アイオオアカウキクサ(雑種アゾラ)

各地で大発生している赤浮草なシダ

  • 田んぼや池で浮かんでいる。
    アカウキクサ属を意味するアゾラ(Azolla)の一種。
    写真 / 2024.5 千葉県佐倉市 S.Ikeda

  • アゾラでは最もふつうに見られる。
    冬が近づくと、 日当たりが良い場所では紅葉する。
    写真 / 2023.11 千葉県佐倉市 S.Ikeda

  • 真冬では真っ赤に。
    ただ、 夏でも赤いことがある。
    写真 / 2025.2 千葉県佐倉市 S.Ikeda

  • 分裂で増殖し、 水面を広く覆う。
    一面真っ赤なことも多い。
    写真 / 2023.11 千葉県佐倉市 S.Ikeda

  • 水中の長い根に根毛が多くつく。
    日本固有種のオオアカウキクサの根毛は早く抜ける。
    写真 / 2023.11 千葉県佐倉市 S.Ikeda

  • 勢いが良かったり陸地ではモコモコと出る。
    アゾラはラテン語で「乾燥で死ぬ」という意味があり、 完全に乾くと短時間で枯死する。
    写真 / 2024.5 千葉県佐倉市 S.Ikeda

  • 植物体。
    アメーバ状。
    葉は長方形で、 長さ1mmないことが多い。
    オオアカウキクサの葉は正方形っぽく、 2mm近くになりデカい。 アカウキクサは全体が三角形で見分けやすい。
    写真 / S.Ikeda

  • 下に出ているのは若い根。
    わずか数日で数センチ伸び、 保護している膜が外れて根毛が出てくる。
    根毛がないと勘違いしないように。
    写真 / S.Ikeda

  • 葉の表面にイボ状突起がある。
    突起の細胞の数に注目。
    写真 / S.Ikeda

  • 突起は1、 時に2細胞の高さがある。 この個体は2細胞のものが少なく、 葉20枚中でも3個程度だった。
    オオアカウキクサは1細胞で突起があまり目立たず、 アメリカオオアカウキクサは多くが2細胞となり、 ニシノオオアカウキクサは全て1細胞となるとされるが、 これだけで見分けるのは難しい。 少なくとも2細胞の突起が確認できれば外来種となる。
    写真 / S.Ikeda

  • 若い葉では突起が目立たないことが多い。
    外来アゾラはDNA鑑定をしないと見分けるのが難しいといわれている。 写真はあくまで参考として見てもらいたい。
    写真 / S.Ikeda

  • 時に食痕が見られることもある。
    写真のものは同じく外来種のアカウキクサゾウムシの仕業。 もしくはヒメマダラミズメイガやアカウキクサマダラメイガといったガの幼虫のこともある。
    写真 / 2023.12 千葉県佐倉市 S.Ikeda

特徴

田んぼなどで見られる水生シダ。 全体不規則なアメーバ状の形をしていて、 ウロコみたいな葉に覆われます。 分裂によって増殖し、 紅葉で一面を真っ赤に染めることが多いです。 日本固有種のオオアカウキクサによく似ていますが、 植物体がより小さく、 葉の表面に1だけでなく2細胞の突起があり、 水中に伸びる根には根毛が多くつきます。
 
大きさ : 幅約1cm、 葉長0.6~1.1mm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 水田や池沼
分布 : 各地で野生化

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。

農法由来で大発生!

本種はアメリカオオアカウキクサとニシノオオアカウキクサの人工雑種といわれ、 近年各地で大発生して問題になっています。 このように増えてしまったのは、 1990年代から「合鴨農法(あいがものうほう)」に活用されるようになったのが1つの発端といわれています。
 
合鴨農法とは、 水田にアイガモを放すことで水田雑草を食べてもらい、 稲刈り前には捕獲して食肉にするという、 農業と畜産が同時に行われるような無農薬農法のこと。 外来種のアカウキクサ属(外来アゾラ)は、 丈夫ですぐ一面を覆うことから雑草が生えるのを防ぎ、 アイガモの餌になるということで合わせて利用されていました。 また、 アゾラはラン藻類と共生していて貧栄養に強く、 成長した植物体をそのまま肥料として使う「緑肥(りょくひ)」に活用されることもありました。
 
ところが、 やって来た水鳥の足に付くことで他の水辺まで運ばれ、 そこで大繁殖してしまうという事態も起こりました。 特に雑種ではないアメリカオオアカウキクサ(アゾラ・クリスタータ)は在来アゾラとの交雑を起こしてしまうということで特定外来生物に指定される事態に。
 
環境への配慮で開発された人工雑種のアイオオアカウキクサはその後も利用されているのだとか。 ですが、 環境に優しいかといわれるとそうではなく、 今でも運ばれ大増殖して生態系を崩すことがあります。 日本には元からアカウキクサオオアカウキクサの2種類のアゾラが分布していますが、 外来アゾラは暑さに強くて丈夫なので、 混生しているといずれ外来種に置き換わってしまうといわれています。 さらに、 外来アゾラは人々の生活にも影響をおよぼすことがあります。 外来アゾラで水面が一面真っ赤になった池で、 子どもが陸地と勘違いして足を踏み入れ溺れてしまう事故が過去に起きているほか、 水道管を詰まらせるなど、 日常生活に直接影響を与えることもあります。
 
しかも、 この仲間を種類まで見分けるのはとても難しいです。 アゾラ自体は日本各地でよく見られますが、 そのほとんどが外来で、 在来は今では滅多に見られません。 アカウキクサ属(アゾラ)の種類ごとの特徴については、 こちらのページにまとめていますが、 特定外来生物かわからないときは、 無理せず専門家に相談するのがおすすめです。

見られる散歩道

Language Settings

Select display language

Select audio language

Notes:
Some walking routes may also offer voice guides in other languages.
If a voice guide is not available in your selected language, it will be provided in Japanese or English.