ホングウシダ

名前の由来がややこしいシダ

  • 山地の湿った岩場に生える。
    写真 / 2023.10.21 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 根茎を短めにはって葉を出す。
    よく群生する。
    写真 / 2023.10.22 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 葉の表面は黄緑色。
    羽片はアゲハチョウの羽のような形。
    先には切れ込みがいくつかある。
    写真 / 2023.10.21 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 葉の上部。
    少しずつ縮まって大きな頂羽片はない。
    サイゴクホングウシダは大きな頂羽片がある。
    写真 / 2023.10.21 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 葉の下部。
    わずかに縮まる。
    写真 / 2023.10.21 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 葉裏。
    胞子のう群は羽片の上のフチにつける。
    切れ込みごとに包膜は切れる。
    サイゴクホングウシダはふつう切れ込まない。
    写真 / 2023.10.21 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 葉裏。
    腺点が散らばることも特徴とされる。
    写真 / 2023.10.21 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 葉柄基部。
    鱗片はほとんど見えない。
    根茎には茶色っぽい鱗片をつける。
    写真 / 2023.10.21 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

特徴

暖かい地域に生える細長いシダで、 日本での分布は限られています。 サイゴクホングウシダに似ていますが、 葉はより長くて、 葉先はだんだんと細くなり、 胞子のう群は葉の小さな切れ込みごとにつきます。
 
葉の長さ : 7~20cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 山地の湿った岩場や斜面
分布 : 日本(本州(伊豆諸島と紀伊半島), 四国, 九州, 屋久島), その他熱帯広域

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。 ​

元々は別のシダの名前だった!

ホングウシダの名前は愛知県の本宮山に由来します。 ところがなんと本種はこの山に生えていません!これはなんでかというと、 明治初期に発見された当時、 元々はチャセンシダ科のカミガモシダというシダにあてられていた名前だったからです。
 
しかし誤って多くの植物学者がこのページの種類にホングウシダの名前を当てはめてしまいました。 その結果、 チャセンシダ科の方は同じ時代に別の人が命名したカミガモシダという名前が使われるようになり、 このページの種類にはホングウシダの名が使われるようになりました。
 
植物学者で有名な牧野富太郎博士はこのページの種類に「ニセホングウシダ」の名をあてましたが、 結局浸透することはありませんでした。