日本では、 崩壊地などの緑化のホープですが、 天敵のいないヨーロッパや北アメリカに入り強害草になっています。 イギリス政府はイタドリを駆除するため、 天敵の「イタドリマダラキジラミ」を輸入することを決めました。 輸入するに先立ち、 イタドリマダラキジラミの生態が徹底的に調査され、 この昆虫はイタドリの葉や茎のみを食べて、 イギリス在来の植物には何の危害もあたえないことが決め手となりました。
イタドリ
パイオニア植物として大活躍
特徴
谷間の崖崩れ跡などにいち早く出現し、 短い期間に生長して繁茂します。 太く強靭で生長の速い根茎を持つため、 環境保全のための緑化にも使われています。 春先に伸びた新芽をスカンポと呼んで食べる地域があります(スイバの新芽をスカンポと呼ぶ地域もあります)。 根茎は漢方薬としても利用されます。
タイプ : タデ科の多年草
大きさ : 高さは20~150cm 肥沃地では200㎝に達する
花の時期 : 7月~10月
生える場所 : 日当たりのよい荒地や斜面 山野、 道端、 攪乱地
分布 : 北海道南部~九州・奄美群島 朝鮮半島南東部・済州島・台湾・中国南部
※正確な種の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。
世界の侵略的外来種ワースト100に選定
日本での緑化利用も黄色信号
生物多様性国家戦略では在来種での緑化が推奨され、 イタドリの種子も法面緑化などに多く利用されていますが、 その種子の入手先は中国などの外国で、 カライタドリなど外国種の種子が混入することが問題視されています。 また、 在来種であっても地域特性があり、 その保全も課題となっています。
執筆協力 : 渡邉勲、 田中ひとみ