フクレギシダ

大切に守っていけば福が連れるかも?

  • 照葉樹林の谷沿いを好む。
    写真 / 2025.11 熊本県 S.Ikeda

  • 根茎を直立から斜上させて葉を出す。
    写真 / 2025.11 熊本県 S.Ikeda

  • 葉先。
    大きな頂羽片があり、 浅く切れ込むことが多い。
    ノコギリシダとの雑種フクレギクジャクの頂羽片は三角形っぽく、 下ほど深く切れ込む。
    写真 / 2025.11 熊本県 S.Ikeda

  • 羽片。
    2~4対あり、 頂羽片よりは小さめ。
    その葉形だけ見るとキノボリシダっぽさがあるが、 より薄革でペラペラな質感。 むしろイワガネゼンマイの方が混生することもあって紛らわしい。
    写真 / 2025.11 熊本県 S.Ikeda

  • 羽片表面。
    フチには粗めの鋸歯がある。
    葉脈は二又を繰り返し、 窪んでいて目立ち、 その先が鋸歯に入る。
    写真 / 2025.11 熊本県 S.Ikeda

  • 羽片先。
    細く伸び、 鋸歯が目立つ。
    写真 / 2025.11 熊本県 S.Ikeda

  • 葉裏。
    胞子のう群をつける。
    写真 / 2025.11 熊本県 S.Ikeda

  • 胞子のう群は三日月形でやや脈寄りにつく。
    包膜も三日月形。
    写真 / 2025.11 熊本県 S.Ikeda

  • 根茎。
    この株は直立気味。
    古い葉柄が多く残る姿は、 分類的に全く異なるもののヘゴのようなたくましい幹を彷彿させる。
    写真 / 2025.11 熊本県 S.Ikeda

  • 葉柄基部。
    茶色っぽい鱗片が多い。
    写真 / 2025.11 熊本県 S.Ikeda

  • 葉軸。
    鱗片はほとんどない。
    写真 / 2025.11 熊本県 S.Ikeda

特徴

熊本県天草の福連木にちなむシダ。 葉は大きな頂羽片と2~4対ほどの側羽片からなるシンプルな姿をしています。 ノコギリシダに近縁で、 やわらかい革状、 目立つ葉脈、 フチの粗いギザギザ(鋸歯)、 葉裏のカーブする胞子のう群などそれっぽさがいくつか見られます。 両者で雑種を作ります。
 
葉の長さ : 25~60cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 低山の湿った林内
分布 : 九州(佐賀・長崎・熊本・鹿児島)、 中国、 インド

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。

国内希少野生動植物種

フクレギシダは、 2018年から「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」に基づく国内希少野生動植物種に指定されています。 これにより、 採集や譲渡、 販売目的の広告などといった行為が原則禁止されています。
 
しかし、 絶滅危惧種となっているシダ類の減少には、 この法律で防ぐ盗掘とは無関係な理由によるものが多く見られます。 特に深刻なのは、 鹿の食害と森林伐採による影響で、 フクレギシダも例外ではありません。 園芸目的の採取がなかったわけではありませんが、 より実情に即した対策が求められているといえるでしょう。 今からでも適切な保護を進めていくことができれば、 その名のとおり、 未来の私たちに何らかの「福」をもたらしてくれるかもしれません。

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