コケシノブ

二枚貝をつけるコケみたいなシダ

  • 深山の幹などに生える。
    写真は標高700mほどの地点で、 スギ林が広がる。
    写真 / 2026.3 神奈川県 S.Ikeda

  • 根茎を長くはって葉を出し、 群生する。
    マット状で、 押すとややフカフカな感じ。
    写真 / 2026.3 神奈川県 S.Ikeda

  • 葉先。
    他種よりは細くなることが多い。
    写真 / 2026.3 神奈川県 S.Ikeda

  • 羽片。
    裂片幅は広めで、 フチに鋸歯がない。
    胞子のう群は、 中部の羽片にもいくつかつく。
    ヒメコケシノブは葉先近くにのみ多数つける。
    羽片のつく角度に注目。
    写真 / 2026.3 神奈川県 S.Ikeda

  • 葉軸に対する羽片のつく角度。
    他種より狭く、 ふつう30~45度。
    ホソバコケシノブやヒメコケシノブは約45~70度。
    写真 / 2026.3 神奈川県 S.Ikeda

  • 測り方を変えると、 30~45度に収まらない。
    (青紫 : 葉軸を一直線とした時の角度、 紫 : 先の葉軸からの角度)
    この基準のホソバコケシノブは60~90度になった。
    ちょっと注意。
    写真 / 2026.3 神奈川県 S.Ikeda

  • 胞子のう群。
    二枚貝状の包膜に覆われる。
    包膜はフチがやや波状になることが多いが、 はっきりとした鋸歯状にはなりにくい。
    写真 / 2026.3 神奈川県 S.Ikeda

  • 葉柄と根茎。
    葉柄に最上部を除いて翼はない。
    根茎は針金状で、 毛が抜け落ちやすい。
    写真 / 2026.3 神奈川県 S.Ikeda

  • 葉裏の葉軸。
    ほぼ無毛で、 広い翼が羽片に流れる。
    キヨスミコケシノブは葉軸に毛が多い。
    写真 / 2026.3 神奈川県 S.Ikeda

  • スギの根元近くに群生。
    その名前からコケシノブ科の代表的なポジションに感じるが、 この科の中では小さめで、 見かける頻度があまり多くない。
    写真 / 2026.3 神奈川県 S.Ikeda

特徴

涼しい山地で幹などに群生するコケシノブ科のシダ。 葉は小さくて平たくツヤがあり、 数回枝分かれした羽片は、 30~45度くらいの急な角度で葉軸につきます。 羽片フチにギザギザ状の鋸歯がなく、 二枚貝状の包膜に覆われた胞子のう群を羽片先につけます。 根茎は毛がほとんどなくて針金のように細いです。
 
葉の長さ : 3~7cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 山地の樹幹や岩場
分布 : 北海道、 本州、 四国、 九州、 朝鮮、 極東ロシア、 北米北部

※正確な種(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。

コケシノブ属のシダ

本種を含むコケシノブ科コケシノブ属のシダは、 岩や幹にたくさんの葉で覆うようにして群生します。 成長が遅く、 小さくてコケのようですが、 維管束をもつれっきとしたシダ。 湿った場所を好み、 透き通った葉が美しく、 テラリウムなどでの栽培も人気になりつつあります。 なお、 より園芸シダで有名なシノブ科のシノブとは、 分類的に大きく異なっています。
 
一般的に共通する特徴として、 葉はツヤがあり、 包膜が二枚貝状の形をしています。 また根茎は針金状で細く、 そこにつく毛が抜け落ちやすいです。 日本の本州には、 例えば以下のような種類が分布しています。 ※()内は学名
 
●コウヤコケシノブ(Hymenophyllum barbatum) : 本属ではもっとも身近に見られる。 葉形は丸っこく、 羽片フチや包膜にギザギザ状の鋸歯があるのがわかりやすい特徴。 葉裏の葉軸上に毛が多い。
●キヨスミコケシノブ(Hymenophyllum oligosorum) : コウヤコケシノブに似ているがずっと個体数が少なく、 主に樹幹に見られ、 岩場にはめったに生えない。 鋸歯は包膜のみで、 葉裏の葉軸上に毛が多い。
●ホソバコケシノブ(Hymenophyllum polyanthos) : 暖かい地域の低山に多い。 本属中では大型で10 cmを超えることが多い。 鋸歯がなくて葉裏の葉軸上は無毛。
●ヒメコケシノブ(Hymenophyllum coreanum) : ホソバコケシノブに似ているがより高標高に多い。 葉は小さくてふつう5 cm以下。 葉先に胞子のう群が集まるのが大きな特徴。 鋸歯がなくて葉裏の葉軸上は無毛。
●コケシノブ(Hymenophyllum wrightii) : 本ページで紹介している種類で、 涼しい山地を好む。 葉軸に対する羽片のつく角度か狭く、 ふつう30~45度(他種は約45~70度)。 鋸歯がなくて葉裏の葉軸上は無毛。
 
なおコケシノブという名前は紛らわしいことに総称として使われることがあり、 上記のコウヤコケシノブなどがコケシノブとして紹介されてしまうこともあります。 しかしコケシノブは1つの種類を指すれっきとした植物名(標準和名)です。 間違えないように注意!

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