チャノキ

日本文化を育ててきた木

特徴

奈良時代は薬用として、 鎌倉時代にはお茶として味を楽しむために中国から渡ってきました。 今では日本茶として多くの人に親しまれ、 茶道、 茶庭、 茶花といった日本文化でも一役買ってきた優秀な木です。

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以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

高さ2mほどに育ちます。 根元から何本も幹を出して株立ちの樹形を作ります。 茶畑では新葉をつみ取りしやすいように、 かまぼこ型に刈り込まれます。

  • いくつも重なる緑の帯をつくる茶畑は美しい日本の原風景
    写真 / 2023.5.29 京都府木津川市 MayaN

  • 形を保つために強く枝を切られる時もある
    写真 / 2023.5.29 京都府木津川市 MayaN

  • 庭木や境界木、 生垣としても植えられる
    写真 / 2021.11.7 千葉県昭和の森公園 MayaN

4月ごろに新しい葉を数枚開き、 いったん休んでから再び成長を始めることが多いです。 よく茶畑には大きな扇風機を目にしますが、 お茶になる新しい葉っぱを遅い時期にやってくる「しも」から守るために設置されます。

  • ふちには波状の細かい鋸歯がある
    写真 / 2021.11.7 千葉県昭和の森公園 MayaN

  • 芽吹いたときは毛がある
    写真 / 2021.3.6 東京都小石川植物園 MasakoT

  • 葉脈が凹みシワのように見える
    写真 / 2021.2.12 東京都小石川植物園 MasakoT

  • 葉は互生に付き、 先端が少しくぼむ
    写真 / 2021.11.7 千葉県昭和の森公園 MayaN

  • 表面がツルツルで光をよく反射する
    写真 / 2021.2.28 千葉県昭和の森公園 MayaN

10~12月に黄色い雄しべをたくさん出した白い花が咲きます。 俳句で「茶の花」は冬の季語としてよまれてきました。 観賞用としてもうつむき加減で主張しすぎないおしとやかな姿は、 日本人に好まれてきました。

  • 花の柄は長さ1~1.4cmで湾曲して花は下向きに咲く
    写真 / 2019.11.28 千葉県森林研究所 MayaN

  • 雌しべは1つ。 雄しべはたくさん
    写真 / 2019.12.22 茨城県椎尾山 htanaka

  • 丸い花びらは5~7枚で先が凹む
    写真 / 2021.11.7 千葉県昭和の森公園 MayaN

  • 花弁の付け根に5~6個の萼片が付く
    写真 / 2021.11.7 千葉県昭和の森公園 MayaN

  • 花弁は黄色いしべを優しく包む
    写真 / 2021.11.7 千葉県昭和の森公園 MayaN

  • 花弁と雄しべはくっついたまま落ちる
    写真 / 2021.11.7 千葉県昭和の森公園 MayaN

  • 花が散った後の雌しべはへびの舌の様?
    写真 / 2021.11.7 千葉県昭和の森公園 MayaN

秋、 ちょっといびつな球体の実の中に、 茶色くてすべすべの種を3個つけます。

  • 実が熟すと3つに割れて種が現れる
    写真 / 2021.11.7 千葉県昭和の森公園 MayaN

  • 弾ける前の実は黒ずみながら種を守る
    写真 / 2021.11.7 千葉県昭和の森公園 MayaN

  • 若い実は芋虫っぽい
    写真 / 2021.2.19 千葉県万葉植物園 MasakoT

幹・枝

幹は灰白色ですべすべです。 若い枝は淡茶色で短い毛があります。

  • ツバキやサザンカに似た樹皮
    写真 / 2021.11.7 千葉県昭和の森公園 MayaN

冬芽・葉痕

お茶つみでは「一心三葉」と言って一つの茎で三枚の新葉をていねいにつみ取りますが、 その大切な葉っぱの冬芽は毛で大切に守られています。

  • 良く見ると結構毛深い
    写真 / 2021.2.12 東京都小石川植物園 MasakoT

  • 互生する葉の付け根に付く
    写真 / 2021.2.12 東京都小石川植物園 MasakoT

  • 春を迎えてぐんぐん伸びてきた冬芽
    写真 / 2021.2.19 千葉県万葉植物園 MasakoT

人との関わり

葉には体に良いとされている成分が多くふくまれています。 昔から茶葉をつむ時期は立春から数えて88日目の夜である「八十八夜」が良いとされ、 この日につんだ茶葉は長寿の薬とされてきました。
実・種子からも食用や化粧油としてカメリア油が取れます。

名前の由来

漢名の「茶」を音読みしてチャ、 チャノキとなりました。

その他の情報

大きく種類を分けると、 低木で葉っぱが小さいシネンシスと、 小高木で葉が大きいアッサムに分けられます。 日本で育てられる緑茶はシネンシスの種類になります。 一方、 アッサムは紅茶用の木です。

性格

南方系出身なのに、 人に持ち込まれて、 寒い北海道の積丹半島でも住んでいます。 やってみたら意外とできちゃった感じ?かもしれません。 チャノキの順応性・ポテンシャルは高いです。 日本茶だけでなく、 紅茶、 ウーロン茶も同じチャノキの葉から作られます。
とはいえ春先の霜に弱い点は、 やっぱり南の木なんですね。

  • 春の新葉をつんで、 お茶づくり
    写真 / 2016.4.29 東京都小金井市 minaei

  • 発酵させない日本茶
    写真 / 2016.4.29 東京都東村山市 minaei

体験・遊び

先ず種が3つ入ってそうな、 まだ熟してない青い実をとります。 次に実をコンクリートにこすりつけて削ると、 あら不思議!宇宙人のようなサルのような顔が出てきます。 実が小さすぎても、 熟して種がはじけても出来ません。 夏から秋に実の熟し具合を観察してやってみましょう!
地図の茶畑の記号(3つの点)は実の断面の様子をもとにつくられました。

  • 熟してない、 こういう実を選ぶ
    写真 / 2020.9.17 東京都小金井市 minaei

  • 実の下面をコンクリートにあてて、 こする
    写真 / 2020.9.17 東京都小金井市 minaei

  • 中の種が見えてきて、 顔になる
    写真 / 2016.10.14 東京都杉並区 minaei

  • 時間がたつと茶色くなる
    写真 / 2020.9.17 東京都小金井市 minaei

関わりが深い生き物

晩秋に咲く花には、 ハチ、 ハナアブ、 チョウなどいろいろな昆虫が集まります。 スズメバチも大好きな花で、 よくやって来ます。
毒のあるチャドクガにもご注意!葉に幼虫の食べあとがあると気をつけましょう。

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見られる場所

執筆協力 : 岩谷美苗