カジノキ

古くから和紙の原料にされてきた

特徴

元々東南アジアや中国の中南部原産の木で、 古くから和紙の原料として輸入され、 栽培もされてきました。 今では野生化している木もよく見られます。
和紙の原料と知られているコウゾは、 カジノキとヒメコウゾ雑種です。
葉は諏訪神社の神紋にも用いられ高貴な印象がありますが、 枝や葉に毛が多く「獣」を感じさせる一面もあります。

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

高さ4~10mの落葉高木で、 大きなものは16m程にもなるといわれます。

  • 大きめの葉をバサバサと茂らせる
    写真 / 2023.5.12 千葉市都市緑化植物園 MayaN

葉柄が30~100㎜と長めで、 切れ込みがある葉と無い葉を付けます。 特に若い木は切れ込みがある葉を付けます。
表面は短い毛があり、 よくざらつきます。 裏は毛が多くフワッとした感じです。
互生に付きますが、 対生することがしばしばあります。

  • 曲線的な切れ込みがある葉
    表面はざらざら、 裏は毛が多くフワッとした感じ。
    写真 / 2024.4.25 千葉市都市緑化植物園 MayaN

  • 形は様々。 切れ込みが無い葉もある
    写真 / 2023.5.12 千葉市都市緑化植物園 MayaN

  • 幅はやや広めで葉柄が長い。 葉裏には粗い毛が多い
    写真 / 2024.6.9 千葉市美浜区 MayaN

  • 葉柄にも粗い毛が多い
    写真 / 2023.5.12 千葉市都市緑化植物園 MayaN

初夏に 雄花と雌花が別々の木に咲きます。 新しい枝の葉の付け根に咲き、 雌花は球形でホヨホヨした毛の様なものを生やします。 雄花はクリーム色の花びらで円筒形をしています。

  • 球形の雌花。 花被は袋状
    写真 / 2022.4.30 千葉県市川市万葉植物園 MasakoT

  • 長さ8㎜程度の糸状のものは花柱
    写真 / 2023.5.3 栃木県古河市 MayaN

  • 長さ3~9㎝、 直径1㎝ほどの円筒形の雄花
    写真 / 2024.4.25 千葉市都市緑化植物園 MayaN

  • 雄花はクリーム色の小さな花が集まって咲く
    写真 / 2024.4.25 千葉市都市緑化植物園 MayaN

雌木だけに実がなります。
直径3cmほどの球形の実を付けます。 夏に濃いだいだい色に熟します。
甘味があって食べられますが、 先端の朱色の部分に種が入っていて、 食べるとジャリジャリとした食感です。

  • 濃いだいだい色に熟した丸い実
    写真 / 千葉市都市緑化植物園

  • 濃い朱色の部分に小さな種が入っている。
    写真 / 千葉市都市緑化植物園

  • ボンボンのような丸い実は遠くからでも目立つ
    写真 / 2024.6.9 千葉市美浜区 MayaN

  • まん丸の未熟な実が熟すと、 朱色種が入った袋がピョコっと飛び出してくるのが面白い
    写真 / 2024.8.3 千葉市都市緑化植物園 MayaN

幹・枝

灰色がかった樹皮で黄褐色の皮目があります。
新しい枝にはビロード状の毛が密生しています。

  • 樹皮は灰色がかった色
    写真 / 2021.10.14 千葉県市川市 MasakoT

  • 黄褐色の皮目がある
    写真 / 2023.5.3 栃木県古河市 MayaN

  • 綺麗な縦の縞模様になる木もある
    写真 / 2024.4.25 千葉市都市緑化植物園 MayaN

  • ビロード状の毛が密生する若い枝
    写真 / 2023.5.3 栃木県古河市 MayaN

冬芽・葉痕

少し赤みのある三角帽子のような冬芽です。 目の高さで見られる実生の枝にはかたい毛が多くあり、 葉痕の両側にはカールしたお下げ髪のような托葉がついています。 維管束痕は多数あり、 お顔に見えたり見えなかったりします。

  • 少しかたい表情のお下げ髪の子
    写真 / 2015.3.31 東京都文京区 Tamacha

  • 満面の笑みのお下げ髪の子
    写真 / 2024.3.1 東京都文京区 Tamacha

  • とんがり帽子もお下げ髪もとれちゃった子。 枝先には芽が2つある
    写真 / 2021.2.12 東京都文京区 MasakoT

人との関わり

葉は諏訪神社などの神紋や日本の家紋である梶紋の紋様のモチーフにされてきました。 また、 葉は七夕飾りの短冊の代わりとしても使われました。
樹皮は和紙の原料にされ、 実は漢方薬としてかすみ目や強壮に使われます。

  • 葉は七夕の短冊代わりに使われた
    写真 / いらすとや

  • 古くから和紙の原料にも使われてきた
    写真 / いらすとや

その他の情報

和紙の原料とされてきたコウゾは、 南方からやってきたカジノキと昔から日本に生えていたヒメコウゾの雑種です。
カジノキの寒さに弱い性質が、 ヒメコウゾの寒さに強い性質に補われ育てやすかったと考えられます。
コウゾの中には、 カジノキに近いものとヒメコウゾに近いものといろいろなタイプがあります。

  • コウゾはカジノキと同じく雄花と雌花は別々の木に咲くが実がなりずらい
    写真 / 2019.6.5 千葉県幕張海浜公園 MayaN

  • ヒメコウゾはカジノキと違い雄花と雌花は同じ木に咲く
    写真 / 2022.4.11 千葉県船橋市 MasakoT

関わりが深い生き物

おいしい実を食べに、 ヒヨドリやメジロなどの鳥がやって来ます。 実を吸うカメムシの姿も見かけます。 夜には蛾が登場。
数種類のカミキリムシが材や葉を食べます。

タップすると詳細が見られます