緑化推進拠点(千葉)

ヤブツバキ

赤い花と蜜は鳥へのアピール

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特徴

虫が少ない寒い時期に咲くヤブツバキ。 赤い花には甘い蜜がたっぷりあり、 鳥をさそいます。 実と葉はつるつるで、 おまけに樹皮は色白。 花だけではなく全部が美しい木です。

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

樹高は高いもので15mになります。 似ている種類のユキツバキは、 地面をはうように生えますが、 ヤブツバキはすっと立ちます。 成長が遅いので、 短期間でおどろくほど大きくなることはありません。

  • 枝分かれが多い
    写真 / MayaN

  • 存在がヤブのようになることもある
    写真 / EijiI

厚みのあるつやのある葉っぱで、 サイズは5-10cmです。 枝に交互につきます。 春の芽出しは、 弾力のあるつやつやの葉で、 まるでしっとりとした髪の手触り(とぅるとぅる)

  • 分厚くつやがある葉
    写真 / EijiI

  • 新葉の手触りは、 とぅるとぅる
    写真 / MasakoT

赤い花びらが開ききって平らになることはなく、 閉じ気味に咲きます。 (開ききるのはユキツバキ)鳥が蜜を吸いやすいように横向きに咲きます。 花はめしべ以外全部まとめて落とすので、 まるで厚着した子が下着から上着まで一気に脱いでいるようで笑ってしまいます。

  • 平らに開ききることはない。 開いて咲くのはユキツバキ
    写真 / EijiI

  • 花は蜜をたっぷり用意して、 鳥が蜜を吸いやすいように横向きに咲きます
    写真 / MakoT

  • 脱ぎ落された花。 花の裏の穴を見ると笑ってしまう
    写真 / minaei

  • 花が落ちた後、 残された雌しべと子房はつるつる
    写真 / minaei

つやつやの赤い実がなります。 熟すと割れて、 中から油分を多くふくむ種が出てきます。 似ているサザンカは実に毛があります。

  • つやつやの実
    写真 / MayaN

  • 実が割れて種が落ちる
    写真 / MayaN

  • 実から種が7個。 種は油脂に富み椿油がとれる
    写真 / MayaN

幹・枝

樹皮は割と白いのですが、 成長が遅く樹皮が長くついていて、 よごれて灰色であることが多いです。

  • 白い樹皮
    写真 / minaei

  • やや汚れた灰色の樹皮
    写真 / MayaN

冬芽・葉痕

芽は先端がとがり、 葉芽は細く、 花芽はぷっくり膨らみます。

  • 葉芽
    写真 / MasakoT

  • 花芽
    写真 / MasakoT

人との関わり

葉で団子を挟んだ「つばきもち」は平安時代に食べられていたもち菓子で和菓子の起源とも言われています。 材は固くクシなどになりました。 同様に、 成長が遅いヤブツバキの灰(椿灰)や炭(椿炭)は貴重なものでした。 また、 種からとる「つばき油」は今も食用や整髪用にも使われています。

  • 葉2枚で挟んだ椿餅
    写真 / minaei

名前の由来

ヤブに生えるツバキ。 ツバキは厚葉木(あつばき)や艶葉木(つやばき)に由来すると言われています。

  • 分厚いつやのある葉っぱ
    写真 / MasakoT

性格

ヤブツバキは暖かいところが好きな木ですが、 かなり北(北海道南西部)でも寒さにたえます。 忍耐強いタイプだと思います。 幹を切られても根元から復活し3年ぐらいで花を咲かせます。 チャドクガに葉を食べられても、 がんばっています。 逆境に負けない強さを持っています。

  • 伐採されてもたいてい芽吹く
    写真 / minaei

体験・遊び

ツバキの葉を縦に半分に折って、 切りこみを入れて、 開いてくるんと鼻緒にすると、 かわいい草履(ビーサン)ができます。 小さなビーサンを作って飾りましょう。

  • ツバキの葉のビーサン
    写真 / minaei

関わりが深い生き物

葉に食べ痕があれば、 チャドクガの幼虫がいるかもしれません。 チャドクガは、 卵、 幼虫、 蛹、 成虫のすべてに毒があるので注意してください。
蜜がたっぷりある花にはメジロやヒヨドリがやって来て、 花粉を運びます。 花びらにはメジロがとまった爪跡が黒く残ります。
夜は花の蜜を吸いに蛾が登場します。

執筆協力 : 岩谷美苗

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