幹の下の方から上の方まで、 横に張らない枝を茂らせ、 太い柱のように見えます。 独特な姿は、 葉を茂らせている夏も、 幹と枝だけの姿の冬も、 まるごとの風景として親しまれます。
ポプラ(セイヨウハコヤナギ)
葉っぱをゆらし、 風と共に生きる木
特徴
ヨーロッパや西アジア原産の木で、 明治時代に日本にやってきました。 セイヨウハコヤナギ、 イタリアヤマナラシ、 イタリアポプラとも呼ばれます。 背が高くスラとした樹形が特徴です。 「ポプラ」の名前で親しまれています。
以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。
樹形
葉
先がとがったおにぎり型、 またはひし形の葉です。 3〜7cmと長めな葉の柄は、 つぶれたようにぺったんこ。 風が来たらヒュンヒュンと曲がってかわすことができるようになっています。
花
春、 雄株に雄花が、 雌株に雌花が咲きます。 どちらも小さな花がたくさんついたひものような形で、 垂れ下がります。 花粉は風が運びます。
実
雌花の元のところがふくらんで果実ができます。 熟すと茶色くなって開き、 ほわほわの白い綿毛とともに種が飛び出します。 周辺に綿毛が雪のように降り積もることがあります。
幹・枝
樹皮は灰色っぽいこげ茶色で、 縦に深く裂けています。 幹の下の方からも黄色っぽい茶色の若く細い枝がたくさん出ます。
冬芽・葉痕
先がとがり、 つやのある赤茶色の芽です。 芽鱗は6〜8枚あります。 葉痕は半円形。 維管束痕は3つあるので、 とんがり帽子をかぶった人のお顔に見えます。
幼木
人との関わり
木炭が火薬の原料になるとされたため、 軍の跡地などに大木が残っています。 材は軽くて柔らかく、 欧米では家具や楽器を作るのに使われます。 耐久性は乏しいため、 日本ではマッチの軸やチップ材、 箱などの工芸品に使われます。
名前の由来
「ポプラ」という名はヤナギの仲間の中の、 ヤマナラシ属という仲間を指すものです。 「ヤマナラシ」は強い風が吹くと葉がはためいて”鳴る”ことからついた名です。 材は加工しやすく、 箱をつくるのに向くことから、 「ハコヤナギ」とも呼ばれています。
その他の情報
北海道大学のポプラ並木が有名です。 1903年に農地防風林として小規模に植林されたのが始まりです。 2004年の台風で半数近くのポプラが倒壊しましたが、 全国からの寄付金で倒木の立て直しや若木の植樹が行われました。
性格
葉で風を受け流し、 さらさらと音をたて、 さわやかな雰囲気で立っているのだけれど、 強風でも大丈夫というわけではありません。 生命力は強くて成長は速いのですが、 材は柔らかくて弱いのです。 「あの公園に行けばポプラに会えるはず」と思って行ってみると、 もう倒れてしまった後で、 会えないことがあります。
体験・遊び
秋、 大きな落ち葉がたくさんあったら、 拾って葉のつけ根を見てみましょう。 冬芽の葉痕と同じお顔があります。 お気に入りの子が見つかるかな?お顔集めをしてみましょう。