フクレギシダは、 2018年から「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)」に基づく国内希少野生動植物種に指定されています。 これにより、 採集や譲渡、 販売目的の広告などといった行為が原則禁止されています。
しかし、 絶滅危惧種となっているシダ類の減少には、 この法律で防ぐ盗掘とは無関係な理由によるものが多く見られます。 特に深刻なのは、 鹿の食害と森林伐採による影響で、 フクレギシダも例外ではありません。 園芸目的の採取がなかったわけではありませんが、 より実情に即した対策が求められているといえるでしょう。 今からでも適切な保護を進めていくことができれば、 その名のとおり、 未来の私たちに何らかの「福」をもたらしてくれるかもしれません。
フクレギシダ
大切に守っていけば福が連れるかも?
特徴
熊本県天草の福連木にちなむシダ。 葉は大きな頂羽片と2~4対ほどの側羽片からなるシンプルな姿をしています。 ノコギリシダに近縁で、 やわらかい革状、 目立つ葉脈、 フチの粗いギザギザ(鋸歯)、 葉裏のカーブする胞子のう群などそれっぽさがいくつか見られます。 両者で雑種を作ります。
葉の長さ : 25~60cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 低山の湿った林内
分布 : 九州(佐賀・長崎・熊本・鹿児島)、 中国、 インド
※正確な種の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。
