オワセベニシダ

八の字と紅色の包膜

  • 林内斜面などに生える。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

  • 日なたの黄色っぽいもの。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

  • 根茎を斜上させて葉を出す。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

  • 葉先。
    やや急に細くなる。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

  • 羽片。
    この葉は日陰だからか質が薄め。
    角度や流れに注目。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

  • 羽片は葉軸に対して直角につき、 基部にはっきりとした柄がない。 よく途中でカーブする。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

  • 最下羽片。
    中央一番下に注目しよう。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

  • 最下羽片の葉軸に接する下向き小羽片は、 となりの小羽片と同じくらいか少し長めで、 合わせて八の字に見える。 時にやや小さめのこともある。
    似たヌカイタチシダマガイはより小さい。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

  • 最下羽片の小羽片。
    フチが浅くに切れ込む。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

  • 葉裏。
    胞子のう群を一面につける。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

  • 胞子のう群は円形で、 フチと脈の中間につく。
    包膜はCの形で、 中心だけ紅色になる。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

  • 葉柄基部。
    茶色っぽい細めの鱗片が多い。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

  • 葉軸。
    鱗片は少ない。
    アツギノヌカイタチシダマガイは密につく。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

  • 羽軸。
    鱗片の基部は袋状にふくらむ。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

  • 新芽。
    この時は鱗片が多い。
    写真 / 2024.6 岐阜県 S.Ikeda

特徴

三重県の尾鷲にちなんだ、 まれに見られるシダ。 柄のない羽片を葉軸に直角につけるところは、 ヌカイタチシダの仲間に共通しています。 その中で本種は、 葉の中央一番下の小羽片2つが八の字になり、 葉柄基部の鱗片が茶色をしているほか、 ベニシダと同じように包膜の中心が紅色になることが大きな特徴です。
 
葉の長さ : 40~100cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 低山の崖など
分布 : 本州(岐阜–愛知以西)、 四国、 九州(熊本と大分)、 台湾、 中国

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。 ​

マガイ系のシダとの関係

ちょっと難しい分類の話です。
オワセベニシダと同じような場所では、 ヌカイタチシダマガイやアツギノヌカイタチシダマガイというシダもしばしば見られます。
 
近年の遺伝子の研究から、 この3種(+ヌカイタチシダモドキやタヌキシダ)がはっきり区別できず、 オワセベニシダ1種にまとめるとする考えがあります。 実際に混生地ではいずれかとの中間的な見た目の株が見られることがあります。 ちなみに、 3種はいずれも無配生殖(むはいせいしょく)という受精をしない変わった方法で増えるため、 ふつう雑種ができません。
 
ただ、 このマガイ2種は典型的なものの場合、 ①葉の中央一番下の小羽片2つが短めで、 ②包膜は全体が白色なことなどでオワセベニシダ(狭義)と区別することができるため、 ここではこれまで通り分けて紹介しています。

  • 同種疑惑のある3種。
    実際、 中間的なものが見られることもある。
    写真 / S.Ikeda