エダウチホングウシダ

「枝打ち」したらホングウシダになっちゃうよ!

  • 林内斜面に生える。
    写真 / 2025.3 高知県 S.Ikeda

  • 根茎を短くはって葉を出す。
    写真 / 2025.3 高知県 S.Ikeda

  • 葉先。
    剣のように長く尖る。
    羽片は扇のような形で、 上側が切れ込む。
    写真 / 2024.7 三重県 S.Ikeda

  • 下部の羽片。
    よく長く発達して深く切れ込み、 小羽片ができる。
    小さめの葉では、 あまり長く伸びないことも多い。
    写真 / 2024.7 三重県 S.Ikeda

  • 葉裏。
    胞子のう群を切れ込みの中に分割してつける。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 胞子のう群は楕円形、 包膜はポケット状。
    切れ込みの中のフチから少し離れてつく。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 葉柄基部。
    茶色の鱗片が多くつく。
    写真 / 2025.3 高知県 S.Ikeda

  • 葉軸。
    赤茶色で、 鱗片はほとんどない。
    写真 / 2025.3 高知県 S.Ikeda

特徴

日本では琉球に多く、 北東では静岡県にまで分布する小さめのシダ。 葉は下ほど羽片が長くて、 三角形状のことが多いです。 小羽片は扇形で先がいくつか切れ込み、 この中に胞子のう群がフチに沿ってつきます。
 
葉の長さ : 10~30cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 低山の林内
分布 : 本州(伊豆諸島・静岡以西)、 四国、 九州、 琉球、 台湾、 中国、 南アジア、 東南アジア

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。 ​

枝打ちという名前について

本種は近縁種のホングウシダと違い、 葉の下のほうに長い羽片が出るのが特徴です。 この羽片が枝のように見えることから、 エダウチ(枝打ち)ホングウシダという名前がついたといわれています。
 
ですが、 「枝打ち」とは林業用語で、 木の幹から出た余分な枝を切り落とす作業のことを意味します。 それを踏まえると、 たくさん枝のような羽片があるのに、 切る(打つ)という名前がついているのは、 ちょっと変な感じがします。 昔は「エダウチ」に違う意味があったのかもしれませんが、 今の感覚では少し不思議な名前です。
 
ちなみにエダウチホングウシダでも、 小さめの葉ではすべての羽片が短いことがよくあります。 なので一応、 長い羽片の葉と短い羽片の葉が混じっている感じが「一部が枝打ちされたあと」に見えるというように、 例えること自体はできそうです。

  • エダウチホングウシダの小さめの葉。
    羽片はすべて短く、 ホングウシダに似ている。
    これが「枝打ち」された姿に見えなくもない?
    写真 / 2024.7 三重県 S.Ikeda