フジシダは漢字で「富士羊歯」と書きます。 つまりその由来は、 あの日本一高い標高3776mの富士山…というわけではなく、 愛知県にある標高275mの「尾張富士」が由来です。 尾張富士は、 日本各地に数百はある郷土富士の一つですが、 なんとややこしいことに、 本家の富士山でフジシダは今のところ発見されていません。
この他にも愛知県の山の名前が由来のシダには、 ややこしいものがいくつかあります。 例えばトウゴクシダは東国ではなく、 東谷山が由来です。 ホングウシダは本宮山が由来ですが、 実はその山には生えていなかったりします。
フジシダ
葉先にクローンをつける「富士」のシダ
特徴
暖かい地域の山地に生える細長めのシダ。 大きな特徴は、 葉先が細く伸びて先に無性芽をつけることで、 クローン集団が群生していることがよくあります。 葉は濃緑色でツヤがあり、 葉裏につく胞子のう群は円形で包膜がなく、 葉柄基部には毛をつけます。
葉の長さ : 20~60cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 山地の斜面や岩場
分布 : 本州(関東以西)、 四国、 九州、 台湾、 中国
※正確な種の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。
