スギゴケという名前を聞いたことがある人は多いと思います。 というのも、 中学理科や高校生物の教科書でコケ植物の代表として、 ゼニゴケと一緒によく紹介されているからです。
でも、 じつは私たちにとって身近なスギゴケの仲間は、 ナミガタタチゴケやコスギゴケ、 ウマスギゴケといった別種。 無印のスギゴケは高山の針葉樹林に生えています。 つまり彼らに出会うには、 標高1800mくらいまで登山しなければなりません。
なぜ学校で簡単に用意できないスギゴケが教科書で代表に選ばれているのか、 ちょっと不思議です。 実際には、 教科書の図に描かれているのはスギゴケではなくコスギゴケであることが多いのですが、 それならなぜ「コスギゴケ」という名前を使わないのか、 また新たな疑問が浮かびます。 しかもコスギゴケであっても、 学校内ではなく、 雑木林や低山にでも行かなければ出会えなかったりします。
市街地で特によく見かけるコケに、 蘚類ではギンゴケ・ホソウリゴケ・ハマキゴケ、 苔類ではゼニゴケやジンガサゴケあたりがあります。 学校の授業で使うコケとしても、 これらが身近で手に入りやすいのでおすすめです。
スギゴケ
教科書でおなじみだけど…実物はレア
特徴
スギの芽生えのようなコケ植物。 涼しい山地の土上でマット状に生えます。 スギゴケ科には多くの種類がありますが、 葉のフチが内側に巻き、 ギザギザ(鋸歯)がないこと、 葉先が赤っぽいことなどが大きな特徴です。 蒴の帽には白毛が多くつきます。
大きさ : 高さ3~10cm、 葉の長さ4~10mm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 亜高山帯の湿った土上
分布 : 北海道、 本州、 四国、 九州、 その他世界広域
※正確な種の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。
