ハウチワカエデ

天狗のうちわにそっくりな葉っぱ

特徴

天狗の持っている羽団扇(はうちわ・羽でできた団扇)に葉の形が似ていることから名前がつきました。
大きめの葉が秋、 紅葉すると見応えがあります。
自然では低山から亜高山帯の林に生えます。 日本固有種です。

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

高さ5~10mになりますが、 大きなものは15mくらいになります。

  • 幹は真っ直ぐ上に伸びやすい
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

モミジの中では葉が大き目で、 秋の紅葉は目立ちます。 葉は手の平状に浅く裂け、 縁にはギザギザがあります。
葉脈がくぼんで、 ちょっとシワシワに見えます。 新芽は白い毛でガッチリ守られています。

  • 大きな葉の秋の紅葉は美しい
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

  • 対生に葉が付き、 葉柄は葉の長さの1/2よりも短い。 縁に重鋸歯がある。
    写真 / 2023.8.22 福島県檜枝岐村 MayaN

  • 葉裏。 脈上や脈の付け根に毛がある
    写真 / 2022.9.22 長野県八千穂高原 MayaN

  • 新芽は毛深い。 葉柄も毛が多め。
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

  • 若葉は少しだけ赤味がかるものもある
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

4~5月ごろ新芽の芽吹きと同時に咲きます。
赤紫色の雄花と両性花が混じって咲きます。

  • 雄花。 花弁は5枚。 濃い赤色の花びらに黄色い「おしべ」がアクセント。
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

  • 新芽のすき間からこぼれ出てくる花
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

  • 葉の下に10個くらいの花がまとまって咲く
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

7~9月ごろ、 2個のブーメランのような実がくっついて実ります。

  • 未熟な実。
    二つの実はほぼ水平にくっつく。
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

幹・枝

青味ががかった灰色や灰色っぽい茶色の幹肌で、 老木になってくると樹皮は浅く縦にさけてきます。
一年目の枝は赤っぽくピカピカ光沢があります。

冬芽・葉痕

赤いカニのハサミのような冬芽が2個付きます。 外から見える芽鱗(がりん・冬芽をつつんでいる鱗状のもの)は3~4枚で、 下の方には白っぽい膜を腹巻のように巻いています。

人との関わり

紅葉が美しいので庭木や盆栽として人気があります。 木材は建築材や器具材、 彫刻材として使われます。

名前の由来

鳥の羽で作った「うちわ」に葉っぱが似ていることから名付けられました。 名月の光で紅葉が映えて、 散る様も美しいことから名月楓(メイゲツカエデ)という風流な別名を持っています。

関わりが深い生き物

花にはいろいろな種類のハナカミキリが訪れます。
芽吹きの頃、 モミジニタイケアブラムシが姿をあらわします。