ヤツデ

ヤツデだけど切れ込みは八つじゃない?

特徴

大きく、 深くさける葉っぱは「天狗の羽団扇(はうちわ)」に例えられます。
手のひら状に八つに分かれるから八手(=ヤツデ)?と思われがちですが、 実際には切れ目の数は様々で、 7つや9つのように奇数に分かれていることが多いです。 寒い季節に咲く花は、 成虫で冬を過ごす生き物の数少ないレストランです。

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

高さ1.5~3mくらいになります。 中には5mくらいまで大きくなる木もあります。 枝はあまり分かれることはありませんが、 大きな葉っぱが目立つので遠くからでも見分けられます。

  • 花の時期のヤツデ。 派手ではないが姿が美しいということで庭のアクセントとして植えられる。
    写真 / 2023.12.27 京都市鞍馬寺  MayaN

  • 大きな葉っぱが目立つ。 根元から幹をたくさん出す株立ちの樹形
    写真 / 2020.7.29 千葉市美浜区 MayaN

  • 日影に強く、 林の中でもヒョロヒョロと伸びて大きな葉を広げる
    写真 / 2021.12.26 京都府稲荷神社 MayaN

葉っぱの大きさは20~40㎝と大きく、 手の平のように5~9つに深くさけます。 葉の縁には、 あらいギザギザあります。

  • 互生で、 深くさける大型の葉っぱ
    写真 / 2015.1.31 東京都小石川植物園 MayaN

  • たくさんの葉が少しずつづれてつく。
    写真 / 2020.7.29 千葉市美浜区 MayaN

  • 付け根がふくらんだ柄も30㎝くらいあり長~い!
    写真 / 2021.4.1 千葉市美浜区 MayaN

  • テカテカと光を照り返す葉っぱで南国っぽい雰囲気を漂わせる木(品種によって葉の質感は異なります。 )
    写真 / 2019.1.21 千葉県幕張海浜公園 MayaN

  • 若葉は茶色い毛に被われているが大きくなるに従い毛が無くなる
    写真 / 2021.4.1 千葉市美浜区 MayaN

  • ほぼ1年で生え変わる
    写真 / 2021.3.14 MayaN

11~12月の冬の初めに、 枝の先に小さな白い花が集まって咲き、 かざりのポンポンのような球を作ります。
花の少ない寒い時期に咲くので、 たくさんの虫たちがやってきます。 花は「雄しべ先熟」といって最初に雄しべだけ熟し、 この時、 虫に花粉を運んでもらおうと蜜を出します。 花をよく見ると蜜がキラキラ光って見えます。 雄しべが花粉を出し終えると、 蜜も出なくなります。 その後、 雄しべと花びらが落ちて雌しべが熟すと、 また蜜を出して虫を待ちます。
雌性期の花は、 「毛が3本」のオバQ(古い?)の頭みたいで可愛いです!

  • 花は房状になって咲く。
    写真 / 2019.12.9 千葉市美浜区 MayaN

  • 両性花の雄性期。 たくさんの蜜がジワっと出て、 虫を呼ぶ。
    写真 / 2020.11.11 千葉県柏市 MasakoT

  • 両性花の雌性期。 花びらはないがちゃんと虫たちがやってくる。
    写真 / 2020.12.12 千葉市若葉区 MasakoT

  • 両性花の雌性期。 つんつんと出ているのが雌しべ。
    写真 / 2020.12.12 千葉市若葉区 MasakoT

  • つぶつぶした蕾はベリーの実のように見える⁈
    写真 / 2020.11.13 千葉県市川市 MasakoT

5月ごろ、 枝先に黒っぽい紫色の実を付けます。  

  • 実は蓋の付いた壺のよう
    写真 / 2021.4.1 千葉市美浜区 MayaN

  • 冬に咲く花の後、 翌年の春に実を付ける
    写真 / 2017.4.16 千葉市若葉区 MayaN

  • 熟す前の実は緑色
    写真 / 2021.1.8 千葉県船橋市 MasakoT

  • たくさん付く実の重さで柄が「重いよ~」と言わんばかりに垂れる
    写真 / 2021.4.1 千葉市美浜区 MayaN

幹・枝

幹は灰色がかった色をしています。 葉っぱの付いたあとが半月の形で残ります。

  • 灰色がかった幹
    写真 / 2022.1.30 千葉県大日山・御前山 MayaN

冬芽・葉痕

夏に出来る花芽は黄緑色の葉っぱのようなカバーで守られています。 葉芽は枝先にツンツンとまとまって出て来ます。

  • 卵形の苞(ほう)で守られる花芽
    写真 / 2020.10.20 千葉県市川市 MakoT

  • 出てくる蕾は白っぽい緑色
    写真 / 2020.10.24 千葉県柏市 MakoT

  • 春に伸びる葉芽は枝先にまとまって付く
    写真 / 2021.1.26 千葉市若葉区 MasakoT

  • 手が合わさったように出てくる若葉
    写真 / 2008.4.15 千葉県立中央博物館生態園 MakoT

  • 芽吹いたと思ったら、 あっという間に葉が展開する
    写真 / 2017.4.10 千葉県習志野市 MakoT

人との関わり

自然でも多く生えますが、 日陰でも育つこと、 大きな葉がアクセントになるということで日本庭園によく植えられてきました。

名前の由来

漢字表記の「八手」の八は数が多いという意味があるといいます。 実際は葉の切れ込みは5〜11と様々です。
別名、 テングノハウチワともいわれます。

関わりが深い生き物

ヤツデの花は、 蜜がたっぷりあり、 虫たちのレストラン。 寒さに強いハエやハナアブなどがたくさん集まります。 スズメバチもやって来ますのでご注意を!
冬、 大きな葉の裏は小さな虫たちの越冬場所になります。 そっとめくって、 隠れている虫たちを探してみましょう。
実を食べに、 ヒヨドリなどの鳥がやって来ます。

  • ヒラタアブの仲間
    写真 / 2017.11.15 千葉県松戸市 MasakoT

  • ホソヒラタアブ
    写真 / 2023.12.20 千葉県習志野市 MasakoT

  • 蜜をなめるシマハナアブ
    写真 / 2018.11.15 千葉県松戸市 MasakoT

  • 葉裏で冬を越すクロスジホソサジヨコバイ
    写真 / 2022.3.9 千葉県市川市 MasakoT