トガクシソウ

戸隠山(とがくしやま)で発見。

  • 茎の上部に2個の葉をつける柄がある。
    写真 / 2023.6.4 新潟県 大作晃一

  • シラネアオイと一緒に咲いていた。
    写真 / 2023.6.4 新潟県 大作晃一

  • 1番目の花の咲き始めのころは、 葉があまり開かない。
    写真 / 2023.6.4 新潟県 大作晃一

  • 葉をつける柄のつけ根のあたりから花をつける柄を出す。
    写真 / 2023.6.4 新潟県 大作晃一

  • がくは薄い紫色で9個ある。
    写真 / 2023.6.4 新潟県 大作晃一

  • 6個のおしべを囲むように6個の黄色の花びらある。 めしべは1個。
    写真 / 2023.6.4 新潟県 大作晃一

  • 葉は3個にわかれる。
    写真 / 2023.6.4 新潟県 大作晃一

  • 茎は無毛。
    写真 / 2023.6.4 新潟県 大作晃一

特徴

戸隠山(とがくしやま)で発見され、 日本人がはじめて学名をつけた植物として有名で日本の固有種です。 トガクシソウ属に分類されますが、 トガクシソウ属は世界で1種しか知られてません。
 
タイプ : 多年草
大きさ : 高さは30~50cm
花の時期 : 初夏
生える場所 : 山地の湿った場所
分布 : 本州

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。 ​

学名ができるまで

植物学者の伊藤謙(いとうゆずる)が1875年8月9日に戸隠山(とがくしやま)で発見し、 小石川植物園に株を移植しました。 ところが4年後、 伊藤謙は研究なかばにして胸の病気で世を去りました。 28才のことでした。
植物学者の伊藤篤太郎(いとうとくたろう)は亡くなった叔父(おじ)伊藤謙の研究を引き継ぐことにしました。 1883年にロシアの植物学者のマキシモヴィッチに、 小石川植物園の株の標本を送りました。 その後1886年にロシアの学術誌にPodophyllum japonicum T.Itô ex Maxim. として発表しました。 このとき伊藤篤太郎は20才でした。
Podophyllumはミヤオソウ属のことですが、 日本に自生する種はありません。 ミヤオソウは中国原産で、 八角蓮(ハッカクレン)の名で植栽されていることがあります。
マキシモヴィッチはその後の研究により、 トガクシソウはミヤオソウ属ではなく、 新しい属を作るべきと結論しました。 新しい属名については「破門草事件」として語り継がれるドラマがありました。

執筆協力 : 大作晃一