イヌケホシダ

都市で増えつつあるシダ

  • 水路沿いの石のすき間に生えている。
    写真 / 2023.7 千葉県松戸市 S.Ikeda

  • 根茎を短く斜上させて葉を密に立ち上げる。
    ホシダは根茎を長くはって葉で広く覆うので、 生え方でも両種を区別できる。
    写真 / 2024.7 三重県 S.Ikeda

  • 葉先。
    ここにホシダと1つ違いがある。
    写真 / 2024.7 三重県 S.Ikeda

  • 葉先はだんだん細くなり、 ホシダのように急に細くはならない。
    写真 / 2024.7 三重県 S.Ikeda

  • 羽片。
    表面はよく毛で白っぽくなる。
    深く切れ込み、 それぞれの裂片先はあまり尖らない。
    ケホシダより羽片が短い。
    写真 / 2024.7 三重県 S.Ikeda

  • 最下羽片。
    中央の羽片よりも1/3くらい短いことが多い。 ただ、 長めのこともあるほか、 ホシダでも短くなることがよくある。
    軸部分はよく赤紫色になる。
    写真 / 2024.7 三重県 S.Ikeda

  • 裂片。
    毛が多く、 先はホシダほど尖らない。
    写真 / 2023.7 千葉県松戸市 S.Ikeda

  • 葉裏。
    胞子のう群はフチと脈の中間につく。
    包膜はCの形で毛が多い。
    写真 / 2023.7 千葉県松戸市 S.Ikeda

  • 葉柄。
    茶色っぽい鱗片がある。
    ホシダよりも鱗片は細い傾向がある。
    写真 / 2023.7 千葉県松戸市 S.Ikeda

  • 葉軸。
    短い毛が多い。
    写真 / 2023.7 千葉県松戸市 S.Ikeda

  • 新芽。
    短い毛が多く、 赤紫色。
    写真 / 2023.7 千葉県松戸市 S.Ikeda

  • 小さめの葉。
    別種に見えるが、 これもイヌケホシダ。
    写真 / 2023.6 東京都港区 S.Ikeda

  • 小さめの葉の裏。
    包膜に毛が多いところなどが共通。
    写真 / 2023.6 東京都港区 S.Ikeda

  • 右下にイヌケホシダ、 左上にホシダ
    このほかにもホウライシダイヌワラビ、 ケヤキ幼木、 ヒナタイノコズチ、 ペラペラヨメナなどが混じっている。
    写真 / 2023.7 千葉県松戸市 S.Ikeda

  • 1枚の葉。
    下の羽片は短めのことが多いが、 この葉はあまり縮んでいない。
    写真 / S.Ikeda

特徴

暖かい地域の道ばたなどに生えるシダ。 ホシダに似ていますが、 葉先はだんだんと細くなり、 包膜には毛が多く、 根茎は短いのであまり群生しません。 ケホシダにも似ていますが、 葉幅はやや狭めで、 葉の下部はだんだんと縮まっていくことが多く、 ケホシダほど毛は多くないです。 名前はケホシダっぽいけど別種であることにちなみます。
 
葉の長さ : 20~80cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 低地の道ばたや石垣のすき間
分布 : 本州(関東以西)、 四国、 九州、 琉球、 世界の熱帯広域

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。 ​

都市に分布拡大!

イヌケホシダは本来であれば亜熱帯域などに分布しますが、 近年では西日本の市街地でごく普通に見られるようになったほか、 東京、 千葉、 群馬などの東日本の都市でも見られるようになりました。 これらは栽培株から逃げ出したものであると考えられています。
 
元々ホシダの仲間の多くは人家近くなどの明るい場所を好んで生えます。 さらに近年では地球温暖化のほかヒートアイランド現象によって都市部は年中暖かく、 このような環境はイヌケホシダの好みとマッチしています。 加えてこのシダは一年中胞子をまく性質をもち、 人間世界に偶然にもうまく馴染むことができたシダといえるかもしれません。