常緑で、 高さ10〜15mにもなる高木です。 幹の直径も1mくらいになるものもあります。
バクチノキ
博打に負けて裸になった!?
特徴
樹皮が次々とはがれる様子を、 「博打」(ばくち)に負け続け、 「金が払えないなら、 着ているものを置いていけ」と、 着物をはがされる人に例えて名前がついたと言われています。
赤くなった樹皮は痛々しく見えますが、 普通の成長です。
こう見えてじつはサクラの仲間(サクラ属)です。
以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。
樹形
葉
長さが20cm近くになる細長くとがった葉です。 毛はなくつるつるしていて、 縁には細かく鋭いギザギザがあります。 柄にイボのような蜜腺があります。
花
秋、 その年の新しい枝の葉の脇から、 小さな白い花が集まった3cmくらいの花の房をつけます。 長い雄しべが30〜50本もあって、 フサフサして見えます。
実
1つの実は長さ2cmほどで、 花が咲いた翌年の春に熟します。
幹・枝
樹皮は茶色っぽい灰色で、 剥がれ落ちると赤っぽい茶色になり、 まだらな模様のようになります。 身ぐるみ剥がされたような、 日焼けして皮がむけたような痛々しい感じですが、 普通の成長です。
冬芽・葉痕
うすい茶色の小さな硬い冬芽です。 多くのバラ科の木と同じように、 葉痕の維管束痕は3こで、 お顔に見えます。
人との関わり
美しく高級な木材であるマホガニーの代用品として、 家具や器具を作るのに使われます。 また、 また、 葉を水蒸気で蒸留し、 杏仁水(きょうにんすい・ばくち水とも呼ばれる)をつくり、 咳止め薬として使われます。
樹皮からは黄色の染料をとります。
名前の由来
樹皮が次々とはがれる様子を、 「博打」(ばくち)に負け続け、 「金が払えないなら、 着ているものを置いていけ」と、 着物をはがされる人に例えた名前です。
「ビランジュ」という別名もあります。 これは仏教の物語に出てくる「毘蘭樹」(びらんじゅ)と誤認した(本当の毘蘭樹はヤマグルマという木)という説や、 木肌がはがれるのを糜爛(びらん)という皮膚病に例えたという説があります。
性格
「博打に負けて身ぐるみはがされる」バクチノキですが、 1度や2度でこりるわけではなく、 老木になっても博打に負け続け(?)、 樹皮ははがれ続けます。 そうやっていつの時代になっても、 人間に「博打とはこういうもの」と身をもって教え続けてくれている反面教師なのです。