タニヘゴは北日本でよく見られるシダですが、 東京にちなんだ話がいくつかあります。
タニヘゴの学名はDryopteris tokyoensisと、 種小名に東京がついています。 これは東京都荒川区産の標本をもとに命名されたからです。 そのことから、 日本シダの会が都道府県ごとにゆかりのあるシダを1種ずつ定める「郷土のシダ」では、 タニヘゴが東京のシダに選ばれています。
ところがタニヘゴが好むような湿地は、 埋め立ててしまえば平坦になって土地利用がしやすいため、 都市の発展にともなって急速に減っていきました。 そんなことから2020年の東京都レッドリストでは、 開発が著しい23区で絶滅、 区外ではわずかに生き残っているものの絶滅の危機にあります。
一度消えてしまった湿地を元に戻すことは不可能です。 湿地の生き物を守っていくためには、 何よりも無駄な開発を止めることが必要となってきます。
タニヘゴ
湿地でたくさんの葉を立ち上げる!
特徴
涼しい地域の湿った谷沿いなどで見られる大きめのシダ。 葉は根茎から立ち上げるように出て、 タテに長く、 下ほど羽片が短くなります。 名前のヘゴにはシダの総称的な意味があり、 ヤシの木のようになるヘゴ科のヘゴとは分類が大きく異なります。
葉の長さ : 60~130cm
観察の時期 : 春~秋(夏緑性)
生える場所 : 山地の湿地や谷沿い
分布 : 北海道、 本州、 四国、 九州、 朝鮮、 中国
※正確な種の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。