イヌカタヒバ

無性芽で増えつつある外来種

  • 斜面や石垣などに見られる。
    日本各地に広く帰化している。
    写真 / 2022.6.26 千葉県松戸市 S.Ikeda

  • 地下茎をはって地上茎を出す。
    よく群生する。
    写真 / 2023.9.7 静岡県小山町 S.Ikeda

  • 秋には枝先に無性芽をつける。
    近縁のカタヒバには見られない特徴。
    写真 / 2022.10.11 千葉市若葉区 S.Ikeda

  • 無性芽は茶色っぽい。
    写真 / 2023.9.7 静岡県小山町 S.Ikeda

  • 茎の拡大。
    背葉の先は細く芒状に伸びる。
    腹葉と背葉のフチは白膜で白っぽい。
    写真 / 2022.7.18 千葉県松戸市 S.Ikeda

  • 秋が近づくと紅葉する。
    写真 / 2023.9.7 静岡県小山町 S.Ikeda

特徴

本来なら日本では沖縄にのみ生えるシダ植物ですが、 園芸用として持ち込まれた結果、 広く野生化しました。 別種のカタヒバと違って枝先に無性芽をつけ、 これが落ちることによっても数を増やします。 また、 世界で初めて全ての遺伝子情報(ゲノム)の解読に成功したシダ植物としても有名です。
 
茎の長さ : 20㎝ほど
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 林縁斜面など
分布 : 琉球(石垣島, 西表島)、 台湾、 中国、 フィリピン、 ベトナム、 その他は野生化

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。 ​

名前に関する注意

本種は各地で野生化しているにもかかわらず、 園芸植物として今も販売や栽培がされています。
 
紅葉がきれいなことから黄金羊歯(コガネシダ)という名で売られていることがありますが、 正式な名前ではありません。 イワデンダ科にコガネシダという正式な名前のシダがあり、 イヌカタヒバとは全くの別種なので注意です。

カタヒバとの見分け方

元から広く分布するカタヒバがよく間違われます。 カタヒバは山地に多くてあまり栽培されないので、 住宅地の石垣にモコモコと生えていたら大体イヌカタヒバですが、 それ以外にも例えば以下のような違いがあります。 じっくり観察してみましょう。
 
カタヒバは①枝先に無性芽はつけません。 ②枝はイヌカタヒバほど密につけず、 表面はツヤが強めです。 ③背葉は盛り上がって表面に数本の筋があり、 先はあまり長く伸びません。 ④紅葉はまれです。

  • 2種の茎の表面。
    背葉がわかりやすい違いかも?
    写真 / S.Ikeda