日本にデンジソウ科はデンジソウとナンゴクデンジソウの2種が分布しますが、 湿地の埋め立てや農薬によって激減し、 今ではいずれも絶滅危惧種に指定されています。
ただ、 だからといってウォータークローバとしてアクアリウム用に販売されているデンジソウの仲間を、 自然再生目的で安易に湿地やビオトープに植えてはいけません。
それぞれの植物は地域固有の遺伝子をもっています。 たとえ絶滅危惧種であっても、 本来生えていない場所に人が勝手に持ち込んで植えたものは、 立派な「外来種」であって「環境破壊」です。 また、 下記のようにデンジソウの仲間は見分けるのが難しく、 植えられると自生かわかりにくくなってしまいます。 実際に、 本州でもナンゴクデンジソウの野生化と思われるものが見つかっています。
ナンゴクデンジソウ
亜熱帯の水田に生えるクローバーなシダ
特徴
日本では九州以南の田んぼなどに生える水生シダ。 四つ葉のクローバーのような見た目をしています。 シダなので花は咲かず、 葉柄の基部や根茎に胞子のう果をつけます。 名前はデンジソウより南方に生え、 葉形が田の字に似ていることが由来です。
葉幅 : 1~4cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 低地の田んぼや湿地
分布 : 日本(九州, 琉球), アジアの熱帯・亜熱帯広域
※正確な種の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。
開発や農薬で絶滅危惧種に
デンジソウとの見分け方
本種を葉だけでデンジソウと区別するのはほぼ不可能だといわれています。
はっきりとした違いは胞子のう果の位置。 デンジソウは葉柄基部の少し上につけますが、 ナンゴクデンジソウは葉柄基部につけます。 ただナンゴクデンジソウでもまれに葉柄の途中につけていることがあるので、 複数の胞子のう果を確認することがよいとされます。