バクチノキ

博打に負けて裸になった!?

特徴

樹皮が次々とはがれる様子を、 「博打」(ばくち)に負け続け、 「金が払えないなら、 着ているものを置いていけ」と、 着物をはがされる人に例えて名前がついたと言われています。
赤くなった樹皮は痛々しく見えますが健康です。
谷間や海沿い、 少し湿り気のある斜面などに生える常緑の高木です。

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

常緑で、 高さ10〜15mにもなる高木です。 幹の直径も1mくらいになるものもあります。

  • 斜面でも大きくなっている
    写真 / 2022.4.18 千葉県南房総市 MayaN

  • 見上げても梢がどこにあるのかわからない
    写真 / 2024.9.15 東京都調布市 Tamacha

長さが20cm近くになる細長くとがった葉です。 毛はなくつるつるしていて、 縁には細かく鋭いギザギザがあります。 柄にイボのような蜜腺があります。

  • 葉のつき方は互生
    写真 / 2024.9.15 東京都調布市 Tamacha

  • 柄に2こずつある蜜腺でサクラの仲間であることがわかる
    写真 / 2024.9.15 東京都調布市 Tamacha

  • 裏側もツルスベ
    写真 / 2024.9.15 東京都調布市 Tamacha

秋、 その年の新しい枝の葉の脇から、 小さな白い花が集まった3cmくらいの花の房をつけます。 長い雄しべが30〜50本もあって、 フサフサして見えます。

  • 1つの花は直径6〜7mmで花弁は5こ
    写真 / 2024.10.1 東京都調布市 Tamacha

  • 房の下から上へ向かって咲く
    写真 / 2024.10.1 東京都調布市 Tamacha

  • これから伸びていこうとしているつぼみ
    写真 / 2024.10.1 東京都調布市 Tamacha

1つの実は長さ2cmほどで、 花が咲いた翌年の春に熟します。

  • 先がピュンととがり、 赤くなっていく実
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

幹・枝

樹皮は茶色っぽい灰色で、 剥がれ落ちると赤っぽい茶色になり、 まだらな模様のようになります。 身ぐるみ剥がされたような、 日焼けして皮がむけたような痛々しい感じですが、 普通の成長です。

  • このまだら模様がバクチノキの特徴
    写真 / 2024.9.15 東京都調布市 Tamacha

  • よく見るときれいな色
    写真 / 2024.9.15 東京都調布市 Tamacha

  • 若く細い枝は灰色でしなやか
    写真 / 2024.9.15 東京都調布市 Tamacha

冬芽・葉痕

うすい茶色の小さな硬い冬芽です。 多くのバラ科の木と同じように、 葉痕の維管束痕は3こで、 お顔に見えます。

  • おにぎり型のかたまりのように見える芽
    写真 / 2024.9.15 東京都調布市 Tamacha

  • 葉痕の形も逆おにぎり型
    写真 / 2024.9.15 東京都調布市 Tamacha

人との関わり

美しく高級な木材であるマホガニーの代用品として、 家具や器具を作るのに使われます。 また、 また、 葉を水蒸気で蒸留し、 杏仁水(ばくち水とも呼ばれる)をつくり、 咳止め薬として使われます。
樹皮からは黄色の染料をとります。

名前の由来

樹皮が次々とはがれる様子を、 「博打」(ばくち)に負け続け、 「金が払えないなら、 着ているものを置いていけ」と、 着物をはがされる人に例えた名前です。
「ビランジュ」という別名もあります。 これは仏教の物語に出てくる「毘蘭樹」(びらんじゅ)と誤認した(本当の毘蘭樹はヤマグルマという木)という説や、 木肌がはがれるのを糜爛(びらん)という皮膚病に例えたという説があります。

  • 時代劇などで見るかもしれないバクチ

性格

「博打に負けて身ぐるみはがされる」バクチノキですが、 1度や2度でこりるわけではなく、 老木になっても博打に負け続け(?)、 樹皮ははがれ続けます。 そうやっていつの時代になっても、 人間に「博打とはこういうもの」と身をもって教え続けてくれている反面教師なのです。

見られる場所