テイカカズラ

目立たず強くたくましく生きる木

特徴

名前の由来となっている藤原定家は、 この木に姿を変えて愛する人のお墓にからみ付いたというお話があります。
そのくらい、 暗い場所でも地をはったり、 木に登ったり、 多様な葉を出したりして生きている、 目立たないけれど強くたくましい木です。

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以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

日かげでは地面に少しずつ広がっていたり、 登れる木を見つけて、 それとなくよじ登っていますが、 日向に出ると、 がっつりしげります。

  • 日向では葉をよく茂らせる
    写真 / 2021.5.3 千葉県習志野市 MayaN

  • よく森の木をのっとっている
    写真 / 2021.5.1 埼玉県狭山市 minaei

  • 地面ものっとっている(広がっている)
    写真 / 2021.3.6 千葉県21世紀の森と広場 MayaN

基本的に卵型で、 大きな葉っぱはのっぺりとしていますが、 小さい葉っぱは葉脈が白く細かく見えます。
地面をはう時の葉っぱは小さく、 垂直にはい登る時の葉っぱは大きくなりやすいです。

  • ぜんぶテイカカズラの葉。 サイズ、 葉脈いろいろ違う。 対生
    写真 / 2021.5.1 埼玉県狭山市 minaei

  • 白い斑点がある小さい葉。
    写真 / 2021.3.6 千葉県21世紀の森と広場 MayaN

  • 大きな葉はのっぺり厚く光沢がある
    写真 / 2021.11.7 千葉県昭和の森公園 MayaN

  • 常緑樹だが霜にあたって真っ赤に紅葉する
    写真 / 2019.12.22 茨城県椎尾山 htanaka

白くスクリューのような花でとても良い香りがします。 最初が白色ですがだんだん黄色っぽくなります。

  • スクリューのような花は良い香り
    写真 / 2018.5.31 東京都練馬区 minaei

  • 花弁は5枚。 雄しべも5個
    写真 / 2022.5.22 東京都高尾山 MasakoT

  • がく片も5個
    写真 / 2022.5.22 東京都高尾山 MasakoT

  • 少しずつ黄色味を帯びる
    写真 / 2021.5.3 千葉県習志野市 MayaN

  • 長い筒を持っている
    写真 / 2017.7.2 茨城県筑波山 htanaka

実はインゲンマメのように細長く、 2個が対となってぶら下がります。 種も細長く、 タンポポのように綿毛をつけて飛んでいきます。

  • 種が入っている二股のさや
    写真 / 2019.10.1 東京都練馬区 minaei

  • 大人の手のひらサイズ
    写真 / 2019.9.1 茨城県雪入山 htanaka

  • 綿毛は次第に反っていく
    写真 / 2018.11.25 茨城県加波山 htanaka

  • 朱色に熟していく
    写真 / 2020.11.29 茨城県筑波山市有林 htanaka

  • 熟した後は乾いて割れていく
    写真 / 2020.12.20 茨城県椎尾山 htanaka

  • 中には隙間なく種が整列している
    写真 / 2020.12.20 茨城県椎尾山 htanaka

  • こぼれ途中の種
    写真 / 2020.12.20 茨城県椎尾山 htanaka

  • 綿毛で飛んで散る
    写真 / 2020.12.20 茨城県椎尾山 htanaka

幹・枝

若いつるには毛があり、 次第に無くなりますが、 その代わりに付着根でとげとげ、 ごつごつになります。
茎をちぎると白い樹液が出てきますが、 毒性があるのでかぶれやすい人は注意が必要です。

  • 茎は茶色っぽく若い枝には毛が多い
    写真 / 2020.10.24 千葉県柏市 MakoT

  • 何本も枝を出して這い登る
    写真 / 2022.1.30 千葉県大日山御前山 HiroshiN

  • 表面は付着根のなごりでごつごつになる
    写真 / 2022.1.30 千葉県大日山御前山 HiroshiN

  • ごつごつの前の付着根はとがっている
    写真 / 2022.1.30 千葉県大日山御前山 HiroshiN

  • 丸みを帯びる前の付着根はツボ押しによさそう
    写真 / 2022.1.30 千葉県大日山御前山 HiroshiN

冬芽・葉痕

赤紫色の冬芽は、 ちょっと欲張り?と思えるほど集まって付きます。

  • 枝の先に小さな芽をたくさん付ける
    写真 / 2021.2.19 千葉県万葉植物園 MasakoT

人との関わり

盆栽では小さな葉の木に仕立てて楽しみます。

名前の由来

名前は能の題目「定家」に由来します。 歌人で有名な藤原定家が死んだ後にテイカカズラに姿を変えて、 愛する人のお墓に絡みついたお話です。
花の香りが良いので「つるクチナシ」などとも呼ばれます。

その他の情報

とてもよく似ているニシキギ科のツルマサキは、 葉にギザギザがあり茎は緑色で毛は有りません。 また茎や葉の切断面から白い乳液は出ません。

  • ギザギザの葉と緑色の茎のツルマサキ
    写真 / 2022.11.20 茨城県筑波山 htanaka

性格

森の中ではお馴染みのつる植物で、 木や岩場によじ登って暮らしています。 葉の形はまちまちで、 違う植物かと思うくらい見かけはもちろん、 手触りから違います。 花は良い香りで、 種は綿毛で飛んでいきます。
登って香って飛んで、 そして毒まで持っている、 木と思えない行動派です。

  • 同じ植物と思えない多彩な葉
    写真 / 2021.5.1 埼玉県狭山市 minaei

  • 他の木にクライミング中のテイカカズラ
    写真 / 2021.5.1 埼玉県狭山市 minaei

体験・遊び

テイカカズラの種は冬に熟します。 細いさやの中に毛が生えた種が入っています。 それが冬になると、 はじけて飛んでいきます。 種を見つけたら飛ばして遊んでみましょう!
花はジャスミンのような香りなので、 かいでみましょう。
花色も白から黄色がかった白に変わっていくのでよく観察してみましょう。

  • さやの中に飛ぶ種が入っています
    写真 / 2019.10.1 東京都練馬区 minaei

  • 花色は白から黄色っぽくなっていきます
    写真 / 2018.5.31 東京都練馬区 minaei

関わりが深い生き物

花の奥深くに蜜があるため、 口がストロー状のチョウやガがやって来ます。

執筆協力 : 岩谷美苗