ミズナラ

大きな葉っぱ 大きなどんぐり

特徴

日本各地の山地に分布するどんぐりの木で、 「オオナラ」とも呼ばれます。 同じ仲間でよく似ているコナラよりも、 高さも、 葉やどんぐりも大きな木です。 「ミズナラ」と呼ばれるのは、 幹や枝に含まれる水分が多いことからきています。

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

高さは30m、 直径は1.5mほどにもなる大木になります。 何かあったときのために予備の幹を株元から出す萌芽力が強いため、 株立ちになっているものも多く見られます。

  • 高く伸びている木
    写真 / 2024.11.13 新潟県長岡市 MayaN

  • 多くの枝を出している大木
    写真 / 2017.7.30 北海道亀田郡 Tamacha

  • 株元からの萌芽で守りを固めている
    写真 / 2012.8.2 北海道亀田郡 Tamacha

大きなギザギザのある、 大きな葉です。 つけ根のところからシューッと幅が広くなっていき、 先の方で急に狭くなってとがります。 葉柄がとても短く、 目立たないのが特徴です。

  • 枝先に並んで広がるようにつく葉
    写真 / 2021.7.25 栃木県那須町 MayaN

  • ギザギザの先はあまり鋭くない
    写真 / 2022.7.24 北海道亀田郡 Tamacha

  • 葉裏にはとても小さな毛が生えている
    ※クリーム色の玉は虫こぶ
    写真 / 2012.7.30 北海道亀田郡 Tamacha

  • 秋になると黄葉または紅葉する
    写真 / 2024.11.13 新潟県長岡市 MayaN

初夏、 葉が出るのと同時に、 新しい枝のつけ根から伸びてきて開花します。 雄花は紐のような柄にたくさんついてサラサラと何本か垂れ下がります。 雌花は、 新しい枝のつけ根で2〜3こ咲きます。

どんぐりは半年ほどで熟し、 柄がついたまま落ちます。 殻斗(どんぐりの帽子)は、 つけ根に近い方の半分ほどが、 屋根の瓦が重なるように並びます。 あとの半分(帽子のふち)は、 どんぐりにキュッとフィットするかのような細かいポツポツ模様です。

  • 柄がついたまま落ちる実
    ※穴は虫が出たあと
    写真 / 2019.2.28 北海道亀田郡 Tamacha

  • 毛糸の模様編みのような帽子をかぶる若い実
    写真 / 2024.9.4 新潟県長岡市 MayaN

  • まだ小さな若い実
    写真 / 2018.8.11 茨城県つくば市 htanaka

幹・枝

若い枝や幹には凸凹がほとんどなく、 光沢があって丸い皮目があり、 模様や色は、 横縞やまだらに見えます。 老木になると縦に深い割れ目が入り、 ごつごつとした印象の幹になります。

  • これぞミズナラという老木の幹
    写真 / 2023.5.6 栃木県那須町 MayaN

  • 若い木のツヤツヤな幹と枝
    写真 / 2018.8.7 北海道亀田郡 Tamacha

  • 他の木と間違えそうな若木の幹
    写真 / 2019.2.28 北海道亀田郡 Tamacha

  • 縦に割れ目が入り、 老木へと生れかわる
    写真 / 2018.8.8 北海道亀田郡 Tamacha

冬芽・葉痕

たくさんの芽鱗が魚のうろこのようにきっちりと並ぶ、 明るい褐色の冬芽です。 枝先の頂芽の周りに少し小さな芽がたくさんつきます。 上から見ると、 五角形なのがわかります。

  • 葉痕は半円形で、 維管束痕はたくさんあるが目立たない
    写真 / 2025.1.25 東京都練馬区 Tamacha

  • 少し角ばっている芽を上から見ると、 あら五角形
    写真 / 2025.1.25 東京都練馬区 Tamacha

  • 頂芽が1つの新しい枝先の葉痕にお顔があることも!
    写真 / 2022.7.24 北海道亀田郡 Tamacha

幼木

どんぐりは落ちてから、 水分などの条件がよければ根を出して冬を越し、 春が来てから地上に枝を伸ばして葉を出します。 どんぐりの中に入っていた子葉(ふたば)は地上には出ず、 本葉だけが地上で開きます。

  • ミズナラの幼木
    写真 / 2022.7.18 栃木県那須町 htanaka

人との関わり

ミズナラのどんぐりは、 縄文時代、 東日本でブナの実とともに食料として人々の生活を支えていました。
材は伸び縮みしやすく、 通気性に配慮すれば長期間使用できるので、 ウイスキーを熟成させる樽として使われます。
木目が美しい上に丈夫なので、 高級家具材として海外へ輸出された時代がありました。 また、 良質な炭ができるため薪炭材や、 きのこを育てる原木として利用されてきました。

  • ウイスキーの樽
    写真 / いらすとや

名前の由来

コナラの仲間で、 幹や枝に水分が多く、 燃えにくいことから「ミズナラ」と呼ばれるようになりました。 春先は成長が活発になるので、 幹や枝には樹液がたくさん流れます。 糖分を多く含んだ樹液が外に染み出すと、 夏にはそれを目当てにいろいろな虫が集まります。

  • 樹液に群がるミヤマクワガタ
    写真 / 2011.7.28 北海道亀田郡 kinokoe

性格

早春暖かくなると植物は新芽を出し始めます。 でも、 ミズナラは全部出し切りません。 なぜなら春は急に寒くなって霜が降りることがあるからです。 急な霜で枯れてしまう植物はたくさんあります。 ミズナラは用心深く2回に分けて芽を伸ばします。 ドングリは渋くてタンニンが多く、 食べ慣れていないネズミが食べると中毒死するそうです。 地元のどんぐりの渋さに慣れた動物たちと暮らしています。

  • ドングリはかわいいのに味はかわいくない
    写真 / 2025.1.24 minaei

体験・遊び

ドングリは虫が出るから―と敬遠されがちですが、 拾ったら冷凍庫に入れるとほぼ死にます。 どんぐりのかわいさを堪能しましょう。 ヒートンをつけてペンダントなどできます。

関わりが深い生き物

葉、 どんぐり、 太い幹などを、 動物や虫などのいろいろな生きものが利用します。

  • 葉を食べるマイマイガの幼虫
    写真 / 2012.7.30 北海道亀田郡 Tamacha

  • 幹をつつくクマゲラ
    写真 / 2019.3.1 北海道亀田郡 Tamacha

見られる場所