本種は各地で野生化しているにもかかわらず、 園芸植物として今も販売や栽培がされています。
紅葉がきれいなことから黄金羊歯(コガネシダ)という名で売られていることがありますが、 正式な名前ではありません。 イワデンダ科にコガネシダという正式な名前のシダがあり、 イヌカタヒバとは全くの別種なので注意です。
イヌカタヒバ
無性芽で増えつつある外来種
特徴
本来なら日本では沖縄にのみ生えるシダ植物ですが、 園芸用として持ち込まれた結果、 広く野生化しました。 別種のカタヒバと違って枝先に無性芽をつけ、 これが落ちることによっても数を増やします。 また、 世界で初めて全ての遺伝子情報(ゲノム)の解読に成功したシダ植物としても有名です。
茎の長さ : 20㎝ほど
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 林縁斜面など
分布 : 琉球(石垣島, 西表島)、 台湾、 中国、 フィリピン、 ベトナム、 その他は野生化
※正確な種の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。
名前に関する注意
カタヒバとの見分け方
元から広く分布するカタヒバがよく間違われます。 カタヒバは山地に多くてあまり栽培されないので、 住宅地の石垣にモコモコと生えていたら大体イヌカタヒバですが、 それ以外にも例えば以下のような違いがあります。 じっくり観察してみましょう。
●カタヒバは①枝先に無性芽はつけません。 ②枝はイヌカタヒバほど密につけず、 表面はツヤが強めです。 ③背葉は盛り上がって表面に数本の筋があり、 先はあまり長く伸びません。 ④紅葉はまれです。