よく食べられているシダの新芽に「赤コゴミ」があります。 クサソテツ(山菜名コゴミ)よりも赤っぽいことからそう呼ばれ、 SNSを中心に「キヨタキシダの新芽」と紹介されることが多くなっています。 しかし結論から言ってしまうと、 赤コゴミをキヨタキシダの新芽とする説明は一般的に、 正しくないです。 にもかかわらず、 どういうわけかその誤った情報の方が広まってしまっているのです。
では何が一般的かというと、 流通や利用の実態から、 「イッポンワラビの新芽」を指す場合が大多数であると考えられます。 根拠の一つは形態。 キヨタキシダの新芽は全体的に緑色のことが多く、 黒色からこげ茶色の鱗片が目立ちます。 対して、 市場や通販で赤コゴミとして流通しているものには、 葉柄の赤みが強く、 うす茶色の鱗片がつくものがよく見られます。 こうした特徴は、 イッポンワラビの新芽に合致することが多いです。 さらに生え方にも違いがあります。 キヨタキシダはほかのシダに混じって少数の株が生え、 1株から葉を2、3枚だけ出していることも少なくありません。 しかし、 イッポンワラビは広範囲に新芽を地面から1本ずつ出して多数が群生しやすいため、 食用や出荷用にまとめて採集するには、 こちらのほうが適しています。
事実イッポンワラビは北日本の涼しい山地に多く分布し、 東北地方を中心に赤コゴミやアブラコゴミと呼ばれ、 山菜として長く親しまれています。 それに対して、 キヨタキシダを食用と明記している専門的な文献は非常に少なく、 なぜ広く知られるようになったのか不明です。 ただし山菜名は地域によって一定しない呼び名であり、 キヨタキシダなど複数のシダをまとめて赤コゴミと呼ぶ場合もあると思われます。 単に赤コゴミ=キヨタキシダや、 赤コゴミ=イッポンワラビとせず、 形態や産地情報とあわせて捉えていく必要がありそうです。
キヨタキシダ
ファクトチェックが必要なシダ
特徴
低山でよく見られる三角形のシダ。 葉はやわらかく、 小羽片は丸く浅い切れ込みがいくつか入った形をしています。 葉裏につく胞子のう群は細長くカーブした形で、 葉柄に黒っぽい鱗片が多くつきます。 群生せず、 林内に株が点在していることが多いです。 キヨタキの名前は、 京都の清滝に由来するという説があります。
葉の長さ : 30~80cm
観察の時期 : 春~秋(夏緑性)
生える場所 : 低山の湿った林縁
分布 : 北海道、 本州、 四国、 九州、 朝鮮、 台湾、 中国、 南アジア
※正確な種の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。
