本種は遠い昔にノキシノブとツクシノキシノブの雑種起源で生まれたと考えられています。
かつてノキシノブに含められていましたが、 遺伝子を用いた分類の結果、 2018年にクロノキシノブとともに新種に分けられました。
人里でもよく見られるので、 これまでノキシノブと思っていたものがフジノキシノブだった!…なんてことがあるかも?
特徴
木の幹などから葉を垂らすノキシノブの仲間のシダ。 ノキシノブによく似ていて、 本種の方が根茎から密に葉を出し、 葉がやわらかめで葉幅が広くなりますが、 特に小さな株の野外での区別は難しいです。 関東から東海にかけて多く分布するといわれています。
葉の長さ : 9~20cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 低山の石垣や樹幹など
分布 : 本州、 四国
※正確な種の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。
2018年に新種記載!
ノキシノブとの違い
基本的にノキシノブと見分けるには、 フジかな?と見当をつけてからルーペまたは顕微鏡で鱗片の観察が必要となります。 しかし、 それでもたくさんの標本を顕微鏡で観察して経験を積まないと難しく、 さらに雑種もあります。 従って、 研究者や植生調査の関係者でもない限りは、 わざわざ両種を区別せずにノキシノブ(広義)としちゃうのも1つの手です。
●ノキシノブは、 フジよりも①根茎を長めにはって少し間隔をあけて葉を出します(ただし小さな株ではわかりにくい)。 ②葉はやや厚めでツヤのあることが多く、 葉幅がやや狭めです。 ③根茎の鱗片はより大きめで、 基部があまり広くならないことが多いです。 ④葉身上部の鱗片はフチの突起があまり目立ちません。
執筆協力 : フジノキシノブを新種記載された藤原泰央先生に、 本ページに用いた写真や標本を直接ご確認いただきました。