21世紀の森と広場

ヤマハンノキ

荒れ地に生きるたくましい木

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特徴

いち早く空いた場所に陣取る開拓の木、 パイオニアツリーです。
根は菌と共生していて、 大切な栄養素「窒素」を空気から取り込むことができます。 最初にこの木が荒れ地に入ってくれると、 他の木もその栄養をもらって育ちやすくなります。

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

高さ15~20mになります。 葉に大きなギザギザがあるためか、 ぼさぼさしている樹形です。 風で葉がひるがえると葉裏の白さが目立ちます。 夏ごろ、 新しい芽が赤味を帯びて目印になります。

  • きれいな赤い新芽が目印
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

ざっくりしたギザギザがあり、 葉裏は白っぽく、 または少々銀色っぽく?見えます。
基本的に毛があまりありませんが、 若葉には細かい毛がたくさんあり、 触ると気持ち良いですよ。

  • 山形重鋸歯で葉の周りはツンツンしているように見える
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

  • 古い葉はゴワゴワした感じ
    写真 / Iwatanabe

  • 葉裏は白く葉脈が出っ張る
    写真 / Iwatanabe

  • 互生で7~12cmの幅広めの葉
    写真 / Iwatanabe

  • 夏の新芽は赤くなる
    写真 / htanaka

  • 枝の分かれ目に付く脇芽
    写真 / Iwatanabe

枝先に付く長いおばなの付け根に、 短いめばなが下向きに付きます。 両方とも少し紫がかった茶色です。
4月に咲く花ですが、 おばなは前年の秋から垂れ下がって冬を越すスタイルなので、 満開がわかりにくいです。

  • 4月に咲く花の後に葉が付く
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

ちょっと細めの、 ちっちゃいマツボックリのような形です。 10月ごろに熟し、 緑からこげ茶色になります。

  • 熟す前は緑色
    写真 / MayaN

  • こげ茶色に熟すと全体的に割れ目が入りヒダが出来る
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

  • 次の年になっても、 なかなか落ちない
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

幹・枝

若い枝には細かい毛が多く付いていますが、 時間が経つと毛は落ちます。
幹はだはなめらかで、 紫っぽい茶色です。 灰色で横長の皮目が出来ます。

  • 若い毛は長めの毛が多く付く
    写真 / Iwatanabe

  • 枝にも皮目がよく目立つ
    写真 / Iwatanabe

  • ヤマハンノキの幹肌はなめらか
    写真 / Iwatanabe

  • こちらはハンノキの幹。 全然違う
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

冬芽・葉痕

長細い卵形をしています。 芽の中は側脈に沿って扇だたみになっている葉があります。

  • 冬芽だけではケヤマハンノキとの区別は難しい
    写真 / Iwatanabe

人との関わり

木材として家具や器具を作ります。 鉛筆やたきぎにも使われ、 炭は火薬の原料となります。 染料にすれば、 樺色や黒色が出せます。

名前の由来

ハンノキの仲間は川の近くや池のしめった場所が好きですが、 この木はかわき気味の山地に生えるので、 ヤマハンノキと呼ばれます。

その他の情報

仲間の木であるハンノキの葉は大きなギザギザはありません。 葉に赤茶色の毛がある種類はケヤマハンノキといいます。
ハンノキが元々平地の湿地に多いのに対し、 ヤマハンノキは森や林縁に生えます。

  • ハンノキの葉はあまり似ていない
    写真 / S.Ikeda

性格

ハンノキの仲間は根っこで放線菌(ほうせんきん)という微生物と共生していて、 葉っぱなど体を作る時に必要なチッソをもらえるので、 かなり強気です。 葉を落とす前に紅葉(黄葉)する木は葉の葉緑素を分解してリサイクルする結果、 葉が色づくのですが、 この木はその必要がないためか、 緑のまま葉を落とします。 また、 他の木より葉を使う期間が短く、 どんどん新しい葉をつけて使い、 捨てていきます。 結構浪費家?の可能性ありです。 共生する微生物のおかげで、 生長が早くタフな木です。

  • 放線菌の後ろ盾は強い
    写真 / minaei

体験・遊び

小型のマツボックリの実はクリスマスのかざりにぴったりです!マツボックリやリボンでリースを作ったり、 粘土で作ったケーキにかざり付けてもかわいいです。

  • 白い粘土と枝の輪切りと実いろいろを準備します
    写真 / minaei

  • 木に粘土を適当にのせます。
    写真 / minaei

  • 木の実などを押し付けて乗せます。 乾いたら出来上がり!
    写真 / minaei

関わりが深い生き物

ミドリシジミが大好きな木です。 幼虫は葉を二つに折って住みかを作り、 中に隠れています。

  • ※この葉はハンノキ
    写真 / MasakoT

  • 脇芽の周りのアリは何を探している?
    写真 / Iwatanabe

見られる場所

執筆協力 : 岩谷美苗

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