タニヘゴ

湿地でたくさんの葉を立ち上げる!

  • 明るめの湿地に生える。
    写真 / 2024.5.30 福島県玉川村 S.Ikeda

  • 根茎を直立させて葉を多く出す。
    写真 / 2024.5.30 福島県玉川村 S.Ikeda

  • 葉先。
    なだらかに細いか、 やや急に細くなる。
    写真 / 2024.5.30 福島県玉川村 S.Ikeda

  • 羽片。
    浅く切れ込み、 基部は上下がふくらむ。
    写真 / 2024.5.30 福島県玉川村 S.Ikeda

  • 下部の羽片。
    はっきりと短くなる。
    写真 / 2024.5.30 福島県玉川村 S.Ikeda

  • 表面の葉脈はよく凹む。
    写真 / 2024.5.30 福島県玉川村 S.Ikeda

  • 葉裏。
    葉の上半分に胞子のう群をつける。
    写真 / 2024.5.30 福島県玉川村 S.Ikeda

  • 胞子のう群は円形で、 包膜はCの形。
    脈の両側に一列につける。
    写真 / 2024.5.30 福島県玉川村 S.Ikeda

  • 葉柄。
    明るい茶色の鱗片を多くつける。
    写真 / 2024.5.30 福島県玉川村 S.Ikeda

  • 葉柄下部。
    鱗片は幅広い。
    写真 / 2024.5.30 福島県玉川村 S.Ikeda

  • 葉軸。
    鱗片は細くて圧着する感じ。
    写真 / 2024.5.30 福島県玉川村 S.Ikeda

  • 出たばかりの新芽。
    鱗片に覆われていてクルクル。
    写真 / 2024.5.30 福島県玉川村 S.Ikeda

  • 湿地に群生。
    このような環境は減りつつある。
    写真 / 2024.5.30 福島県玉川村 S.Ikeda

特徴

涼しい地域の湿った谷沿いなどで見られる大きめのシダ。 葉は根茎から立ち上げるように出て、 タテに長く、 下ほど羽片が短くなります。 名前のヘゴにはシダの総称的な意味があり、 ヤシの木のようになるヘゴ科のヘゴとは分類が大きく異なります。
 
葉の長さ : 60~130cm
観察の時期 : 春~秋(夏緑性)
生える場所 : 山地の湿地や谷沿い
分布 : 北海道、 本州、 四国、 九州、 朝鮮、 中国

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。 ​

東京にゆかりのあるシダ

タニヘゴは北日本でよく見られるシダですが、 東京にちなんだ話がいくつかあります。
 
タニヘゴの学名はDryopteris tokyoensisと、 種小名に東京がついています。 これは東京都荒川区産の標本をもとに命名されたからです。 そのことから、 日本シダの会が都道府県ごとにゆかりのあるシダを1種ずつ定める「郷土のシダ」では、 タニヘゴが東京のシダに選ばれています。
 
ところがタニヘゴが好むような湿地は、 埋め立ててしまえば平坦になって土地利用がしやすいため、 都市の発展にともなって急速に減っていきました。 そんなことから2020年の東京都レッドリストでは、 開発が著しい23区で絶滅、 区外ではわずかに生き残っているものの絶滅の危機にあります。
 
一度消えてしまった湿地を元に戻すことは不可能です。 湿地の生き物を守っていくためには、 何よりも無駄な開発を止めることが必要となってきます。