ヒメカナワラビ

金属みたいにテカリが強いのです

  • 低山の斜面に生える。
    写真 / 2023.12 千葉県 S.Ikeda

  • 根茎を斜上させて葉を出す。
    写真 / 2023.12 千葉県 S.Ikeda

  • 下部の羽片の基部。
    葉軸に接する上側の小羽片が大きめ。
    写真 / 2024.7 千葉県 S.Ikeda

  • 小羽片には短い柄がある。
    似たオオキヨズミシダやオニイノデは軸に広くつく。
    写真 / 2024.7 千葉県 S.Ikeda

  • 葉裏。
    胞子のう群は葉の下からつく。
    似たオオキヨズミシダやオニイノデは上からつく。
    写真 / 2024.7 千葉県 S.Ikeda

  • 胞子のう群は円形で、 やや脈寄りにつける。
    包膜も円形。
    写真 / 2024.7 千葉県 S.Ikeda

  • 葉柄。
    茶色から黒っぽい細めの鱗片が多い。
    写真 / 2024.7 千葉県 S.Ikeda

  • 葉柄上部。
    黒っぽく細い鱗片が多い。
    写真 / 2024.7 千葉県 S.Ikeda

  • 葉軸下部。
    黒っぽく毛のように細い鱗片が多い。
    写真 / 2024.7 千葉県 S.Ikeda

特徴

テカテカしている金属のような質感のシダ。 その特徴や名前からカナワラビの仲間に見えますが、 実際はイノデの仲間です。 胞子のう群が葉の下からつき始めること、 小羽片に短い柄があること、 鱗片は黒っぽくて細いことなどが似た種との区別点になります。
 
葉の長さ : 20~50cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 低山の林縁斜面
分布 : 本州(福島以南)、 四国、 九州、 朝鮮、 台湾、 中国、 ベトナム

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。 ​

千葉県のシダ!

ヒメカナワラビは、 日本シダの会が都道府県ごとにゆかりのあるシダを1種ずつ定める「郷土のシダ」で、 千葉のシダに選ばれています。
 
別名をキヨズミシダといい、 千葉県の清澄山が由来なことから来ています。

似た仲間との見分け方

オオキヨズミシダとオニイノデが似ています。 一番よく見られるのはヒメカナワラビですが、 時に中間的な株が見られることもあります。 ちなみに、 3種はいずれも無配生殖(むはいせいしょく)という受精をしない変わった方法で増えるため、 ふつう雑種ができません。
 
●オオキヨズミシダは①葉がやわらかめで、 あまり金属感がしません。 ②小羽片は柄がはっきりしなくて羽軸に広めにつきます。 ③胞子のう群は葉の上からつけ始めます。 ④葉柄基部には茶色っぽい鱗片が多いです。 ⑤葉柄上部や葉軸の鱗片は黒っぽいですが、 ヒメカナワラビより少し幅広めです。
 
オニイノデは①葉が硬めですが、 あまり金属感がしません。 ②小羽片は柄がはっきりしなくて羽軸に広くつきます。 ③胞子のう群は葉の上からつけ始めます。 ④葉柄基部には茶色っぽく幅広い鱗片が多いです。 ⑤葉柄上部や葉軸の鱗片は茶色っぽくて幅広めです。

  • 3種の葉柄基部の比較。
    ヒメからオニになるにつれて茶色く幅広くなる。
    写真 / S.Ikeda

  • 3種の葉柄上部の比較。
    ヒメからオニになるにつれて茶色く幅広くなる。
    写真 / S.Ikeda

  • 3種の葉軸下部の比較。
    ヒメとオオはよく似ているが、 オオの方が少し幅がある。 オニは茶色くて幅広く、 明らかに違う。
    写真 / S.Ikeda