モトイタチシダ

様々なイタチシダの元となった

  • 低山の斜面に生える。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 新種とされるまではヤマイタチシダまたはオオイタチシダとされていた。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 根茎を斜上させて葉を出す。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 羽片。
    表面は濃い緑色。
    中央一番下に注目しよう。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 最下羽片の葉軸に接する下の小羽片が長く、 合わせて八の字に見える。 イタチシダに共通の特徴。
    ただ、 そこまで突出して長くはない。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 最下羽片の小羽片。
    フチが裏側に巻く。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 葉裏。
    胞子のう群は円形で、 フチと脈の中間につく。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 葉裏。
    小羽片先はヤマイタチシダより鋸歯が目立つ。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 包膜はCの形。
    フチに突起はない。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 葉柄基部。
    細く長い鱗片が密にある。
    この株の鱗片はやや赤色っぽく、 フチはややうすい茶色をしている。 前者はナンカイイタチシダ、 後者はヒメイタチシダの見分けポイントとしてよく挙げられているが、 これにより鱗片の色が区別の決定打でないことを示している。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 葉柄上部。
    鱗片の基部は平面状。
    袋状とする文献もある。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 葉軸。
    鱗片の基部は少し袋状にふくらむ。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 羽軸。
    鱗片の基部が袋状にふくらむ。
    ヤマイタチシダと共通。
    写真 / 2023.10 鹿児島県屋久島 S.Ikeda

  • 1つの胞子のうを壊したもの。
    モトイタチシダは有性生殖なので胞子数は64個。 ヤマイタチシダは無配生殖という繁殖方法をとっているので1/2の32個となる。
    写真 / S.Ikeda

特徴

2015年に新種記載された、 世界で屋久島にしか生えていないシダです。 日本本土で身近なヤマイタチシダに似ていますが、 切れ込み先フチのギザギザ(鋸歯)が目立つ傾向があります。
 
葉の長さ : 10~40cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 低山の林内斜面
分布 : 日本の屋久島のみ

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。 ​

身近なイタチシダを誕生させた

モトイタチシダは古くに別のシダとの交雑によって、 いくつかの種類を誕生させたといわれています。 例えば…
 
ヤマイタチシダ : 本種とイワイタチシダの雑種起源で誕生
オオイタチシダ : 本種とナンカイイタチシダの雑種起源で誕生
リョウトウイタチシダ : 本種とイワイタチシダミサキカグマの雑種起源で誕生
ヒメイタチシダ : 本種とナンカイイタチシダミサキカグマの雑種起源で誕生
 
上の4種はいずれもモトイタチシダの遺伝子を含んでいるといわれています。 ヤマイタチシダとオオイタチシダは住宅地近くでもごく普通に見られるシダであり、 どうして屋久島にだけモトイタチシダが生き残っているのか不思議なところです。