シビイタチシダ

一度は絶滅!?今も植物園で生きるシダ

  • かつて石垣のすき間で見つかった。
    これは若葉。
    写真 / 2024.5 筑波実験植物園(植栽) S.Ikeda

  • 根茎を斜上させて葉を出す。
    若葉は黄緑色っぽい。
    写真 / 2024.5 筑波実験植物園(植栽) S.Ikeda

  • 葉はやや硬めの質感。
    葉先はなだらかに細くなる。
    写真 / 2024.5 筑波実験植物園(植栽) S.Ikeda

  • 羽片。
    基部ほど小羽片は長くて深く切れ込む。
    写真 / 2024.5 筑波実験植物園(植栽) S.Ikeda

  • 最下羽片。
    写真 / 2024.5 筑波実験植物園(植栽) S.Ikeda

  • 葉軸に接する下向き小羽片が長めだが顕著ではなく、 となりの小羽片の同じくらいの長さのことがある。 これは長いオオイタチシダと、 短めのギフベニシダの中間の特徴。
    写真 / 2024.5 筑波実験植物園(植栽) S.Ikeda

  • 葉裏。
    胞子のう群は円形。
    フチと脈の中間につく。
    写真 / 2024.5 筑波実験植物園(植栽) S.Ikeda

  • 若い胞子のう群。
    包膜はCの形で灰白色。
    羽軸の鱗片は基部が袋状にならない。
    写真 / 2024.5 筑波実験植物園(植栽) S.Ikeda

  • 葉柄基部。
    茶色っぽい鱗片と黒い鱗片が混ざる。 茶色っぽいギフベニシダと黒いオオイタチシダの中間っぽさの出ている特徴。
    写真 / 2024.5 筑波実験植物園(植栽) S.Ikeda

  • 葉柄上部。
    茶色っぽい鱗片が多く、 中央が黒い鱗片が混ざる。
    写真 / 2024.5 筑波実験植物園(植栽) S.Ikeda

  • 葉軸。
    茶色っぽい鱗片と中央が黒い鱗片が混ざる。
    最初は多いが、 後にまばらになる。
    鱗片は基部が袋状にならない。
    写真 / 2024.5 筑波実験植物園(植栽) S.Ikeda

  • 新芽。
    たくさんの鱗片のつく感じがイタチっぽい?
    写真 / 2024.5 筑波実験植物園(植栽) S.Ikeda

特徴

オオイタチシダギフベニシダの雑種起源で生まれたと考えられているシダで、 葉形や鱗片の色などに両種の特徴が合わさっています。 日本固有種ですが、 唯一生えていた鹿児島県西部の紫尾山で長年再発見されていない、 野生絶滅のとても珍しいシダです。
 
葉の長さ : 40~100cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生えていた場所 : 低山の石垣のすき間
分布 : 九州の紫尾山のみ(野生絶滅)

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。 ​

植物園に生き残っていた!

シビイタチシダは一時期、 生きている株が確認されていなかったことから、 2007年には環境省レッドリストによって「絶滅」とされていました。 しかし、 同年9月に茨城県つくば市の筑波実験植物園で生きている株が再発見されたのです。
 
後に鹿児島県の個人宅でも生きている株が見つかり、 カテゴリが「絶滅」から「野生絶滅」に変更されました。 植物園の保護増殖活動により、 今では50株以上に増え、 絶滅の危機から免れることができでいます。
 
このように植物園は、 ただ単に植物を植えているだけの施設ではありません。 貴重な植物を次世代へ残していくための大きな役割を担っています。

執筆協力 : 撮影にあたり、 筑波実験植物園のご協力を頂きました。