高知県東部に位置する伊尾木洞(いおきどう)は、 滴る崖一面にホウビシダなどが生える光景が見事で、 「シダ群落」として国の天然記念物に指定されています。 かの有名な植物学者の牧野富太郎博士もよく訪れていたとか。 海辺の市街地や駅からすぐ近くでアクセスしやすいので、 興味があればぜひ訪れてみよう!
ちなみに現地の看板では7種の見られるシダが紹介されていますが、 実際には40種ものシダが生えているのだとか。 実際に入口から滝までのわずか400mほどの距離で、 筆者が観察したものを希少種除いてリストアップすると、 シロヤマゼンマイ★、 キジノオシダ、 オオキジノオ★、 タカサゴキジノオ、 フモトシダ、 ホラシノブ、 マツサカシダ★、 アマクサシダ、 タチシノブ、 ホウライシダ★、 イワガネゼンマイ、 クルマシダ★、 コウザキシダ、 ホウビシダ★、 ミゾシダ★、 ホシダ★、 イブキシダ、 コモチシダ、 シケチシダ、 ヘラシダ★、 ナチシケシダ、 ノコギリシダ★、 ホソバノコギリシダ、 オニヒカゲワラビ、 ベニシダ、 マルバベニシダ、 トウゴクシダ、 ナガバノイタチシダ★、 イノデ、 オオカナワラビ★、 コバノカナワラビ、 リョウメンシダ、 クリハラン★、 イワヒトデ★、 マメヅタ…。 ※★は個体数が多いもの
…確かに40種に迫りそうです。

ホウビシダ
岩壁一面、 鳳凰の尾羽
特徴
伝説の鳥「鳳凰(ほうおう)」の尾羽に例えられたシダで、 暖かい地域の薄暗くて湿った岩壁によく群生します。 葉先は細く伸び、 羽片は鳥のツバサのような形で、 葉裏に細長めの胞子のう群をつけます。
葉の長さ : 20~40cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 湿った岩場や崖
分布 : 本州(関東南部以西)、 四国、 九州、 済州島、 中国
※正確な種の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。