アイオオアカウキクサ(雑種(ざっしゅ))

各地(かくち)(だい)発生(はっせい)している外来(がいらい)アゾラ

  • 田んぼ(たんぼ)(いけ)()られる。
    (ぞく)(めい)の「アゾラ(Azolla)」の()有名(ゆうめい)
    写真(しゃしん) / 2023.11.22 千葉(ちば)(けん)佐倉(さくら)() S.Ikeda

  • 外来(がいらい)アゾラでは最も(もっとも)普通(ふつう)()られる。
    水温(すいおん)下がる(さがる)とよく紅葉(こうよう)する。
    写真(しゃしん) / 2023.11.22 千葉(ちば)(けん)佐倉(さくら)() S.Ikeda

  • 水面(すいめん)広く(ひろく)覆う(おおう)
    (いち)(めん)真っ赤(まっか)なことも多い(おおい)
    写真(しゃしん) / 2023.11.22 千葉(ちば)(けん)佐倉(さくら)() S.Ikeda

  • 干上がっ(ひあがっ)場所(ばしょ)ではモコモコと出る(でる)
    写真(しゃしん) / 2023.10.2 千葉(ちば)(けん)佐倉(さくら)() S.Ikeda

  • 水中(すいちゅう)長い(ながい)()根毛(こんもう)多く(おおく)つく。
    日本(にっぽん)固有(こゆう)(しゅ)のオオアカウキクサに根毛(こんもう)はほとんどない。
    写真(しゃしん) / 2023.11.22 千葉(ちば)(けん)佐倉(さくら)() S.Ikeda

  • 時に(ときに)(しょく)(こん)()られることもある。
    これは同じく(おなじく)外来(がいらい)(しゅ)アカウキクサゾウムシ仕業(しわざ)
    写真(しゃしん) / 2023.12.13 千葉(ちば)(けん)佐倉(さくら)() S.Ikeda

  • 1と1つの四角形(しかっけい)のものが()
    全体(ぜんたい)(かたち)はアメーバ(じょう)
    オオアカウキクサよりも一回り(ひとまわり)小さい(ちいさい)
    写真(しゃしん) / S.Ikeda

  • (した)()ているのは若い(わかい)()
    わずか(すう)(にち)(すう)センチ伸び(のび)て、 保護(ほご)している(まく)外れ(はずれ)根毛(こんもう)()てくる。
    写真(しゃしん) / S.Ikeda

  • ()表面(ひょうめん)にイボ(じょう)突起(とっき)がある。
    この程度(ていど)突起(とっき)でもほぼ外来(がいらい)(しゅ)確定(かくてい)
    突起(とっき)細胞(さいぼう)(かず)注目(ちゅうもく)
    写真(しゃしん) / S.Ikeda

  • 突起(とっき)は1または2細胞(さいぼう)(たか)さがある。
    この個体(こたい)は2細胞(さいぼう)のものが少なかっ(すくなかっ)た。
    オオアカウキクサは突起(とっき)目立た(めだた)ず、 アメリカオオアカウキクサは多く(おおく)が2細胞(さいぼう)、 ニシノオオアカウキクサは全て(すべて)1細胞(さいぼう)となるとされるが、 これだけで見分ける(みわける)のは難しい(むずかしい)
    写真(しゃしん) / S.Ikeda

  • (ぜん)写真(しゃしん)よりも突起(とっき)目立た(めだた)ないもの。
    特に(とくに)外来(がいらい)アゾラはDNA鑑定(かんてい)をしないと見分ける(みわける)のが難しい(むずかしい)といわれている。 この写真(しゃしん)たちはあくまで参考(さんこう)として()てもらいたい。
    写真(しゃしん) / S.Ikeda

特徴(とくちょう)

田んぼ(たんぼ)などの水面(すいめん)浮かん(うかん)生活(せいかつ)する水生(すいせい)シダ。 アメリカオオアカウキクサ(特定(とくてい)外来(がいらい)生物(せいぶつ))とニシノオオアカウキクサ(外来(がいらい)(しゅ)?)の人工(じんこう)雑種(ざっしゅ)といわれ、 各地(かくち)(だい)発生(はっせい)して問題(もんだい)になっています。 (ふゆ)近づく(ちかづく)植物(しょくぶつ)(たい)真っ赤(まっか)染まり(そまり)ます。
 
大き(おおき)さ : (はば)1cm, ()(なが)さ1mmほど
観察(かんさつ)時期(じき) : 一年中(いちねんじゅう)(常緑(じょうりょく)(せい))
生える(はえる)場所(ばしょ) : 水田(すいでん)池沼(ちしょう)
分布(ぶんぷ) : 各地(かくち)野生(やせい)()

正確(せいかく)(しゅ)判定(はんてい)は、 形態(けいたい)細部(さいぶ)まで見る(みる)必要(ひつよう)があります。 ​

外来(がいらい)アゾラの長い(ながい)話そ(はなそ)の1 : 増え(ふえ)原因(げんいん)は「人間(にんげん)」と「(とり)

外来(がいらい)(しゅ)のアカウキクサ(ぞく)(以降(いこう)外来(がいらい)アゾラと呼ぶ(よぶ))は、 1990年代(ねんだい)から日本(にっぽん)で「合鴨(あいがも)農法(のうほう)(あいがものうほう)」に活用(かつよう)されるようになりました。
 
合鴨(あいがも)農法(のうほう)とは水田(すいでん)にアイガモを放す(ほかす)ことで水田(すいでん)雑草(ざっそう)食べ(たべ)てもらい、 稲刈り(いねかり)(まえ)には捕獲(ほかく)して食肉(しょくにく)にするという、 農業(のうぎょう)畜産(ちくさん)同時に(どうじに)行わ(おこなわ)れるような()農薬(のうやく)農法(のうほう)のこと。 外来(がいらい)アゾラは丈夫(じょうぶ)ですぐ(いち)(めん)覆う(おおう)ことから雑草(ざっそう)生える(はえる)のを防ぎ(ふせぎ)、 アイガモの(えさ)になるということで合わせ(あわせ)利用(りよう)されることがあります。 また、 アゾラは(あい)藻類(そうるい)共生(きょうせい)しているので(ひん)栄養(えいよう)強く(つよく)成長(せいちょう)した植物(しょくぶつ)(たい)をそのまま肥料(ひりょう)として使う(つかう)緑肥(りょくひ)(りょくひ)」に活用(かつよう)されることもあります。
 
ところが、 やって来(やってき)水鳥(みずとり)(あし)付く(つく)ことで()水辺(みずべ)まで運ば(はこば)れ、 そこで(だい)繁殖(はんしょく)してしまうという事態(じたい)起こり(おこり)ました。 特に(とくに)雑種(ざっしゅ)ではないアメリカオオアカウキクサ(アゾラ・クリスタータ)は在来(ざいらい)アゾラとの交雑(こうざつ)起こし(おこし)てしまうということで特定(とくてい)外来(がいらい)生物(せいぶつ)指定(してい)される事態(じたい)に。
 
環境(かんきょう)への配慮(はいりょ)開発(かいはつ)された人工(じんこう)雑種(ざっしゅ)のアイオオアカウキクサはその後(そのご)利用(りよう)されているのだとか。
 
ところが環境(かんきょう)優しい(やさしい)かといわれるとそうではなく、 (いま)でも運ば(はこば)(だい)増殖(ぞうしょく)して生態(せいたい)(けい)崩す(くずす)ことがあります。 さらに、 在来(ざいらい)アゾラと一緒(いっしょ)生え(はえ)ていると、 (あつ)さに強く(つよく)丈夫(じょうぶ)なので、 いずれはほとんど外来(がいらい)アゾラに置き換わっ(おきかわっ)てしまうといわれています。 加え(くわえ)て、 (いけ)(いち)(めん)真っ赤(まっか)にして異様(いよう)光景(こうけい)にしたり、 水道(すいどう)(かん)詰まら(つまら)すなど人々(ひとびと)生活(せいかつ)影響(えいきょう)与える(あたえる)こともあります。 ただ大変(たいへん)なのはそこだけではありません。 (はなし)(した)続く(つづく)

外来(がいらい)アゾラの長い(ながい)話そ(はなそ)の2 : ()仲間(なかま)との区別(くべつ)難しい(むずかしい)

日本(にっぽん)()られるオオアカウキクサ、 アイオオアカウキクサ、 アメリカオオアカウキクサ、 ニシノオオアカウキクサの4(しゅ)見た目(みため)がとてもよく()ています。 根毛(こんもう)多め(おおめ)で、 顕微鏡(けんびきょう)多少なりとも(たしょうなりとも)()表面(ひょうめん)突起(とっき)確認(かくにん)できた場合(ばあい)は、 ほぼ確実(かくじつ)後者(こうしゃ)3(しゅ)いずれかの外来(がいらい)アゾラですが、 さらに詳しく(くわしく)種類(しゅるい)見分ける(みわける)にはDNA鑑定(かんてい)必要(ひつよう)だといわれています。
 
外来(がいらい)アゾラが日本(にっぽん)固有(こゆう)(しゅ)のオオアカウキクサ(アゾラ・ヤポニカ)と誤認(ごにん)されるケースが多い(おおい)ですが、 (ほん)(しゅ)は2020(ねん)環境省(かんきょうしょう)レッドリストで絶滅(ぜつめつ)危惧(きぐ)ⅠB(るい)指定(してい)されているくらい少ない(すくない)ので滅多(めった)()られません。 こちらは根毛(こんもう)早く(はやく)抜け落ち(ぬけおち)てしまってほとんどないことが大きな(おおきな)特徴(とくちょう)で、 外来(がいらい)アゾラと区別(くべつ)するための有力(ゆうりょく)手掛かり(てがかり)となります。 基本(きほん)(てき)在来(ざいらい)外来(がいらい)かの区別(くべつ)重要(じゅうよう)なので、 まずは根毛(こんもう)意識(いしき)すると良い(よい)です。 ただし、 外来(がいらい)アゾラも野外(やがい)では根毛(こんもう)見え(みえ)にくいことがあり、 もう1つの在来(ざいらい)(しゅ)のアカウキクサ(全体(ぜんたい)形状(けいじょう)正三角形(せいさんかっけい)識別(しきべつ)容易(ようい))も根毛(こんもう)多い(おおい)ので注意(ちゅうい)必要(ひつよう)です。
 
ちなみに…顕微鏡(けんびきょう)見る(みる)ためには普通(ふつう)持ち帰ら(もちかえら)ないといけませんが、 もしも運ん(はこん)だものがアメリカオオアカウキクサだった場合(ばあい)特定(とくてい)外来(がいらい)生物(せいぶつ)なので法律(ほうりつ)違反(いはん)していることに!
 
つまり外来(がいらい)アゾラと疑わ(うたがわ)れた段階(だんかい)で、 特定(とくてい)外来(がいらい)生物(せいぶつ)だと思っ(おもっ)行動(こうどう)する必要(ひつよう)()てしまうのです。

執筆(しっぴつ)協力(きょうりょく) : アゾラに詳しい(くわしい)兵庫(ひょうご)県立(けんりつ)(じん)自然(しぜん)博物館(はくぶつかん)鈴木(すずき)(たけし)先生(せんせい)に、 執筆(しっぴつ)にあたりご意見(いけん)頂き(いただき)ました。