枝は横に広がり笠形の樹形になります。 花が八重で花びらが多く、 葉も大きい目なので枝は重さに耐えるいために太くなります。
フゲンゾウ
普賢菩薩が乗る象のハナ(鼻/花)
特徴
名を漢字で「普賢象」と書き、 普賢菩薩が乗る象を意味します。 「葉化」といって、 細くて小さな葉のようになった雌しべが二本あり、 長い物は象の鼻のように曲がります。 二本あるので牙に例えられることも。 室町時代の頃から華やかな八重咲で、 少しグレーかかった桜色が少しずつ白くなる美しさが人々を魅了してきた園芸品種です。 ヤエザクラとしては最も古い品種の一つでもあります。
以下の情報は、 関東地方を基準にしています。 エリアによって1ヶ月くらいの差があります。
樹形
葉
楕円形でギザギザがあり、 先っぽがかなり細く、 とがる葉っぱです。 新葉は赤茶色をしているサクラです。
花
晩春に、 30枚前後の花びらを付け、 ぼってりしている八重咲きの花を咲かせます。 蕾の時はダークピンクですが、 咲き進むと次第に白くなります。
実
雌しべが葉化するので実はできません。
幹・枝
重い八重咲の花や大きいめの葉に耐えられるように枝が太くなります。
冬芽・葉痕
紅色がかった赤茶色で大きめな冬芽です。 毛はほとんどありません。 葉痕にはふくよかな感じのお顔があります。
人との関わり
花は観賞だけでなく、 花びらを塩漬けにして桜茶として利用されてきました。
名前の由来
昔、 鎌倉の小高い丘に普賢菩薩を祭るお堂がありました。 その傍にあった原木の葉化した2本の雌しべを、 普賢菩薩が乗る像の鼻や牙に例えたことに由るといわれています。
性格
1990年に花が咲き進むと黄色になる品種が発見され「須磨浦普賢像」と名付けられました。 現代に見られるこのような発見は、 室町時代頃から500年もの間、 接ぎ木苗で育て増やされ続けた影響で突然変異が生じやすいサクラとなったことを示していると考えられています。
執筆協力 : 石井誠治