21世紀の森と広場

ヒメコウゾ

キイチゴみたいな実のなる木

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特徴

初夏に木苺のようなオレンジ色のみずみずしい実をつけます。 この実は甘みがあって食べられるのですが、 トゲトゲした食感がちょっと悩ましいです。
紙の原料とされた コウゾは、 ヒメコウゾとカジノキの雑種になります。

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

幹や枝がヒョロヒョロと伸びて、 「つる」っぽさを感じさせてる樹形です。 おとなりの木にもたれることが出来れば細い幹のままで、 ちゃっかり大きくなっていきます。
ただし、 個体差が大きく比較的小型の樹形をたもったままの木もあります。

  • 細い幹や枝をたくさん出す
    写真 / MayaN

  • 葉も小さくこじんまりとした樹形のヒメコウゾもある。 個体差が大きい。
    写真 / MayaN

先っぽが尾っぽのように細長くなる葉っぱです。 ふつう卵形ですが、 2~5つに深くさける葉っぱもあり、 若い枝ではよくさけます。
触ると両面に毛があり柔らかい感じがします。 この感じがヤマグワと違うので区別する手がかりになります。

  • 細かいギザギザがあり、 2~5つに深く裂ける葉っぱ。 葉は様々な形をしている。
    写真 / htanaka

  • この株は、 卵形で先っぽは細く長く伸びる葉っぱばかりつけている。
    写真 / S.Ikeda

  • 葉は互生。 葉柄は短い。
    写真 / MayaN

  • 薄い葉っぱで葉裏に脈が盛り上がる。 柄が1㎝程度と短め。
    写真 / S.Ikeda

  • 新芽はピカピカと陽の光を照り返す
    写真 / htanaka

  • 葉脈が先端まで到達しないのがヤマグワと区別するポイント、 と言われているが、 じっさいは例外も多くある。
    写真 / MasakoT

  • 葉脈が先端まで到達している葉
    写真 / MasakoT

  • 秋の黄葉は鮮やかで、 林縁にたくさん生えていることがわかる。
    写真 / htanaka

4~5月、 雄花と雌花が同じ木に咲きます。 新しい枝の葉の付け根に雄花が咲き、 その上部にホヨホヨした赤紫色の毛の様なものを生やした雌花をつけます。
雌花と雄花の咲き始める時期がずれていて、 まず雌花が咲き始め、 後から雄花が咲き始めます。

  • 白い雄しべが目立つ雄花
    写真 / MasakoT

  • ホヨホヨ、 もじゃもじゃした花柱を付ける雌花
    写真 / MasakoT

  • 新しい枝の上に雌花、 下に雄花を咲かせる
    写真 / htanaka

6~7月、 可愛らしいキイチゴのような赤い実を付けます。 食べると甘味があるのですが、 トゲトゲした食感がありちょっと悩ましいです。

  • プチプチした赤い実。 美味しそうだが食べるとトゲトゲした食感がありちょっと悩ましい。
    写真 / MayaN

  • 枝に並んでたくさん実る。
    写真 / htanaka

幹・枝

幹には細い縦の筋が入り、 横長の小さなブツブツが付きます。 1年目の枝には短い毛がたくさん生えますが、 やがて毛は落ちてスベスベになります。

  • 細長い楕円の皮目が目立つ
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

  • 1年目の緑色の枝には白い毛がたくさん生えている
    写真 / S.Ikeda

冬芽・葉痕

おにぎりのような形の冬芽で、 芽鱗は2枚です。 葉痕はほぼまん丸で、 維管束痕も丸く並びます。 横から見ると、 枝からかなり飛び出しているのも特徴です。

  • おにぎりは、 割れちゃいそうに見える
    写真 /  Tamacha

  • この飛び出し方で、 クワと見分けられる
    写真 / Tamacha

  • 昭和育ちの人には、 黒電話のダイヤルに見えるかもしれない葉痕
    写真 / Tamacha

  • 葉がとれたばかりだと、 緑電話
    写真 / MasakoT

名前の由来

木の高さや葉の大きさがコウゾに比べて小さ目なので、 小型を表す「ヒメ」を付けてヒメコウゾと名付けられました。
本来日本に自生していたのはヒメコウゾになります。

その他の情報

・ヒメコウゾとコウゾ(ヒメコウゾとカジノキの雑種)はとてもよく似ていて区別が難しいですが、 コウゾは雄花と雌花が別々の木に咲き、 実が付きにくいです。 また、 葉っぱが大き目で柄が長いです。
・ヤマグワとも似ていますが、 冬芽の形、 実の形で見分けることが出来ます。
・カジノキの葉も似ていますが、 カジノキは対生する枝がよく混じっていて、 枝に粗い毛が多く灰色がかった樹皮であることが見分けるポイントになります。

  • 冬芽はヒメコウゾ(コウゾ)とヤマグワを区別するのにとても重要な手がかり
    写真 / MasakoT

関わりが深い生き物

おいしい実を食べに、 ヒヨドリやメジロなどの鳥がやって来ます。 実を吸うカメムシの姿も見かけます。
数種類のカミキリムシがヒメコウゾの材や葉を食べます。

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