カスミザクラ

花が咲く様子が霞(かすみ)のよう

特徴

葉が出る頃に小さめの白っぽい花が咲く様子が、 霞がかかったようだということでカスミザクラと名付けられました。
カスミザクラはヤマザクラに近く、 野生種の中でも姿がよく似ています。 雑種もあるのでとても分かりにくいですが、 花の咲く時期は違います。 カスミザクラの方が通常2週間ほど遅くなります。 寒さに強く、 自生する場所の標高はヤマザクラより高く、 オオヤマザクラより低めです。

みんなの投稿

以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

4~5月ごろに葉と花が同時に開きます。 サクラの仲間の中でも全体的に枝がスッとのびて若木の時から形が整い、 枝が45度以上、 上を向いて付きやすい木です。 15~20mほどまで大きくなります。 ヤマザクラみたいに若葉が赤くならず、 新緑の時期は全体的に緑色をしています。

  • 霞に例えられた開花時の様子
    写真 / 2022.5.3 栃木県那須町 MayaN

  • 高さは15~20m程度になる
    写真 / 2022.5.3 栃木県那須町 MayaN

  • 若木の時から枝がスッとのびて整う樹形
    写真 / 2022.5.5 栃木県那須町 MayaN

木によって、 差がありますが、 葉っぱの表と裏には毛が生えて裏面は、 ほんのり緑色でテカテカしています。 葉柄にも一部にモサっと毛があります。

  • 長さ7~12cmの楕円形で、 半分より先の方で幅が最大になる
    写真 / 2022.5.6 千葉県青葉の森公園 MasakoT

  • 互生で単鋸歯と重鋸歯が混ざる。 毛が少ないのもある
    写真 / 2022.4.22 千葉県泉自然公園 MayaN

  • 裏面。 まばらに毛がある場合とない場合がある。
    写真 / 2022.4.22 千葉県泉自然公園 MayaN

  • 蜜腺は葉柄の上部にポチポチっと付く
    写真 / 2022.4.22 千葉県泉自然公園 MayaN

かすみに例えられる花は、 ほぼ白。 緑色の新葉と一緒に咲く様子がカスミに例えられました。
ヤマザクラより1~2週間ほど遅く咲きます。

  • 花は白っぽい
    写真 / 2015.5.7 北海道松前市 石井誠治

  • 緑の若葉と一緒に開く
    写真 / 2014.4.10 東京都千代田区東御苑 MasakoT

  • 個体差はあるが花はヤマザクラより少し小さめ
    写真 / 2022.5.5 栃木県那須町 MayaN

  • 数個の花がまとまって咲く
    写真 / 2022.5.3 栃木県那須町 MayaN

  • 花柄には毛があることが多いが個体差が大きい
    写真 / 2022.5.5 栃木県那須町 MayaN

実は丸く黒く熟して食べられますが、 苦味が強いのでオススメはいたしかねます。

  • 6月頃に熟す
    写真 / 2022.4.22 千葉県泉自然公園 MayaN

幹・枝

幹は灰褐色で横に長い皮目があります。 枝は上を向きます。

  • 皮目が横に長くのびる
    写真 / 2015.5.6 北海道松前市 石井誠治

  • こんな樹皮になることもある
    写真 / 2024.3.24 千葉市若葉区 MayaN

冬芽・葉痕

先がとがった細い、 だ円形の形をしています。 長さ3~5mmで毛は無くツルっとしています。

  • 芽鱗は7~8枚でしっかりと閉じる
    写真 / 2022.1.15 東京都千代田区 MasakoT

人との関わり

時々、 公園にヤマザクラのつもりでカスミザクラが植えられています。 これは幼い時から樹形が整うからでしょう。

名前の由来

花が咲いた木の様子を「かすみ」に例えて名付けられました。 別名のケヤマザクラは、 葉や花、 新しい枝などに毛があることが多ために付けられた名前です。

その他の情報

全体的に毛が無く、 北海道南部や日光地方で生きているアサギリザクラという品種があります。 山に咲く花を霞(かすみ)や霧(きり)に例えるとは、 風流ですね。

体験・遊び

花をよく観察してみよう!サクラはたくさんの種類がありますが、 花はそれぞれ少しずつ違うので、 花を分解して、 大きさや色、 形を見比べて、 他の人にも教えてあげるとサクラ博士になれますよ!

  • 色や形をよく見てみよう!
    写真 / 石井誠治

  • 花弁は1円玉より少し小さい
    写真 / 石井誠治

関わりが深い生き物

実を食べにヒヨドリなどいろいろな野鳥がやって来ます。
葉は虫に食べられ穴だらけ。 イモムシ・ケムシは春~初夏に多く、 何種類くらい見られるのか観察するのも楽しいです。

執筆協力 : 石井誠治