春に出てくるゼンマイの新芽(若い葉)は、 ワラビやコゴミとともに山菜として有名です。 食料品店でもよく売られていて、 煮物などにして食べることができます。
野外で採取もできます。 束状に出てくる綿毛に包まれた渦巻形の新芽は、 ゼンマイ科などに限られる特徴のため見分けやすいです。 なお長野県など標高のある地域では、 近縁種のヤマドリゼンマイやオニゼンマイが自生しており、 似た新芽を出します。 いずれも食用にできますが、 アク抜きは必須です。
ゼンマイ
新芽は綿毛で覆われた山菜なシダ
特徴
里山にありふれた身近なシダ。 光合成をする緑色の栄養葉は大きく、 卵形の小羽片がいくつもついた形をしています。 茶色の胞子葉は小さめで細く、 春に短期間だけ出して、 風で胞子を飛ばします。 新芽は渦巻状で、 綿毛に覆われています。 名前はこの巻いた姿を「千巻」、 もしくは銭に見立てた「銭巻」に由来するという説があります。
葉の長さ : 栄養葉は20~80cm
観察の時期 : 春~秋(夏緑性)、 春は新芽
生える場所 : 低地の林縁など
分布 : 北海道、 本州、 四国、 九州、 琉球(久米島以北)、 朝鮮、 台湾、 中国、 インドシナ半島、 南アジアなど
新芽は山菜
男ゼンマイと女ゼンマイ
ゼンマイは特徴のところに書いてあるように、 胞子葉と栄養葉の2種類の葉っぱを出します。 つまり、 山菜として収穫する新芽も、 2種類あるということになります。
実際それぞれに俗称がついており、 胞子葉の新芽は「男ゼンマイ」、 栄養葉の新芽は「女ゼンマイ」と呼ばれています。 この言い方は葉の違いだけ、 つまり生物学的な雄雌の違いを示しているわけではないので注意が必要です。 一般的に食用にされるのは女ゼンマイの方。 男ゼンマイも食べられますが、 硬めであまり食用向きではないです。 この2つは、 綿毛で覆われているとどちらかわかりにくいですが、 男ゼンマイの方が膨らんでいて胞子のうでザラつくため、 軽くもむだけでも区別できます。
なお山菜として採取する場合、 女ゼンマイは採りすぎないように注意。 光合成する葉に展開するため、 全部取ってしまうと弱ってしまうか最悪の場合枯れてしまいます。
体験・遊び
ゼンマイの新芽は綿毛に覆われていますが、 食べる際に取り除いた綿毛も、 布団の綿、 布へ加工、 さらには釣りの疑似餌のテンカラ毛鉤の材料など様々なものに利用されてきました。
家庭でも手毬(てまり)と呼ばれるものは自作することができます。 手毬は江戸時代に流行った伝統工芸品で、 新潟県の「栃尾てまり」、 和歌山の「紀州てまり」など多くの産地が知られています。 このような職人技で仕上がった伝統物は、 幾何学的な模様で精密に美しくて飾り用として人気ですが、 弾みを楽しんだり、 お手玉のように遊ぶこともできます。 手毬はゼンマイなどの乾かした綿を固めて芯にして色糸で巻きつけて作りますが、 遊び用のシンプルなものであれば、 糸でササっと簡単に作ることができます。
