シュロ

鳥さん種まき、 どんどん拡大

特徴

昔は「捨てるところが無い」と言われるほど繊維や葉を利用されていました。 鳥にとっても巣作りの材料にもなる貴重な木です。 鳥はみずからシュロの実を食べ、 糞をし、 あちこちに種をまく手伝いをしています。

みんなの投稿

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

ヤシの木の仲間なので、 樹形は南国の木のよう。 大きな葉っぱを広げて太陽をあびようと上を目指します。 生長点が幹のてっぺんなので、 幹を切ると生長できず枯れてしまいます。

  • ヤシの木の仲間のシュロ
    写真 / 2020.10.2 千葉県袖ヶ浦市 MayaN

50~80cmの大きなうちわのような葉。 葉先が折れ曲がります。 トウジュロは葉先がぴんとしていて葉の開きが160度ぐらいのものが多く、 シュロは葉の開きが200度以上あります。

  • 葉先が垂れるシュロ
    写真 / 2020.9.28 千葉県習志野市 MayaN

  • 左がトウジュロ(葉の開き160度ぐらい)、 右がシュロ(葉の開き200度以上)
    写真 / 2020.10.7 埼玉県狭山市 minaei

  • うちわのような葉が四方に伸びる
    写真 / 2020.10.2 千葉県袖ヶ浦市 MayaN

雄花は、 黄色い大きな房(ふさ)で、 まるでカズノコ。 雌花は、 柄がサンゴのように伸びて緑の花が咲きます。 雄の木と雌の木別々ですが、 両方咲いているものもたまにあります。

  • カズノコのような雄花
    写真 / 2016.4.20 東京都東村山市 minaei

  • サンゴのような雌花の柄。 花びらはない
    写真 / 2016.5.8 東京都世田谷区 minaei

小さな実が柄にたくさんつきます。 熟すと青緑から青黒くなります。 実が黒く柄が黄色~オレンジ色なので、 とても目立ち鳥へのアピールになっています。

  • 熟しつつある実
    写真 / 2016.9.14 東京都世田谷区 minaei

  • 未熟な実
    写真 / 2016.6.17 東京都世田谷区 minaei

  • 芽生え
    写真 / 2015.10.9 東京都練馬区 minaei

幹・枝

ふつうの木とは生長の仕方が違い、 年輪はなく太りません。 毎年背が高くなるだけで、 幹の太さは変わりません。 葉を守る苞がけばだち、 幹を繊維で包んでいます。 その繊維をより合わせてシュロ縄やホウキを作ります。

  • 上は繊維が残っていて、 下は繊維が取られている
    写真 / 2016.2.5 東京都小金井市 minaei

  • 葉の柄の繊維が残っている
    写真 / 2016.2.5 東京都小金井市 minaei

  • シュロの繊維
    写真 / 2016.2.5 東京都小金井市 minaei

  • 切株に年輪はない
    写真 / 2016.3.8 東京都練馬区 minaei

冬芽・葉痕

きっちりとたたまれた扇子のような芽が伸びてきて、 うちわのような1つの葉になります。 粗い毛に包まれています。

  • まだ小さな木。 葉が小さくたたまれ、 薄く毛にも包まれている
    写真 / 2024.1.6 東京都練馬区 Tamacha

  • 木のてっぺんから、 きれいに折りたたまれている葉が出てくる
    写真 / 2024.2.8 東京都千代田区 Tamacha

人との関わり

シュロの繊維は、 シュロ縄・ホウキ・タワシなどいろいろなものに利用されています。 お寺の鐘つき棒にシュロの幹が使われることもあります。 また、 葉は葉先を切ってハエ叩きも作っていたそうです。 葉の柄は良くしなり、 ピシッと叩くことができますが、 街なかでは、 なかなかハエがいません。

  • 幹は鐘を突く棒にもなる
    写真 / 2010.1.5 島根県益田市 minaei

  • シュロのたわしは少しお高い
    写真 / 2016.2.13 東京都東村山市 minaei

  • シュロのハエ叩き
    写真 / 2017.7.12 埼玉県狭山市 minaei

名前の由来

シュロの由来は中国語の棕櫚からだと思われます。

性格

南国の雰囲気のとおり寒いのは苦手ですが、 ヤシの仲間にしては寒さに強いほうです。 日蔭にも強く、 緑地では木の下にたくさん生えています。 昔はいろいろ人が利用していましたが、 最近は鳥がお得意様で、 巣作りに役立ってます。 鳥が実を食べて糞と一緒に種をまいていますが、 温暖化もあって異常な増え方をしています。 都内の公園がいつの間にか熱帯雨林の森のようになっています。

  • 鳥の巣はビニールなど使われることが多いが、 内側はシュロの自然素材が好まれる
    写真 / 2016.2.19 埼玉県飯能市 minaei

  • 鳥が糞を落とす木の下でたくさん芽生える
    写真 / 2012.2.27 東京都練馬区 minaei

体験・遊び

イネ科のススキなどは葉に石(プラントオパール)がついているので葉で手を切ることがありますが、 シュロはないので切りません。 昔の草花あそび「ススキのロケット」もシュロでやれば手を切る心配はありません。 でもススキのほうがよく飛びます。

  • 葉脈が太くて丈夫な葉っぱを選んで、 20㎝ぐらいの長さ切る(シュロは短めでないと飛ばない)
    写真 / 2020.6.5 埼玉県狭山市 minaei

  • 10㎝ぐらいさき、 10㎝残す
    写真 / 2020.6.5 埼玉県狭山市 minaei

  • 割いた葉を下へ葉脈を人差し指の上へセットする
    写真 / 2020.6.5 埼玉県狭山市 minaei

  • 割いた葉を勢いよく下へ引くと葉脈が飛ぶ
    写真 / 2020.6.5 埼玉県狭山市 minaei

  • 葉脈が柔らかいものだと曲がって飛ばない
    写真 / 2020.6.5 埼玉県狭山市 minaei

  • 葉を切るとハエ叩きにもなる
    写真 / 2020.6.5 埼玉県狭山市 minaei

  • 葉っぱでバッタもつくることができる
    写真 / 2021.6.26 東京都小金井市 minaei

関わりが深い生き物

シュロの実を食べにヒヨドリなどがやって来ます。 タネは鳥によって運ばれて、 あちこちでシュロの芽生えが見られます。
大きな葉の裏は、 昆虫などの隠れ場所。 冬越しをしている小さな虫たちを見ることができます。

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執筆協力 : 岩谷美苗