イヌケホシダは本来であれば亜熱帯域などに分布しますが、 近年では西日本の市街地でごく普通に見られるようになったほか、 東京、 千葉、 群馬などの東日本の都市でも見られるようになりました。 これらは栽培株から逃げ出したものであると考えられています。
元々ホシダの仲間の多くは人家近くなどの明るい場所を好んで生えます。 さらに近年では地球温暖化のほかヒートアイランド現象によって都市部は年中暖かく、 このような環境はイヌケホシダの好みとマッチしています。 加えてこのシダは一年中胞子をまく性質をもち、 人間世界に偶然にもうまく馴染むことができたシダといえるかもしれません。

イヌケホシダ
都市で増えつつあるシダ
特徴
暖かい地域で見られるシダで、 都市部では雑草のごとく住宅の庭にもよく生えます。 近縁のホシダに似ていますが、 葉先はあまり急に細くならず、 裂片の先があまり尖らず、 包膜に毛が多く、 根茎が短くて密に葉を立ち上げます。 また、 葉は下ほど細くなることが多いです。 名前はより南方に生えるケホシダっぽいけど異なる(植物名での犬は別種・劣っているの意味)ことにちなみます。
葉の長さ : 20~80cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 低地の道ばたや石垣のすき間
分布 : 本州(関東以西)、 四国、 九州、 琉球、 世界の熱帯広域
※正確な種の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。