はなもく散歩

ホーム
ふりがな

ヤブツバキ

赤い(あかい)花(はな)と蜜(みつ)は鳥(とり)へのアピール

ヤブツバキの特徴(とくちょう)

虫(むし)が少ない(すくない)寒い(さむい)時期(じき)に咲く(さく)ヤブツバキ。赤い(あかい)花(はな)には甘い(あまい)蜜(みつ)がたっぷりあり、鳥(とり)をさそいます。実(み)と葉(は)はつるつるで、おまけに樹皮(じゅひ)は色白(いろじろ)。花(はな)だけではなく全部(ぜんぶ)が美しい(うつくしい)木(き)です。

以下(いか)の情報(じょうほう)は、関東(かんとう)地方(ちほう)を基準(きじゅん)にしています。エリアによって1ヶ月(かげつ)くらいの差(さ)があります。

樹(き)形(がた)

樹高(きだか)は高い(たかい)もので１５ｍになります。ユキツバキのように地面(じめん)をはう様(よう)なことはなく、すっと立ち(たち)ます。成長(せいちょう)が遅い(おそい)ので、短期間(たんきかん)でおどろくほど大きく(おおきく)なることはありません。

  • 枝分かれ(えだわかれ)が多い(おおい)
    写真(しゃしん) / 2021.3.27 茨城(いばらき)県(けん)筑波(つくば)山(さん) MayaN

  • 存在(そんざい)がヤブのようになることもある
    写真(しゃしん) / 2016.1.15 千葉(ちば)県(けん)袖ケ浦(そでがうら)市(し) EijiI

葉(は)

厚み(あつみ)のあるつやのある葉っぱ(はっぱ)で、サイズは5-10cmです。枝(えだ)に交互(こうご)につきます。春(はる)の芽出し(めだし)は、弾力(だんりょく)のあるつやつやの葉(は)で、まるでしっとりとした髪(かみ)の手触り(てざわり)（とぅるとぅる）

  • 分厚く(ぶあつく)つやがある葉(は)
    写真(しゃしん) / 2010.1.4 千葉(ちば)県(けん)袖ケ浦(そでがうら)市(し) EijiI

  • 新(しん)葉(は)の手触り(てざわり)は、とぅるとぅる
    写真(しゃしん) / 2021.4.15 千葉(ちば)県(けん)万(まん)葉(よう)植物(しょくぶつ)園(えん) MasakoT

花(はな)

赤い(あかい)花びら(はなびら)が開き(ひらき)きって平ら(たいら)になることはなく、閉じ(とじ)気味(ぎみ)に咲き(さき)ます。（開き(ひらき)きるのはユキツバキ）鳥(とり)が蜜(みつ)を吸い(すい)やすいように横向き(よこむき)に咲き(さき)ます。花(はな)はめしべ以外(いがい)全部(ぜんぶ)まとめて落とす(おとす)ので、まるで厚着(あつぎ)した子(こ)が下着(したぎ)から上着(うわぎ)まで一気に(いっきに)脱い(ぬい)でいるようで笑っ(わらっ)てしまいます。

  • 平ら(たいら)に開き(ひらき)きることはない。開い(ひらい)て咲く(さく)のはユキツバキ
    写真(しゃしん) / 2021.2.5 .千葉(ちば)県(けん)袖ヶ浦(そでがうら)市(し) EijiI

  • 花(はな)は蜜(みつ)をたっぷり用意(ようい)して、鳥(とり)が蜜(みつ)を吸い(すい)やすいように横向き(よこむき)に咲き(さき)ます
    写真(しゃしん) / 2017.3.4 千葉(ちば)県(けん)習志野(ならしの)市(し) MakoT

  • 脱ぎ(ぬぎ)落さ(おとさ)れた花(はな)。花(はな)の裏(うら)の穴(あな)を見る(みる)と笑っ(わらっ)てしまう
    写真(しゃしん) / 2019.4.4 埼玉(さいたま)県(けん)狭山(さやま)市(し) minaei

  • 花(はな)が落ち(おち)た後(のち)、残さ(のこさ)れた雌しべ(めしべ)と子房(しぼう)はつるつる
    写真(しゃしん) / 2017.3.17 埼玉(さいたま)県(けん)狭山(さやま)市(し) minaei

実(み)

つやつやの赤い(あかい)実(み)がなります。熟す(じゅくす)と割れ(われ)て、中(ちゅう)から油分(ゆぶん)を多く(おおく)ふくむ種(しゅ)が出(で)てきます。似(に)ているサザンカは実に(じつに)毛(け)があります。

  • つやつやの実(み)
    写真(しゃしん) / 2020.7.30 .千葉(ちば)県(けん)袖ヶ浦(そでがうら)市(し) MayaN

  • 実(み)が割れ(われ)て種(たね)が落ちる(おちる)
    写真(しゃしん) / 2011.10.29 .千葉(ちば)県(けん)袖ヶ浦(そでがうら)市(し) MayaN

  • 実(み)から種(たね)が7個(こ)。種(たね)は油脂(ゆし)に富み(とみ)椿油(つばきあぶら)がとれる
    写真(しゃしん) / 2020.9.10 千葉(ちば)県(けん)美浜(みはま)区(く) MayaN

幹(みき)

樹皮(じゅひ)は割(わり)と白い(しろい)のですが、成長(せいちょう)が遅く(おそく)樹皮(じゅひ)が長く(ながく)ついていて、よごれて灰色(はいいろ)であることが多い(おおい)です。

  • 白い(しろい)樹皮(じゅひ)
    写真(しゃしん) / 2022.7.12 東京(とうきょう)都(と)小金井(こがねい)市(し) minaei

  • やや汚れ(よごれ)た灰色(はいいろ)の樹皮(じゅひ)
    写真(しゃしん) / 2021.3.16 .千葉(ちば)県(けん)袖ヶ浦(そでがうら)市(し) MayaN

冬芽(とうが)

芽(め)は先端(せんたん)がとがり、葉(は)芽(め)は細く(ほそく)、花芽(かが)はぷっくり膨らみ(ふくらみ)ます。

  • 葉(は)芽(め)
    写真(しゃしん) / 2022.1.28 千葉(ちば)県(けん)若葉(わかば)区(く) MasakoT

  • 花芽(かが)
    写真(しゃしん) / 2021.3.6 東京(とうきょう)都(と)小石川(こいしかわ)植物(しょくぶつ)園(えん) MasakoT

人(ひと)との関わり(かかわり)

葉(は)で団子(だんご)を挟ん(はさん)だ「つばきもち」は平安(へいあん)時代(じだい)に食べ(たべ)られていたもち菓子(もちがし)で和菓子(わがし)の起源(きげん)とも言わ(いわ)れています。材(ざい)は固く(かたく)クシなどになりました。同様(どうよう)に、成長(せいちょう)が遅い(おそい)ヤブツバキの灰(はい)（椿(つばき)灰(はい)）や炭(すみ)（椿(つばき)炭(すみ)）は貴重(きちょう)なものでした。また、種(たね)からとる「つばき油(あぶら)」は今(いま)も食用(しょくよう)や整髪(せいはつ)用(よう)にも使わ(つかわ)れています。

  • 葉(は)2枚(まい)で挟ん(はさん)だ椿(つばき)餅(もち)
    写真(しゃしん) / 2022.7.15 埼玉(さいたま)県(けん)狭山(さやま)市(し) minaei

名前(なまえ)の由来(ゆらい)

ヤブに生える(はえる)ツバキ。ツバキは厚(あつ)葉木(はき)（あつばき）や艶(つや)葉木(はぎ)（つやばき）に由来(ゆらい)すると言わ(いわ)れています。

  • 分厚い(ぶあつい)つやのある葉っぱ(はっぱ)
    写真(しゃしん) / 2020.11.15 千(せん)葉(よう)県立(けんりつ)中央(ちゅうおう)博物館(はくぶつかん)生態(せいたい)園(えん) MasakoT

性格(せいかく)

ヤブツバキは暖かい(あたたかい)ところが好き(すき)な木(き)ですが、かなり北(きた)（北海道(ほっかいどう)南西(なんせい)部(ぶ)）でも寒(さむ)さにたえます。忍耐(にんたい)強い(つよい)タイプだと思い(おもい)ます。幹(みき)を切ら(きら)れても根元(ねもと)から復活(ふっかつ)し3年(ねん)ぐらいで花(はな)を咲かせ(さかせ)ます。チャドクガに葉(は)を食べ(たべ)られても、がんばっています。逆境(ぎゃっきょう)に負け(まけ)ない強(つよ)さを持っ(もっ)ています。

  • 伐採(ばっさい)されてもたいてい芽吹く(めぶく)
    写真(しゃしん) / 2019.6.5 埼玉(さいたま)県(けん)狭山(さやま)市(し) minaei

体験(たいけん)・遊び(あそび)

ツバキの葉(は)を縦(たて)に半分(はんぶん)に折っ(おっ)て、切りこみ(きりこみ)を入れ(いれ)て、開い(ひらい)てくるんと鼻緒(はなお)にすると、かわいい草履(ぞうり)（ビーサン）ができます。小さな(ちいさな)ビーサンを作っ(つくっ)て飾り(かざり)ましょう。

  • ツバキの葉(は)のビーサン
    写真(しゃしん) / 2012.6.30 東京(とうきょう)都(と)小金井(こがねい)市(し) minaei

関わり(かかわり)が深い(ふかい)生き物(いきもの)

チャドクガは卵(たまご)、幼虫(ようちゅう)、蛹(さなぎ)、成虫(せいちゅう)のすべてに毒(どく)があるので注意(ちゅうい)してください。春(はる)と秋(あき)の2回(かい)あらわれます。
夏(なつ)に見(み)られるツバキシギゾウムシのメスは、ツバキの実に(じつに)なが～いドリルのような口(くち)で穴(あな)をあけて、タネに卵(たまご)を産み(うみ)ます。
蜜(みつ)がたっぷりある花(はな)にはメジロやヒヨドリがやって来(やってき)ます。くちばしを花粉(かふん)だらけにして受粉(じゅふん)の手伝い(てつだい)をしています。

タップすると詳細(しょうさい)が見(み)られます

ヤブツバキの見(み)られる場所(ばしょ)

執筆(しっぴつ)協力(きょうりょく) : 岩谷(いわたに)美苗(みな)