枝が三つ又に分かれ、半球形の樹形を作ります。高さ2mくらいまで大きくなる落葉低木で、夏ごろから白い花芽が目立ってきます。

ミツマタ
紙幣になる木

ミツマタの特徴
木の皮が丈夫で、室町時代ころから和紙の原料植物として使われ、今も日本紙幣の原料になっています。その他にも地図、証券、ハガキの原料などに利用されています。早春に咲くボンボンの形をした花も可愛らしく、庭や公園によく植えられます。
以下の情報は、関東地方を基準にしています。エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形
葉
長さ25㎝ほどにもなる細長い葉は絹のような毛をまとっています。側脈は大きく曲がるので目印になります。
花
3~4月に黄色くて小さな花が30~50個も集まって咲き、ボンボンのようになります。と言っても花下向きに咲くので、下からのぞみ込むと可愛らしい姿が見れます。
ジンチョウゲと近い仲間で、優しい香りがします。
実
6~7月、乾いたがく筒の中に緑色に熟す実がなります。中にはしずくの形をした黒い核があり、中に種が1つ入っています。
幹
若い枝は黄色がかった茶色で、始めは毛が生えています。幹は縦の筋があり灰色です。樹の皮は強くて引っ張っても、なかなか切れません。
新しい枝が常に三本ずつ出るので、枝の分かれ目を数えれば何歳か分かるとされます。
冬芽
角の様な葉芽と銀色の毛に被われハチの巣の様な花芽を付けます。
人との関わり
・日本紙幣は、ミツマタの樹皮から作られた和紙から作られています。ミツマタの繊維は長いので、破れない、強いお札を作ることができます。
・花を生け花に使うことはあまりありませんが、樹の皮をむいて薬で色を取り除いて白くした枝を「さらしミツマタ」と呼んで、花材に使います。
名前の由来
枝が三つに分かれるためミツマタと名付けられました。
その他の情報
木全体に有毒成分をふくんでいてニホンジカが食べないので、鹿害の進んでいる多くの場所でスギやヒノキの植林内一面に広がっています。
体験・遊び
ミツマタですいた和紙は、こすれや折り曲げに強い丈夫な紙に仕上がります。和紙は、木の皮を煮て柔らかくし、機械で細かく切って水に混ぜ、竹のすだれでゆすりながらすくいとるのですが、何度も水を入れ替えてアクをとったり、白い紙を作る時には漂白したりと、手間ひまかけて、心を込めて作られます。体験できる施設もあるので、ぜひチャレンジしてみてください!