本種は近縁種のホングウシダと違い、 葉の下のほうに長い羽片が出るのが特徴です。 この羽片が枝のように見えることから、 エダウチ(枝打ち)ホングウシダという名前がついたといわれています。
ですが、 「枝打ち」とは林業用語で、 木の幹から出た余分な枝を切り落とす作業のことを意味します。 それを踏まえると、 たくさん枝のような羽片があるのに、 切る(打つ)という名前がついているのは、 ちょっと変な感じがします。 昔は「エダウチ」に違う意味があったのかもしれませんが、 今の感覚では少し不思議な名前です。
ちなみにエダウチホングウシダでも、 小さめの葉ではすべての羽片が短いことがよくあります。 なので一応、 長い羽片の葉と短い羽片の葉が混じっている感じが「一部が枝打ちされたあと」に見えるというように、 例えること自体はできそうです。

エダウチホングウシダ
「枝打ち」したらホングウシダになっちゃうよ!
特徴
日本では琉球に多く、 北東では静岡県にまで分布する小さめのシダ。 葉は下ほど羽片が長くて、 三角形状のことが多いです。 小羽片は扇形で先がいくつか切れ込み、 この中に胞子のう群がフチに沿ってつきます。
葉の長さ : 10~30cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 低山の林内
分布 : 本州(伊豆諸島・静岡以西)、 四国、 九州、 琉球、 台湾、 中国、 南アジア、 東南アジア
※正確な種の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。