キタコブシ

白い花は北国の春のシンボル

特徴

北海道から東日本の日本海側に分布するキタコブシは、 コブシよりも葉や花がやや大型です。 大木になり、 早春には樹全体が白い花でいっぱいになる「春告の木」です。 花の香りもよく、 葉を揉むと良い香りがします。

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

まっすぐに立って大きくなり、 高木になります。 葉が出る前に花が咲くので、 遠くから見ても存在や樹形がわかります。

  • 左右にバランスよく枝を伸ばす
    写真 / 越の里山倶楽部

  • 根元が少し曲がるのは、 雪の重みに耐えた証拠
    写真 / 2024.11.14 長岡市越後丘陵公園 Tamacha

真ん中より先が太くなる形をしています。 葉をもむと、 スーッとしたよい香りがします。

  • 縁にギザギザはない
    写真 / 2024.9.4 新潟県長岡市 MayaN

  • 葉裏には葉脈が浮き上がる
    写真 / 2024.11.14 長岡市越後丘陵公園 Tamacha

大きな6枚の花びらをもつ白い花です。 花の後ろにピロっと小さな葉っぱが1枚ついているのがチャームポイントです。 この特徴から、 同じ地域に生えるタムシバと区別できます。

  • 葉が出る前に花が咲く
    写真 / 越の里山倶楽部

  • ふわふわの皮を脱いで咲き始める
    写真 / 越の里山倶楽部

モコモコとした形の実は、 手をグーにした拳のように見えます。 初め緑色の実はだんだん濃いピンク色になり、 完全に熟すと茶色くなります。 するとモコモコの1つ1つが割れて、 中から赤い実が糸で吊るされたように出てきます。

幹・枝

灰色がかった茶色で滑らかです。 若い枝は緑色〜黒っぽい色で、 ツルッとしています。

  • 滑らかな幹
    写真 / 2024.11.14 長岡市越後丘陵公園 Tamacha

  • 若い枝
    写真 / 2024.11.14 長岡市越後丘陵公園 Tamacha

冬芽・葉痕

花芽はふわふわの芽鱗3枚ほどに包まれています。 1枚1枚が芽をすっぽり包む形のもので、 外側が一番ふわふわ、 中のものは薄くなっています。 それをくるり、 くるりと脱いでいき、 花びらが現れます。

  • 花びらが見えてきた花芽
    写真 / 越の里山倶楽部

  • 葉芽は小さいが、 細かい毛におおわれる
    写真 / 2024.11.14 長岡市越後丘陵公園 Tamacha

人との関わり

花が咲くと、 春がきたことを実感させてくれる木。  つぼみは、 ハナが詰まっている時に煎じて飲むと効くといわれます。  スーッとしたさわやかな香りの枝葉は、 入浴剤としても使われます。

名前の由来

コブシの中でも北地に分布していることでキタとつきます。 「コブシ」の由来には、 つぼみの形が握りこぶしに似ているという説や、 赤く色づいた実を包むさやの形が握りこぶしに似ているから、 という説があります。
キタコブシには、 イトマキザクラ、 シロザクラ、 ヤマモクレンという別名もあります。

体験・遊び

葉をもんで、 匂いをかいでみましょう。 どんな気分になるかな?
落ちたての枝があったら、 枝を切って切り口の匂いをかぐのもよいですよ。

関わりが深い生き物

ヒヨドリ、 ムクドリ、 カラスなどが赤い実を食べにやって来ます。 また、 ヒヨドリはつぼみや花を食べてしまいます。

見られる場所