イタドリ

パイオニア植物として大活躍

  • 枝先に円錐形の花穂を咲かせる。 雌雄異株。
    写真 / 2022.09.03 長野県原村 I. Watanabe

  • 花が満開!ではなく、 実が熟した状態。 雌株。
    写真 / 2023.10.05 長野県原村 I. Watanabe

  • 花は、 白~赤。 赤色が特に濃いものは、 ベニイタドリと呼ばれることがある。
    写真 / 2023.08.19 長野県原村 I. Watanabe

  • 雌花 花弁はなく、 ガク片の先端が5個に分裂する。
    写真 / 2023.08.18 長野県原村 I. Watanabe

  • 雄花 雄しべがガク片の間から、 飛び出している。
    写真 / 2022.09.03 長野県原村 I. Watanabe

  • 果実は、 ハート型で3枚がくっついて1個の実を形成する。
    写真 / 2023.08.18 長野県原村 I. Watanabe

  • 葉の基部は切れたように、 まっすぐ水平になる。 葉に赤い斑紋が出ることがある。
    写真 / 2023.07.28 長野県原村 I. Watanabe

  • 葉の裏は、 淡い緑色。 北海道にある近縁のオオイタドリは大型の葉の裏が白く基部が心形。
    写真 / 2023.10.05 山梨県北斗市 I. Watanabe

  • 茎を折ると、 ポンといい音がする。 茎は中空。
    写真 / 2023.10.05 山梨県北斗市 I. Watanabe

  • 冬期は地上部が枯死して地下部の地下茎や根のみが越冬する。 根茎を伸ばして、 次々に株を増やす。
    写真 / 2023.10.05 長野県原村 I. Watanabe

特徴

谷間の崖崩れ跡などにいち早く出現し、 短い期間に生長して繁茂します。 太く強靭で生長の速い根茎を持つため、 環境保全のための緑化にも使われています。 春先に伸びた新芽をスカンポと呼んで食べる地域があります(スイバの新芽をスカンポと呼ぶ地域もあります)。 根茎は漢方薬としても利用されます。
 
タイプ : タデ科の多年草
大きさ : 高さは20~150cm 肥沃地では200㎝に達する
花の時期 : 7月~10月
生える場所 : 日当たりのよい荒地や斜面 山野、 道端、 攪乱地
分布 : 北海道南部~九州・奄美群島 朝鮮半島南東部・済州島・台湾・中国南部 

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。 ​

世界の侵略的外来種ワースト100に選定

日本では、 崩壊地などの緑化のホープですが、 天敵のいないヨーロッパや北アメリカに入り強害草になっています。 イギリス政府はイタドリを駆除するため、 天敵の「イタドリマダラキジラミ」を輸入することを決めました。 輸入するに先立ち、 イタドリマダラキジラミの生態が徹底的に調査され、 この昆虫はイタドリの葉や茎のみを食べて、 イギリス在来の植物には何の危害もあたえないことが決め手となりました。

  • 幼虫から成虫までずっとイタドリの汁を吸い成長し、 イタドリを枯死させる。 夏型
    写真 / 九州大学農学研究院 天敵昆虫学研究室

  • こちらは、 秋型。 イタドリの葉にのみ、 卵を産んで、 卵が越冬し、 翌年夏型が誕生する。
    写真 / 九州大学農学研究院 天敵昆虫学研究室

日本での緑化利用も黄色信号

生物多様性国家戦略では在来種での緑化が推奨され、 イタドリの種子も法面緑化などに多く利用されていますが、 その種子の入手先は中国などの外国で、 カライタドリなど外国種の種子が混入することが問題視されています。 また、 在来種であっても地域特性があり、 その保全も課題となっています。

執筆協力 : 渡邉勲、 田中ひとみ