チョウジザクラ

横から見ると丁字形の花

特徴

春に咲く花は、 細長い筒の先に小さい花びらが水平に開くため、 横から見ると「丁」の字の形に見えます。 下向きに咲く花は決して派手とはいえませんが、 10種類ある日本の野生のサクラの内の一つで日本固有種です。

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以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。

樹形

高さ4~7m程で、 あまり大きくならないサクラです。 地際から幹が複数立ち、 株立ちの樹形になります。

  • 枝はあまり太くならない
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

サクラの仲間の中では小さめの葉っぱです。 一番幅が広いところが上の方にある楕円形をしています。 縁は丸みのあるギザギザで、 先端は尾っぽの様に伸びます。

  • 互生で両面に毛が多くフサフサした手触り
    写真 / 2022.4.22 千葉市若葉区泉自然公園 MasakoT

  • 葉の裏は特に毛が多い
    写真 / 2022.4.22 千葉市若葉区泉自然公園 MasakoT

  • 柄も毛が密集して付き、 密腺というポッチがある
    写真 / 2022.4.22 千葉市若葉区泉自然公園 MasakoT

  • 秋、 紅く色づく葉っぱ
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

春の新芽の芽吹きの前か、 同時に白から淡いピンク色の花が咲きます。 がく筒が細長く、 花びらは小さくて水平に開くため、 横から見ると丁の字の形に見えます。

  • 花びらは5枚で1本の雌しべが長く少し突き出る
    写真 / 2022.4.2 千葉市若葉区泉自然公園 MasakoT

  • 一か所から1~2個の花が咲く
    写真 / 2022.4.2 千葉市若葉区泉自然公園 MasakoT

  • がく筒が紅色になることもある
    写真 / 2021.3.6 東京都小石川植物園 MasakoT

  • がく筒は毛があり、 ベタベタする
    写真 / 2015.3.26 茨城県結城市日本花の会結城農場 石井誠治

  • がく筒の下の方は少し膨らむ
    写真 / 2011.4.30 石井誠治

  • がく片の縁はギザギザしている
    写真 / 2011.4.30 石井誠治

小さいですが甘味があり食べられます。 赤い実は熟すと黒くなります。

  • 小さくて丸く、 少し細長い実
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

幹・枝

樹皮は灰色がかった茶色で横長の皮目が点在します。 若い枝には毛が生えています。

  • 横長の皮目で縞模様になる樹皮
    写真 / 庭木図鑑植木ペディア

  • 毛の生えた若い枝
    写真 / 2015.3.26 茨城県結城市日本花の会結城農場 石井誠治

冬芽・葉痕

丸みを帯びた茶色っぽい芽です。 ちょっと地味な印象の冬芽ですが、 葉痕のお顔はありますよ。

  • 他のサクラ類とは一味違う、 小さな芽。
    写真 / 2024.1.26 東京都新宿区 Tamacha

  • 芽鱗が少なく見える。
    写真 / 2024.1.26 東京都新宿区 Tamacha

  • 3~5㎜と小さく、 あまり尖らない
    写真 / 2021.3.6 東京都小石川植物園 MasakoT

人との関わり

小さい花で花数も少なく寂しい印象があるためか、 庭や公園に植えられることが少ないサクラです。

名前の由来

花の形が横から見ると「丁」の字の形に見えることに由ります。

その他の情報

日本海側では青森から滋賀にかけて、 花がひと回り大きく、 がく片にギザギザが無い変種のオクチョウジザクラが分布します。

関わりが深い生き物

花には、 メジロやヒヨドリなどが蜜を吸いにやって来ます。 黒くなった実は鳥たちのご馳走です。
桜の葉はいろいろな虫が食べるので、 葉は穴だらけになります。

見られる場所

執筆協力 : 石井誠治