埼玉県立川の博物館

鉄砲堰と筏流し

川の流れで木材を運ぶ

荒川上流の奥秩父の村々は山林が多く、 伐りだした木材を川を利用して江戸へ流送するという運材が盛んに行われていました。 運材が利用された材木の種類は、 スギ・マツ・ヒノキ・ケヤキ・クスノキなどが中心でした。
鉄砲堰は、 秩父山地で伐りだした木材を下流へ運ぶため、 丸太を組んで沢につくった簡易的な堰(ダム)です。 この鉄砲堰にせき止めた水を放出する勢いで、 木材を沢から荒川本流に向けて一気に流し落としました。 沢によってはこの鉄砲堰をいくつも造って上流から順に流し出しました。 荒川の支流中津川流域では、 大正時代から昭和20年代初めまで行われていました。
本流に流し落とされた木材は筏(いかだ)組み立て場まで一本づつ流し送られ、 その後筏に組まれて木場(東京)まで運ばれました。 筏流しは、 道路や鉄道の整備とともに、 大正時代から衰退し、 昭和5年に秩父鉄道が三峰口まで延長されたことにより完全に姿を消しました。

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