コンパクトに枝葉をつけ、 高さ3mくらいになります。 太いトゲが5cmくらいになるものもあり、 トゲも枝のようになって、 自ら絡まり合うかのようにまとまって見えます。
カラタチ
トゲは痛いけど きっと友だちになれる
特徴
ミカンの仲間で、 春に白くて香りのよい花を咲かせます。 が、 大きなトゲが多くて近寄りにくい。 かと思えば、 出たばかりのトゲはやわらかいし、 実の表面はミカンのようにツルツルではなく、 ほわほわの毛がいっぱいです。
以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。
樹形
葉
3枚で1組の小さな葉で、 葉柄には翼があります。 葉の先は尖らず、 少しへこみます。 ミカンの仲間らしく葉には「油点」があり、 ちぎるとミカンのようなさわやかな香がします。
花
さわやかな香りの花で、 晩春に咲きます。 白くて細い花びらが5枚あり、 1枚1枚が離れてつきます。 花びらには縦のしわがあります。
実
ミカンのような丸い実がなり、 秋に黄色く熟します。 果肉も黄色でよい香がしますが、 苦くて種が多いため食用には不向きです。
幹・枝
若い枝は緑色、 長いトゲのつけ根のところは幅が広くなっています。 太くなった幹は灰色がかった褐色で、 細い縦の筋があります。
冬芽・葉痕
トゲのつけ根の上側にポチッと赤く丸い芽がつきます。
人との関わり
・トゲがすごいことで「万葉集」で歌に詠まれたり、 「枕草子」で紹介されたりしています。
・果実を乾燥させたものは薬として使われ、 後世になると、 盗人よけに生垣として植えられました。
・寒さや病気に強い柑橘類なので、 他のミカン類を接ぎ木するときの台木として利用されます。
名前の由来
奈良時代に中国から渡来しました。 日本にあった橘(タチバナ)に対して「唐(中国)の橘」ということでカラタチと呼ばれるようになりました。
その他の情報
童謡に「からたちの花」という歌があります。
作詞 : 北原白秋 作曲 : 山田耕筰
からたちの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ
からたちのとげはいたいよ 青い青い針のとげだよ
からたちは畑の垣根よ いつもいつも通る道だよ
からたちは秋もみのるよ まろいまろい金のたまだよ
からたちのそばで泣いたよ みんなみんなやさしかったよ
からたちの花が咲いたよ 白い白い花が咲いたよ
歌詞は、 カラタチの木と思い出を重ねて書かれたものであるといわれています。
性格
常緑のような厚めの葉をつけるのに、 落葉する不思議な木。 落葉するとトゲだらけになり怖がられます。 でも春の作りたてのトゲは、 オモチャの剣のようにくにゃくにゃで、 全くいたくありません。 実は柔らかい毛でおおわれていて、 まるでテニスボール。 怖いようで、 やさしさを感じる木です。
体験・遊び
カラタチの果汁は少しヤニがある感じで、 後味が舌に残ります。 ユズ風呂のようにお風呂に入れると、 実が沈んでしまい、 なんだか盛りあがりません。 香りもさほどありません。 でも手触りはとてもよい実です。