ナンカイイタチシダ

3本のヤリをもつ南海のイタチシダ

  • 海岸近くの低山に生える。
    写真 / 2024.3 千葉県 S.Ikeda

  • 根茎を直立から斜上させて葉を出す。
    写真 / 2024.3 千葉県 S.Ikeda

  • 葉色やツヤは個体差がある。
    これはツヤのないタイプ。
    写真 / 2023.12 千葉県 S.Ikeda

  • 葉先。
    急に細くなってヤリのように尖る。
    写真 / 2023.12 千葉県 S.Ikeda

  • 羽片。
    細長くてカマ状に大きく曲がる。
    写真 / 2023.12 千葉県 S.Ikeda

  • 最下羽片の葉軸に接する下向きの小羽片は、 ほかの小羽片より著しく長い。
    合わせて八の字に見える。
    写真 / 2023.12 千葉県 S.Ikeda

  • 小羽片はあまり切れ込まず、 先には鋸歯がある。
    オオイタチシダより質は厚い。
    写真 / 2023.12 千葉県 S.Ikeda

  • 葉裏。
    胞子のう群は円形。
    フチと脈の中間につくとされるが、 これはフチ寄り。
    写真 / 2023.12 千葉県 S.Ikeda

  • 包膜。
    Cの形で、 フチに毛状突起が多い。
    写真 / 2024.7 千葉県 S.Ikeda

  • 葉柄基部。
    鱗片は赤みがある。 ほかのイタチシダ類との区別点とされることが多いが、 色は個体差があってこれだけで本種と決めつけるのはよくないとされる。
    写真 / 2023.12 千葉県 S.Ikeda

  • 葉軸。
    鱗片は細くて赤っぽい。
    写真 / 2023.12 千葉県 S.Ikeda

  • 羽軸。
    鱗片の基部は袋状にふくらまない。
    オオイタチシダは少しふくらむ感じがする。
    写真 / 2023.12 千葉県 S.Ikeda

  • 子どもの葉。
    ナンカイっぽさは出ているかな?
    写真 / 2023.12 千葉県 S.Ikeda

特徴

南側の太平洋沿いに多いシダ。 オオイタチシダによく似ていますが、 葉先と中央一番下の小羽片2本がヤリのように長くなります。 そのほか包膜のフチに毛状突起が多く、 葉柄基部の鱗片がふつう赤っぽくて、 羽軸の鱗片基部がより平面的になることも違いです。
 
葉の長さ : 30~80cm
観察の時期 : 一年中(常緑性)
生える場所 : 低山の林内
分布 : 本州(千葉以西)、 四国、 九州、 琉球(沖縄島以北)、 済州島、 台湾、 中国、 インド、 ベトナム、 フィリピン

※正確な(しゅ)の判定は、 形態を細部まで見る必要があります。 ​

身近なイタチシダを誕生させた

ナンカイイタチシダは古くに別のシダとの交雑によって、 いくつかの種類を誕生させたといわれています。 例えば…
 
オオイタチシダ : 本種とモトイタチシダの雑種起源で誕生
ベニオオイタチシダ : 本種とモトイタチシダとハチジョウベニシダの雑種起源で誕生
イワオオイタチシダ : 本種とモトイタチシダイワイタチシダの雑種起源で誕生
ヒメイタチシダ : 本種とモトイタチシダミサキカグマの雑種起源で誕生
 
このようにイタチシダ類は複雑な誕生の仕方をしていることがわかっています。 まさにその実態は難解イタチシダといったところでしょうか!…すみません。