぽくてテカテカしている小さな葉で遠くからでも見分けやすいです。 赤っぽく見える理由は、 葉の両面とヘリに赤茶色の細かい毛が生えているからです。 一年を通して葉を付けていることがほとんどですが、 寒さが強い冬には葉を全て落としてしまうこともあります。

  • ツツジの仲間の中でも葉が最も細く小さい
    写真 / NaokiK

  • 葉は互生。 枝先に葉が集まって付きやすい
    写真 / NaokiK

  • 春に出る葉は冬に落葉するが、 夏~秋に出る葉は越冬する
    写真 / htanaka

  • 長さ3cm程度の葉は厚みがある
    写真 / NaokiK

5~6月ごろに朱色やピンク色の花をたくさん咲かせます。 花びらは真ん中ぐらいから5つに分かれ、 ラッパのような形をしています。 上の方の花びらには濃い色のはん点があります。 ツツジの仲間では最も遅く咲き、 開花期間は長めです。

  • 野生の花は朱色の花
    写真 / htanaka

  • 春に開く葉が展開した後に開花する
    写真 / htanaka

  • 上面内部に濃い斑点があり、 葯は暗い紫色
    写真 / htanaka

  • 直径4cm程度、 膜質で左右対称
    写真 / htanaka

  • 公園や街路樹では「大盃」というピンク色の品種が多く使われる
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  • 2000以上の品種がある
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  • 雄蕊は5本 雌蕊は1本
    写真 / htanaka

  • 朱色とピンク色の間の色の品種
    写真 / htanaka

9~12月に細長い卵形の実が熟して、 パックリさけます。 中には1㎜程度のちっちゃな種が入っています。

  • 直径6~12㎜の実には茶色い剛毛が生えている
    写真 / htanaka

幹・枝

若い枝は赤みを帯びて毛がもじゃもじゃ生えています。 次第に抜け落ちて灰色になり、 落ち着いた色合いになります。 枝は良くしなって曲がります。

  • 赤みを帯びた若い枝
    写真 / NaokiK

  • 中堅の枝は少し茶色がかった灰色
    写真 / NaokiK

  • 古い枝は灰色でツルツル
    写真 / NaokiK

冬芽・葉痕

小さな葉の付け根に、 これまたちっちゃな冬芽が付きます。 枝の先に付く冬芽は花芽と葉芽が混ざっています。 1個の花芽から1~2個の花が咲きます。

  • 花が咲き終わると、 早くも一ヶ月くらいで翌年の花芽が付く
    写真 / htanaka

人との関わり

葉が小さく、 枝がしなって曲がりやすいため盆栽として育てられます。 庭木としての栽培は江戸時代から始まったと言われ、 マルバサツキ等との交配によって、 多様な花の色や形の品種が作られ2000以上もの品種があります。

名前の由来

ツツジの仲間の中でも花の時期が遅く、 旧暦の5月ごろ(現在の6月ごろ)に咲くため五月(さつき)ツツジと呼ばれます。

その他の情報

自生地では川岸の岩上のすき間に根を強く張って、 増水時に流されないように適応した「渓流植物」ですが、 ダム建設で環境が変わり、 生息地が狭められていると言われています。 そのため、 サツキツツジを含む渓流植物が岩の上に多く生えている川は、 自然環境が安定して続いていると見なされます。

性格

サツキはもともと渓流の植物で、 川のだく流にのまれても流されないように根は岩場でふんばります。 葉は細く小さく光沢があり枝もやわらかく、 水の力を受け流すための対策は万全です。 花が小さくてきゃしゃな雰囲気ですが、 しなやかな強さを秘めています。

  • 激流をしなやかに受け流すサツキ
    写真 / htanaka

体験・遊び

サツキの花は横から見たら三角で、 チョウチョの形とぴったりです。 おしべはチョウチョの羽に花粉がつくように先が曲がっています。 花にチョウチョが来ているか、 観察してみましょう。

また、 ツツジの雄しべの花粉は粘ります。 指で触ると糸を引きます。 やってみましょう!

  • チョウチョがすっぽり入る形の花
    写真 / htanaka

関わりが深い生き物

花にはチョウなどが蜜を吸いにやって来ます。
軍配のような形のツツジグンバイムシやハダニが付くと吸われた葉に白い点ができます。

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執筆協力 : 岩谷美苗

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