コウヤボウキ

由緒正しい「ほうき」の木です!

特徴

古来、 「ほうき」の材料として使われてきた木です。 正倉院には758年正月の初子(はつね)の儀式で孝謙天皇が家来に授けた「子日目利箒(ねのひのめとぎのほうき)」が残っており、 その時に歌われた大伴家持の歌は万葉集に収められています。
2タイプの葉っぱを付けたり、 ふさふさの綿毛に被われた冬芽を付ける面白い木でもあります。

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以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

細い枝をたくさん出して、 横に広がる樹形です。 よく枝分かれし、 高さ1mくらいまで大きくなります。 枝は2年で枯れますが、 新しい枝が根元からどんどん出て来ます。

  • 長く弓なりにしなる細い枝を根元からたくさん出す
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

1年目に伸びた枝には、 しずくの形をした葉っぱが互生に付きます。 2年目の枝には細長い葉が集まって付きます。 ところどころに飛び出るギザギザがあり、 葉の裏には短毛が生えています。  

  • 1年目の枝の葉は互生。 3本の葉脈が目立つ
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

  • 2年目の枝の葉は細長く束生
    写真 / 2022.4.18 千葉県南房総市 MayaN

秋、 葉が互生する1年目の長い枝の先っぽに1㎝くらいの白い花を1個づつ咲かせます。 2年目の枝には咲きません。
見た目が小さなキクのような花です。 コウヤボウキは、 キクの仲間では珍しく、 草ではなく木であるキクの仲間なのです。

  • 筒状の小さな花が10~15個くらい集まって咲く
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

秋から冬にかけて、 たくさんの綿毛が付いた実がなります。 綿毛は風に乗って種を遠くまで飛ばします。

  • 細かい綿毛がたくさん付いた実
    写真 / 2022.4.18 千葉県南房総市 MayaN

  • 1年目の枝の先端に付く
    写真 / 2022.4.18 千葉県南房総市 MayaN

  • 白い綿毛は枯野に咲く花の様にも見える
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

幹・枝

枝には短い毛が生えていて、 触るとざらつきます。

冬芽・葉痕

1cmに満たない小さな冬芽は、 白い毛におおわれ、 陽に当たると輝いて見えます。

  • ほわほわの白い毛におおわれている。
    写真 / 2023.3.11 埼玉県寄居町 Tamacha

  • 白い毛には寝ぐせがあることも?!
    写真 / 2021.1.21 東京都板橋区 Tamacha

  • 横に伸びる枝に明かりがともっているよう。
    写真 / 2023.3.11 埼玉県寄居町 Tamacha

  • 残った葉とともに春を待つ冬芽たち。
    写真 / 2023.3.11 埼玉県寄居町 Tamacha

  • 冬枯れの花の元に新しい芽がひかえている。
    写真 / 2021.1.21 東京都板橋区 Tamacha

人との関わり

正月の初子(はつね)の日に養蚕の神様を祀る儀式として蚕室を掃く「ほうき」として用いられました。
京都府伏見では酒桶の濁りの泡をふきとる時に使われます。

名前の由来

高野山でこの木の枝を「ほうき」の材料にしたことに由ります。

その他の情報

ナガバノコウヤボウキという似た木がありますが、 葉の裏に毛はほとんど無く、 花は二年目の枝の短い枝の先っぽに付きます。

関わりが深い生き物

花には、 ハナアブ、 ハナバチ、 チョウなどがやって来ます。

  • 花にとまるホソヒラタアブ。
    写真 / 2019.10.20 千葉県君津市 MasakoT