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トネハナヤスリ

野焼き後にたくさん出てくるシダ

  • 河川敷に生える。
    葉は3月末に出て、 6月には枯れる。
    写真 / 2026.4 茨城県 S.Ikeda

  • 根茎を直立させて葉を多数出し、 群生する。
    葉は根茎を通して繋がっているものも多い。
    写真 / 2026.4 茨城県 S.Ikeda

  • 葉は胞子葉と栄養葉に分かれ、 下部で繋がる。
    栄養葉の柄は長くはっきりしていて、 1~3cmある。
    コヒロハハナヤスリの柄はふつう1cm以下。
    写真 / 2026.4 茨城県 S.Ikeda

  • 胞子葉。
    棒ヤスリのように細い。
    写真 / 2026.4 茨城県 S.Ikeda

  • 栄養葉。
    これは卵形。
    胞子葉をつけていない株も多い。
    写真 / 2026.4 茨城県 S.Ikeda

  • 栄養葉。
    これは細い卵形。
    このように形は変異が大きめ。
    写真 / 2026.4 茨城県 S.Ikeda

  • 栄養葉の裏面。
    やや薄色の黄緑。
    そのままだと、 葉脈はほとんど見えない。
    写真 / 2026.4 茨城県 S.Ikeda

  • 光を透かした栄養葉。
    厚いためわかりにくいが、 葉脈はそれぞれつながって細かい網目を多く作る。 その中に伸びる脈が二次脈と呼ばれており、 本種は発達する傾向がある。
    写真 / 2026.4 茨城県 S.Ikeda

  • 担葉体。
    胞子葉と栄養葉の共通の柄のこと。
    微毛が少しある程度で、 ほぼツルツル。
    写真 / 2026.4 茨城県 S.Ikeda

  • 小さな株の新芽。
    水芭蕉のような抱いている形。
    写真 / 2026.4 茨城県 S.Ikeda

特徴

関東を流れる利根川にちなんだシダ。 ハナヤスリ類は共通して、 胞子を飛ばす棒ヤスリのような胞子葉と、 光合成のための栄養葉に分かれています。 栄養葉が卵形かつ柄のあるところでコヒロハハナヤスリと似ていますが、 本種の方が栄養葉は一回り大きくて葉柄が1cm以上と長く、 6月には地上部が枯れて来年春まで休眠します。 日本固有種です。
 
大きさ : 高さ8~25cm、 栄養葉は長さ2~9cm
観察の時期 : 春(夏緑性)
生える場所 : 野焼き後の明るい河川敷
分布 : 本州(宮城・関東・近畿)

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。

野焼きすると出てくる

トネハナヤスリは利根川や淀川を中心とした河川敷に分布が限られ、 数も少ない植物です。 しかし、 自生地では冬に火入れをしてヨシ原を焼くと、 その春にたくさんの葉が出現し、 一面を覆うほど群生することで知られています。
 
ヨシ原は放置すると、 枯れた茎葉が長く残って地表が暗くなりがちです。 一方、 野焼きを行うと、 春の地表が明るく保たれ、 光合成しやすい環境になります。 このほかにもさまざまな恩恵があると考えられており、 野焼きは本種の生育にとって重要な要素とされています。 ただし、 それでもヨシの成長は速く、 6月には地表が暗くなってしまいます。 そのため、 トネハナヤスリはこの頃までに地上部を枯らし、 翌年の春まで休眠する生活サイクルをとっています。
 
本種の自生地として特に有名なのが、 栃木県の渡良瀬遊水地です。 野焼きによって、 ここでは最大規模のトネハナヤスリの群生を見ることができます。 観光にもおすすめで、 ゴールデンウィーク頃に観察に訪れるのがおすすめです。