キヅタ

冬も葉を落とさないツタ

特徴

一年中緑色の葉がある常緑のつる性植物で、 「フユヅタ」とも呼ばれます。 幹や枝の途中から気根(きこん)と呼ばれる根を出して他の木や岩や壁にくっついたり、 地面をはったりしながら伸びて大きくなります。

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

つるで伸びていくので、 場所によってスタイルが違います。 他の木の幹や壁にピタッと張り付いていることもあれば、 そこから分かれた枝をたくさん垂らしてサワサワと風になびいていることもあります。

  • コンクリートの壁を登り始めた若い子
    写真 / 2024.9.4 東京都練馬区 Tamacha

  • 大きな木をきっちりと這い登るスタイル
    写真 / 2024.9.4 東京都練馬区 Tamacha

  • 大きな木の下の方を占領して枝を垂らすスタイル
    写真 / 2024.9.4 東京都練馬区 Tamacha

先のとがった卵型で、 縁にギザギザはなく、 毛もなくてつるつるすべすべの葉です。 若い葉では、 ゆるいトンガリが3つあったり5つあったりするものがあります。 大小も様々です。

  • 枝先につぼみができている、 若くない葉
    写真 / 2024.9.4 東京都練馬区 Tamacha

  • 切り株の上をおおう、 トンガリのある葉
    写真 / 2024.9.4 東京都練馬区 Tamacha

  • 木の幹をはい登る若い葉
    写真 / 2022.2.28 千葉県市川市 MasakoT

丸いつぼみから最初に咲くのは雄花です。 雄しべがとれると、 真ん中から雌しべが伸びてきて雌花になります。

  • 上の方の丸いのはつぼみ、 下は雄花
    写真 / 2020.11.18 千葉県船橋市 MasakoT

  • 花には蜜がいっぱい
    写真 / 2020.11.18 千葉県船橋市 MasakoT

  • 夏に出てきているつぼみ
    写真 / 2024.9.4 東京都練馬区 Tamacha

丸くて黒っぽい実が初夏に熟します。 実のてっぺんには雌しべがピョンと残ります。

  • 初めは茶色っぽく、 だんだん黒っぽくなってくる
    写真 / 千葉市花見川区 MayaN

  • ふたのある壺のような形
    写真 / 2017.4.4 埼玉県狭山市 Tamacha

幹・枝

幹や枝の途中から根(=気根・きこん)を出します。 この気根で他の木や壁にとりつき、 はい上がっていきます。

  • 幹や枝の途中から気根を出して他の木にくっつく。
    写真 / 2024.9.4 東京都練馬区 Tamacha

  • 他の木の幹に沿って巻き付くように伸びる枝
    写真 / 2024.9.4 東京都練馬区 Tamacha

  • 直径5cmくらいに太くなっている幹もある
    写真 / 2024.9.4 東京都練馬区 Tamacha

冬芽・葉痕

冬芽に芽鱗はなく、 小さな葉がしまわれている形です。 ぐんぐん伸びている枝先からは、 新しい葉が出てきているのがわかります。 ゆっくり伸びている枝先、 枝先より下の芽は少し違う形で出番を待ちます。

  • 伸びている枝先の芽
    写真 / 2024.9.4 東京都練馬区 Tamacha

  • 新しい葉が縮まって格納されている形
    写真 / 2024.9.4 東京都練馬区 Tamacha

  • 葉がとれたところに控えている冬芽。 葉痕の維管束痕は5個
    写真 / 2024.9.4 東京都練馬区 Tamacha

人との関わり

他の木にはい登って元気すぎてしまうと、 人から見ると困る場合があります。
日陰でも一年中葉を茂らせているので、 キヅタの仲間のセイヨウキヅタやカナリーキヅタの栽培品種が街の中にたくさん植えられています。

  • 人が管理する場所では、 優先順位によりキヅタともお別れが
    写真 / 千葉市緑区 MayaN

  • すぐに伸びて広がったり、 木にはい登る
    写真 / 2024.9.2 東京都練馬区 Tamacha

  • 植栽の枠の中で管理される斑入りの園芸種
    写真 / 2024.9.13 千葉県柏市 Tamacha

名前の由来

ツタと同じように樹木や岩に這い上がりますが、 ツタよりももっと太くなって「木」のようになることから「キヅタ」と呼ばれるようになりました。

  • ツタの木がエノキの木に巻き付いている
    写真 / 2024.9.4 東京都練馬区 Tamacha

  • あまりに立派で、 キヅタの樹名板がついている
    写真 / 千葉市若葉区 MayaN

性格

大きな木にしっかりと巻き付いて生きていても、 気根から栄養を奪い取ったりしない、 見かけによらず優しい子です。 幹で締め付けて枯らしてしまおうなんて、 そんなつもりはなく、 もじゃもじゃの気根を出してただ寄り添っているだけです。

  • エノキの下の方の幹にくっついている。 エノキは上に枝を出して伸び伸び元気
    写真 / 2024.9.4 東京都練馬区 Tamacha

  • 締め付けようとはしていないが、 太くなっている
    写真 / 2024.9.22 埼玉県秩父市 Tamacha

関わりが深い生き物

晩秋に咲く花には蜜がいっぱいあり、 虫たちのレストラン。 スズメバチもやって来ますので注意してください。
いろいろな野鳥が実を食べに訪れますが、 レンジャクがやって来ることがあります。

  • 枝のすき間は生きものが隠れ家として使っているかも
    写真 / 千葉市緑区 MayaN

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