埼玉県立川の博物館

ヤマブキ

谷間でゆれる やまぶきいろの花

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特徴

山吹色という色は、 ヤマブキの花の色から来ています。
公園や庭には八重咲きのヤエヤマブキがよく植えられています。
生命力が強く、 自然の森にもたくさん生えています。 春、 ヤマブキの花が谷川沿いの斜面を埋め尽くすように咲く風景は見ごたえがあります。

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

細い幹をたくさん出し、 株立ちというこんもりとした樹形になり、 横にも広がって株を大きくしていきます。

  • 新しい幹を出し、 大きな株になる
    写真 / MayaN

  • 枝は弓なりに垂れ下がる
    写真 / MayaN

  • 斜面でも倒れない
    写真 / MayaN

葉先がヒューッと長く伸びています。 細かいギザギザのある縁が、 さらに大きなギザギザを形作っている「重鋸歯」という特徴があります。

  • 重鋸歯であることがわかりやすい
    写真 / MayaN

  • 葉の裏は白っぽく、 葉脈の上に白い毛がある
    写真 / MayaN

  • 葉のつけ根にある細くてまっすぐな托葉
    写真 / MayaN

  • 秋には黄葉する
    写真 / MayaN

晩春、 弓なりに垂れ下がる枝に黄色い花をたくさん咲かせます。 花びらが5枚の一重咲きが一般的ですが、 雄しべが花びらに変化した八重咲きのヤエヤマブキという園芸品種もあります。

  • 花びらは5枚、 雄しべは多数、 花柱は5〜8こ
    写真 / MayaN

  • 枝いっぱいに咲く花は見応えがある
    写真 / MayaN

  • 新しく出た短い枝の先端に、 花が1つずつ咲く
    写真 / MayaN

  • きれいに組まれた5枚の花びらが開いてくる
    写真 / Tamacha

  • 雄しべが花びらに変化したヤエヤマブキ
    写真 / MayaN

花が終わると5つの実がふくらんできて、 秋に暗褐色に熟します。
ヤエヤマブキには実がなりません。

  • 1つ1つが割れて、 種が出てくる
    写真 / MayaN

  • 花びらが落ち、 実がふくらみ始める
    写真 / MayaN

幹・枝

新しい枝は明るい黄緑色で稜とよばれる縦の筋があります。 枝はやがて黄色〜褐色になり、 3〜5年で枯れます。

  • 緑色の枝と、 もうすぐ枯れる黄色い枝
    写真 / Tamacha

  • 枝には稜とよばれる縦の筋がある
    写真 / MayaN

冬芽・葉痕

赤みのある褐色の芽鱗に包まれています。 春になって芽がふくらみ始めると黄緑色の葉が見えてきて、 2色のコントラストがきれいです。 葉痕の維管束痕は3つで、 お顔に見えます。

  • 赤っぽい芽鱗に包まれた芽
    写真 / MasakoT

  • 少しふくらみ、 緑色の葉が見えている
    写真 / MasakoT

  • 寒さにたえているかのようなお顔
    写真 / Tamacha

人との関わり

・花だけでなく明るい黄緑色の葉や枝が彩りを沿えるということで公園や庭によく植えられています。
・古くから日本人に愛され、 「万葉集」でも17首に詠まれています。 「源氏物語」では、 当時とても珍しかったヤエヤマブキが、 物語の登場人物の姫君「玉鬘」に例えられています。
・太田道灌に山吹の一枝を差し出した娘の話(娘が道灌に蓑を所望され「貧しい家で『蓑』一つも無いことを」と「七重八重花は咲けども山吹の『実の』一つだに無きぞ悲しき」をかけて山吹の一枝を差し出した話)は有名です。

  • 太田道灌と山吹の娘の逸話の像
    写真 / MayaN

名前の由来

花の咲く枝が、 風によって右へ左へと揺れる姿から「山振り」→「山ぶき」となったという説があります。

その他の情報

色鉛筆や絵の具などの「やまぶきいろ」は、 ヤマブキの花の色からきています。 赤みがかった黄色が「山吹色」です。 黄金の色に似ているため、 江戸時代には金貨を「山吹色」と呼ぶこともありました。

  • 山吹色はヤマブキの花の色からきている

性格

木々の下で、 低い木としてどんどん横へ広がります。 太く高くなる大木とは違い、 下から伸ばしては枯らし、 また伸ばすという生活します。 緑の茎の中にはスポンジのような髄が入っていて、 早い、 安い、 丈夫の三拍子がそろっています。 5年ぐらいしたら、 枯らしてまた新しく作るので枯枝がたまっています。

  • 明るい林の下に広がる
    写真 / minaei

  • 枝は5年使うと枯らす
    写真 / minaei

体験・遊び

昔は電灯がないので、 油に芯をひたして火を灯していました。 その芯はイグサが主に使われていたようですが、 ヤマブキやアジサイも利用されていたようです。 そこで茎の中の白い髄を取り出して油にひたして火を灯してみましたが、 すぐに消え、 長くはもちません。 火をつけなくても髄を取り出すだけでも面白いですよ。

  • 茎の中にスポンジのような髄がある
    写真 / minaei

  • 乾いた茎を木づちでたたき髄を出す
    写真 / minaei

  • 髄は折れやすい
    写真 / minaei

  • 取り出した髄と陶器の器とアルミホイルと油を準備
    写真 / minaei

  • 器にアルミホイルをかぶせ、 油を入れ、 髄をひたして火をつける
    写真 / minaei

関わりが深い生き物

花には、 ハナアブ、 ハナバチ、 チョウなどがやって来て花粉を運びます。

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